映画とテレビ視聴感想

初回放映：1978年12月10日

日本テレビ系


日本テレビ開局２５年記念番組。この年１９７８年は日中平和友好条約が調印された。ＴＢＳではド
リフターズの人形劇「飛べ！孫悟空」、フジテレビでは松本零士原作のアニメ「ＳＦ西遊記　スター
ジンガー」と既に２本の西遊記物が放送されているなかでの３本目の放送となった。ＮＨＫ大河ドラ
マの裏番組であったが、大河ドラマと同じぐらいの視聴率を獲得した人気番組となったため、続編の
「西遊記II」も制作された。


配役

孫悟空：堺正章
猪八戒：西田敏行
沙悟浄：岸辺シロー
三蔵法師：夏目雅子



（ストーリー：ネタバレ）

天竺にありがたいお経をもらいに行く旅の途中、三蔵法師一行は見えない壁に突き当たった。悟空が
如意棒で壁を破ってみると壁の向こうは夜だった。夜の町では吸血コウモリの化け物、唯晩怪が眠り
に着いた町人の血を部下と共に吸っていた。唯晩怪は悟空に邪魔され、空中戦となるが、觔斗雲に乗
った悟空に敗れ、地上に落ちていった。地上では八戒が落ちて来た唯晩怪を見つけたが、その美しさ
に惚れ、退治せずに言いなりになって自宅まで付いていってしまう。唯晩怪は夫と喧嘩して別れ、今
は一人身だという。

地上に降りて来た悟空は、唯晩怪に眠らされて襲われかけていた娘、眠々を目覚めさせた。悟空は娘
が三蔵法師に面影が似ていると好意を持った。しかし、自分が猿であると卑下する悟空。しかし娘は
昔、孫悟空から名をとった悟空という子猿を飼っていたことがあり、猿の化け物である悟空に好意的
であった。悟空は娘のために町を守ることを決心する。

その頃、悟浄は三蔵に唯晩怪と唯昼怪についての知識を披露していた。離縁した妻の唯晩怪が夜の町
を、夫であるハゲワシの妖怪、唯昼怪が昼の町を支配しているという。三蔵は、夜の町は悟空と八戒
に任せ自分と悟浄は昼が続いて夜が訪れない町の住民の難儀を救おう（唯晩怪と唯昼怪を仲直りさせ
る）と昼の町へと向かった。

昼の町では、唯昼怪とその部下達が住民を眠らせずに重労働に就かせていた。三蔵は唯昼怪に仲直り
の仲介を申し出るが、坊主嫌いの唯昼怪に捕まり悟浄共々働かされることになってしまった。

八戒は唯晩怪の家で酒食におぼれていた。家に連れて来たものの血はまずいし、働きたくないという
八戒の怠け者ぶりにあきれる唯晩怪。そこに八戒が家に潜り込んたと聞いた唯昼怪が押しかけてきた。
争いとなるが部下のコウモリが月の光を遮り、鳥目の唯昼怪とその部下達を追い返した。

悟空は眠々から町の人に頼りになる猿と紹介されていた。しかし、眠々に惚れて精神統一が出来なく
なってしまった悟空は、デモンストレーションで行った分身の術が失敗して自信を失ってしまった。

三蔵は、唯昼怪の心がすさんでいるのは夜を失ってしまったからではないのかと指摘するが、唯昼怪
は怒るだけであった。三蔵は、夜の町にいる許嫁に遭いたいという男ドウドウを悟浄に預けて夜の町
へ逃がした。ドウドウは夜の町へたどり着き、許嫁の眠々に合うことが出来た。悟空はドウドウを連
れて来た悟浄に人間と猿との恋は実らないと諭されるが、目が覚めたという悟空が行った分身の術は
また失敗した。全く覚めてはいなかったのだ。

唯晩怪とその部下達は、悟空が眠っていた村人を目覚めさせ守っていることで血を吸うことが出来な
くなり飢えてきていたため、嫌がる八戒を焚きつけて悟空を倒させることにした。八戒と唯晩怪は町
に攻め入る。悟空が術を使えなくなった事を知った八戒はここぞとばかりに悟空を痛めつけた。


唯晩怪は、町を昼の町と夜の町に分ける際に唯昼怪と取り決めた「昼の町と夜の町の男と女は会わせ
ない」という約束を破ったとしてドウドウを捕らえると昼の町に乗り込んでいった。唯昼怪に合うと
得意げに男が執念で女に会いに来たことを唯昼怪も見習うべきだと言い放つ。唯晩怪は「男が女に惚
れるもの」、唯昼怪は「女が男に惚れるもの」という主張をどちらも譲らなかったため喧嘩別れとな
ったのだった。そこに眠々が夜の町からドウドウを追って現れた。今度は唯昼怪が得意げに唯晩怪に
この女を見習うべきだという。譲らぬ二人は掟を破ったドウドウと眠々をそれぞれ処刑しようとする。


それを見ているだけの悟空に三蔵は戦えと叱責する。仕方なく敵の前に出ていった悟空だがやはり術を
使えない。見かねた三蔵は緊箍呪を唱え悟空の頭の金の輪を絞めつけた。痛みで余計なことを考えるこ
とが出来なくなった悟空は術が使えるようになり、分身の術や如意棒で敵を叩きのめした。

唯晩怪を叩き殺そうとした悟空に唯昼怪が命乞いをする。唯晩怪も夫が死ぬなら自分も生きていられな
いとかばう。三蔵はそれが二人の本心だと諭し、悟空は二人に昼と夜の町をまた一緒にさせた。眠々へ
の想いを振り切った悟空はまた一行と旅を続けるのであった。




中国の古典小説「西遊記」のテレビ化です。その後何回もドラマ化されていますが、自分にとっては本
作が一番好きです。続編は猪八戒役の西田敏行のスケジュールが合わず降板。左とん平に替わってしま
ったのが残念でした。

ゴダイゴによる歌詞が英語のOP「Monkey Magic」や、ED「ガンダーラ」が当時ヒットしました。この話
で流れる堺正章が歌う挿入歌「この道の果てまでも」は好きな曲でしたが今回本当に久しぶりに聞きま
した。ゴダイゴが歌う英語版のタイトルは「THANK YOU, BABY」です。

原作小説は読んだことがありますが、もう金閣銀閣の話や牛魔王というポピュラーな話しか記憶にない
ので、原作にある話なのかオリジナルなのかはさっぱりわかりません。

悟空が三蔵法師に似ているといった眠々は夏目雅子の二役ではなく、別の女優が演じていました。

眠々に惚れてしまった悟空は、眠々のことで頭がいっぱいになり、分身の術で現れたのは自分の分身で
はなく、眠々の似顔絵になってしまい町民に笑われてしいました。悟浄に諭された後も、自分としては
目覚めたつもりでも今度は似顔絵ではなく人間の姿の眠々の分身が出来上がってしまいました。

悟浄と悟空の掛け合いが面白かったです。このドラマはセリフ掛け合いにのアドリブが多かったそうで
すがもともと台本にあったのか気になります。

　悟浄「神通力の無くなった孫悟空なんて絵のとれたひしゃくのようなもの。」
　悟空「なんだそれ。」
　悟浄「救いようがない。」

旅を続け野原を行く一行の回りに大量の虫が飛び回っています。今だとＣＧで消すのかな？

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