9年半ぶりの新作!長かったです。
涼宮ハルヒの直観 / 谷川 流
<あらすじ>
この『涼宮ハルヒの直観』には、短編、中編、長編の3つのお話が入ってます。全部で410ページくらいのうち、300ページ弱が最後の長編となっています。
<あてずっぽナンバーズ>(短編)
年が明けました!
SOS団の皆で初詣に行きます。
<七不思議オーバータイム>(中編)
ハルヒが『学校の七不思議』について捜索しているようです。しかしキョンたちの通う北校にそんなものはありません。
ハルヒが面倒なことを言い出さないうちに、キョン、小泉、朝比奈さん、長門の4人で対策します。
<鶴屋さんからの挑戦>(長編)
学校を休んで海外に行っている鶴屋さんから、SOS団に宛ててメールが届きます。
鶴屋さんがメールがで語るストーリーを読み、SOS団の皆とT(キョンのクラスメイト)たちがその謎を解いていきます!
<感想・評価>
<5段階評価>
おすすめ度 ★★★★
ハーレム度 ★★★
戦闘・バトルの量:★(戦闘シーンなどは無し。主に高校でのお話)
ラブコメ量: ★★★
読みやすさ: ★★
<感想>
キョンの本名がまだ分からない!残念!
9年半ぶりの新刊ということで、何か特別な内容になっているのかと思いきや、何の変哲もないただの続編でした。
これでシリーズが完結した感じもありません。どうしてこんなに年月を経て新刊が出たのかよく分かりません。
ページ数が多く、ライトノベルにしてはかなり読みごたえがありました。
キャラクターたちが魅力的で良いと思います!
相変わらず回りくどい比喩表現が多くて、なんだか読んでいて懐かしい気持ちになりました。
小泉が微笑してるだけのところを、『こいつの浮かなげに見えなくもない顔面の微小的微笑の意味するところにさ』などと言ったり、鶴屋さんがヨーロッパ行きの飛行機に乗ることを『ちなみに鶴屋さんは当日早くにはヨーロッパに向かう機中の客にならなければならないため』などと言ったりします。
『直観』とタイトルにある割には、じっくり考え込んでいるシーンや、論理や説明を長々と展開することが多かったです。特に130ページくらいからの、ミステリ小説について小泉やTが話し合っているシーンなどは、小泉が色んな所からミステリに関しての見解を引用してきてとても長かったです!(簡単に数ページでまとめることもできた気がしますが、作者さんのこだわりを感じます)
※以下、ネタバレ多めです※
この巻の最後のお話なんですが、鶴屋さんから長文のメールが来て、おかしなところや謎があるので推理していく、という話がありました。
しかし私にはこの話はちょっと難しかったです。そして、読んでいてちょっとモヤモヤする部分がありました。
以下、『鶴屋さんの挑戦』を読んで私が思ったことを書きますが、私はしっかりお話を読めていないかもしれません。 トンチンカンなことが書かれていたらすみません。
ミステリ好きの人たちは、読者を騙すためにわざと変な書き方がされていても許せるんでしょうか?(タチの悪いタイプの叙述トリック) 私はそっちの世界のことはよく知りませんが、私はそんな、わざと紛らわしい書き方をして読者を騙そうとする姿勢は嫌だなと思いました。
それまで語り手の発言に「」が付いてなかったのに、別人の発言のように見せかけるために途中から語り手の発言に「」を付けるとか、意味が分かりません。こういう騙し方は読者に失礼だと思います。それで面白ければ良いんですが、ただ心がモヤっとします。
この鶴屋さんのズルい騙し文に関して、いくらキョンたちが「釈然としない」「ミス研T的にその文章はオッケーなのか?」「アウトに近いセーフでない何かだ」とか言って、読者(私)が感じたモヤモヤというか、不満に寄り添おうとしている節は見受けられましたが、ダメなものはダメです。
釈然としませんし、完全にアウトだと思います。
キョンも納得いかないことが多かったようで、読んでいてキョンと私の心の声がしょっちゅうシンクロしました!
例えばさっき書いた、鶴屋さんが意図的にこれまで「」が付いてなかったセリフの所に途中から「」を付けだしたことに関しても、キョンは「恣意的すぎるだろ。セリフがあるなら最初からそういう風にかいたらいいし、なしで通すのなら最後までまっとうすべきだ」と、私と全ったく同じ意見をハルヒに言ってました!
しかしハルヒは……
ハルヒ「それはあんたの感想でしょ」
私の心:『いや違うでしょう?個人の感想だとかじゃなくて一般的におかしいでしょ』
ハルヒ:「逆に言うと、そうしてはダメなんてルールもないわけよ。別にいいんじゃない? 何をどう書こうと鶴屋さんの自由だわ。あたしは大して気にしないわよ」
私の心:『『ルール』って何?何の話? そうじゃなくて、紛らわしくてわざと読者を騙そうとする書き方は止めた方がいいんじゃないかって話じゃないの?』
(というかこの後、鶴屋さんが嘘をついてたことも発覚しますし。これは『ルール違反』じゃないんでしょうか?)
なんだか突っ込まれると苦しい部分を、作者さんがハルヒ達に「大して気にしないわよ」などと言わせて誤魔化そうとしている気がしました。
きちんと読者が納得のいくような説明をするのではなく、『読者が疑問に思うであろうことを先回りして言っておいて、読者から攻撃されないよう予防線だけはっておこう』みたいな。全体的にお話はしっかりと作り込まれていました!ただ、ちょっとその辺の姿勢がいい加減だったような気がして残念かもです。
(※ここから下は、私の勝手な想像です)
私はミステリ小説のことはよく分かりません!私はミステリ好きではなく、ただのハンパなラノベ好きです。
ですから、これはもしかしたらの話なんですが、この作者さんはミステリ小説の『新規性』みたいな、新しさで勝負したかったのかもしれません。
しかし私のようなミステリ小説に疎い人間が読むと、古いステレオタイプなミステリトリックを使われても『新しい!』と感じてしまいます。(だって知りませんし)
つまり、もし作者さんが『新しさ』のような物で勝負したかったのだとしたらそれは私相手には失敗です。
私はこういう系統のお話の『新しさ』は評価できません。
私は『鶴屋さんの挑戦』を読んで、正直どう評価していいのか分かりません。そもそも私は『このお話や出てきたトリックって、ちゃんと成立してるの?』と疑問に思ってしまいます。読み終わってもスッキリしません。ごめんなさい。
『そんなことも分からないヤツが感想なんて書いてるんじゃねえよ!』と文句を言われても仕方ありませんが、分からない物は分かりません!
出てきたトリックが上手いのか下手なのかも判別できません!犯人は本当にあの名前で確定なんでしょうか?
SOS団に謎解きされて色々と明かされていくシーンでは、ただ『ふーん?』という感じでした。
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