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2018年09月07日

トルコリラ・ショック

トルコリラが世界経済に影を落としています。
8月1日、アメリカのトランプ大統領は、トルコから輸入する鉄鋼などに対する追加関税を大幅に引き上げると発表し、その結果トルコリラは暴落しました。

9月3日、トルコ中央銀行は13日の政策決定会合で「金融政策スタンスを調整する」との声明を出し、遂に利上げを示唆するに至りました。
エルドアン大統領が頑なに利上げを妨害してきたことがトルコリラ急落の一因でもあったため、状況を好転させる可能性が出ていますが、予断を許さない状況です。

トルコリラが急落した原因は、エルドアン・トランプ両大統領の対立に尽きます。
2016年に起きたトルコのクーデター未遂事件は、エルドアン大統領を反米へシフトさせるのに充分なものでした。
アメリカ人牧師のブランソン氏が、アメリカ政府の指示でクーデターを導いていたのは恐らく事実であると考えられます。
権限強化を進めてきたエルドアン大統領は、簡単には引き下がらないでしょう。

理論的には、中央銀行による利上げが根本的な解決手段となりえますが、エルドアン大統領は政策金利の引き上げには反対しています。
トルコのインフレ率は16%を超え、年内には20%に至るという観測すら聞こえてきます。
アメリカ人牧師の解放もままならず、為替マーケットでは悲観的な見方が大勢です。

トルコリラは、日本の為替マーケットではアメリカドルに次ぐ、2番目の出来高を誇っていました。
その理由は、年間10%以上のスワップ金利です。
所有しているだけでいいので、多くの投資家が買い一辺倒でした。
そこに台風が押し寄せるかの如く、今回のトルコリラ急落が発生しました。

今、日本の多くの投資家が膨大な損失を被っていると思われます。
証拠金不足に陥った買いポジションが自動的に強制決済され、暴落に拍車がかかりました。
泣く泣く損切りを迫られた投資家の心情は、想像に難くありません。

自己責任と言ってしまえばそれまでですが、やはり、出来高の多いトルコリラに、過度の安心感を持っていたのではないでしょうか。
何となく、大丈夫だろうと思っていた、出来高も多いし、と。
投資の怖さは、不確実な安心感、この脆さ、儚さが全てなのかもしれません。



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