2011年07月24日
ルワンダ 仕組まれた大虐殺 〜フランスは知っていた〜
BS世界のドキュメンタリーにて視聴
94年に起こったルワンダの大虐殺にはフランスも関与していたと現大統領は告発している。
その主張に沿う形でいかようにしてフランスが関与し、虐殺が引き起こされたかに迫るという話。
なハズなんだが。。
作品では大統領のコメント等を中心に、フランスの武器提供や軍事指導があった事を指摘。
更には08年にフランスで大統領側近が当時のテロ容疑で逮捕された事に対するルワンダの国を挙げての抗議を取り上げ、虐殺終焉の際には殺人犯であるフツ達を国外に逃がし、ツチへの反攻を準備したとまで言う。
だがフランス側やフツ側の主張は一切取り上げず、細かい政治的背景を大胆に端折った作りなので、あくまで「ツチ側の意見」という見方で見た方が良さそうである。
ざっとルワンダ虐殺への事情をまとめてみる。
元々ツチとフツの違いはほとんどなかった所にベルギー支配下で王族が支配層をツチ、被支配層をフツとした。
ツチの身体的特徴として定義されたのは「比較的白人に近い」であり、ベルギーによる黒人蔑視が露骨に反映されている。
そしてそれがエスカレートし、最終的には身分証にツチかフツかを示すようにまでなり、区別が更に強調される。
その後フツのストレスがアフリカの独立機運に押されルワンダは独立し、フツが政権を取る。
すると今度はフツによるツチ排斥が始まり、血が流れていく。
多くのツチが国外へ難民となり、打倒フツ組織が作られる。
そしてどういう経緯かよくわからないがツチとアメリカが接近して行き、支援を受けるようになる。
するとアメリカのそういった行動に反応したのがフランスで、現フツ政権が倒されツチによる英語圏化を懸念し、フツに肩入れするようになる。
ツチはアメリカの支援で力をつけ、紛争へと発展し、遂にはルワンダ大統領と隣の国の大統領(こちらもフツ)が乗った飛行機を爆破し、二人の大統領暗殺に成功する。
フツは紛争になってからツチ排斥のために民兵を作るなど着々と準備を進めていたので、この暗殺事件をきっかけに一気にフツの猛攻がはじまる。
そしてこの猛攻が「ルワンダ大虐殺」である。
しかしそれでも結局ツチが勝ち、そのリーダーがそのまま大統領に就任して今に至るという、フランスの懸念どおりツチは強かったという話でもある。
大統領暗殺の際には同乗のフランス人も殺されており、フランスはそれを根拠にその事件に関与した現大統領側近を逮捕したのである。
当時の政権とそれを支持していたフランスにとってはテロ以外の何物でもない。
こう見ていくと、「皆悪者」って感じなのだが、結局被害者は実際に殺し合いをさせられた民衆なんだよね。
実はこの作品、肝心のフランス関与の話は作品中の分量としてはさして多いものではなく、多くは殺害された医師の息子が父親の死の真相と遺骨を求めて現地に赴く話で占められている。
息子は遂に父殺害の現場を突き止め、証言も得て、遺骨を掘り返すに至る。
証言をするのも掘り返す作業をするのも貧しいフツの民。
それに向かって明らかに「比較的白人に近い」中年太りのいい服着ていい車乗ってる息子が「お前達が父を殺したんだ!」と罵る。
言い返せず黙々と遺骨を集めるフツの民。
孫を抱きながら泣く息子。
はっきり言って逆の意味で気分悪い。
作品としては全く意図してないんだろうが、普通の民が何故大虐殺に至ったのかを体感的に理解できるシーンでもあった。
大虐殺のもう一つの視点としては欧米帝国主義とそれに擦り寄る一部支配層によって、区別される必要も憎しみあう必要も無かった民衆が戦争に巻き込まれ、最終的には兵器として利用されて大虐殺に至ったという見方もできる。
大した知識や思慮もなく「戦争反対!」「平和が一番!」「皆平等!」とか言うのは好きでは無いが、惑わされたり巻き込まれたりしないよう民衆としてはその一点で繋がり、防衛するための思想共有という意味では大きな意味あるんじゃないかと思ったりして。
とりあえず、ピース!!
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