2011年08月22日
命をつなぐ 四川大地震 再生の記録
BS世界のドキュメンタリーにて視聴
(シリーズ 四川大地震)
四川大地震では子供も大勢亡くなった。
冒頭、中年夫婦が子供の遺品を川に捨てるシーンから始まる。
「どうしようか?」と問いかける夫に、無言で険しい表情のままの妻。
シーンが変わって被災時の子供達の強烈な映像が挟み込まれ、夫婦による子供達の回想シーンとなる。
のっけからズシズシと攻め込まれ、否応なしに作品に引き込まれる。
これらの掴みのおかげでこの夫婦にしっかり感情移入でき、その後仕事をやめてめそめそしながらも妻を気遣うダメダメ軟弱夫に「まったくもう。」と微笑ましく思ったり、体外受精治療の痛みに耐え続ける妻に母の強さを見たりする。
途中友人が体外受精に成功し、出産して我が子を抱きながら目に涙を浮かべ
「この子は、あの子が亡くならなければ産まれなかった子です。」
というシーンに胸を打たれる。
子を失う事はこの世で最大の不幸だと改めて思う。
その他にも墓石を愛でるシーン、体外受精に成功する友人の後失敗の報を受けるシーンなど印象的なシーンが続き、ラストに冒頭の遺品を川に捨てるシーンに戻る。
無言の妻に冒頭で感じるよりもより深い悲しみを見る。よくできた構成、演出である。
そしてエピローグとして、その後夫婦が新しい命を授かった事が告げられ、「あの子が帰ってきた。」とセリフを残し幕となる。
良作。
映画にしようと思えばボロボロ泣き泣きの大入り映画が作れる事間違いなし。
余談であるが、中国では一人っ子政策の影響か、羊水検査が当たり前のように行われ、当たり前のように堕胎が行われていると聞く。
この作品でもそれを裏付けるようなシーンとして「3つ子だったら一人を諦める。」「女の子を残す。」と友人と語るシーンがある。
心なしか父親の表情が曇っていたところにやっぱり「当たり前」ではないのではないかと思ったのであった。
中国が色々な大きな問題を克服するのに、あとどれ位の時間を要するのであろうか。
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