2018年09月16日
内閣人事局の使命的役割と、石破茂氏が問題視する裏の理由
14日の日本記者クラブ主催討論会で、安倍晋三首相と石破茂元幹事長の、自民党総裁選候補による初の直接対決が実現しました。
経済政策の「成果」を誇示する首相に対し、石破氏は問題点を指摘して対抗。憲法改正をめぐっても、互いに持論を譲らず、応酬を繰り広げました。
経済政策を争点化したい石破氏はアベノミクスの基本的考え方とされる経済理論「トリクルダウン」に疑問をぶつけ、地方創生重視への軌道修正を訴えました。
これに対し、首相は「問題点の指摘も大事だが、具体的な政策を進めていくことがとても大切だ」と強調。地方でも正規雇用の有効求人倍率が1倍を超えたなどと数字を挙げて応戦しました。一人親家庭の子どもの大学進学率や、子どもの相対的貧困率が改善したと指摘しました。
安倍首相と石破元幹事長の、政策の相違点は幾つかありますが、個人的に注目しているのは、内閣人事局の扱いです。
内閣人事局は、第一次安倍内閣の時に構想が浮上しました。
行政改革のポイントは、縦割り行政にあり、その改善には人事権の掌握が最適であると、識者の間では昔から言われていました。
日本の官僚は極めて優秀である反面、己の所属する省庁、または傘下の業界に不利益となる事象、案件は決して通しません。
既存のやり方を重視し、既得権益を守り保護していく、規制改革の逆を行くのが王道であると考えているように思われます。
行政改革の手段として内閣人事局を志向した第一次安倍内閣は、霞が関の激しい抵抗に遭い、やがて失意のうちに倒れました。
次に組閣した福田康夫内閣は、及び腰ながらも国家公務員制度改革基本法案を閣議決定し、法案は成立、内閣人事局設置に関する法整備を行う方向性が決められました。
しかし、政局の影響等により福田内閣は退陣、その後発足した麻生太郎内閣は、内閣人事局の設置見送りを表明し、なし崩し的に立ち消えとなりました。
この一連の流れは、霞が関の抵抗が如何に凄まじかったかを物語っていると思います。
その後の民主党政権では、そもそも内容が理解されませんでした。
第二次安倍内閣が発足し、内閣人事局は再び日の目を見ることとなります。
内閣が規制改革をやろうとしている時に、事務型のトップである事務次官が規制改革に反対の立場の人間なら、規制改革などできるはずがありません。
そして国会議員は国政選挙において、有権者の審判を仰ぐのですが、公務員に選挙などありません。
選挙で落選するリスクを負うことなく、国家権力を行使し得るのですから、官僚の力の大きさは計り知れないのです。
これをコントロールしようと努める、安倍首相の改革マインドには恐れ入ります。
一方、この内閣人事局を問題視するのが、石破茂氏です。
いわゆるモリカケ問題と、これに関する財務省の決裁文書改ざん問題で、内閣人事局が原因であり、その弊害を指摘し、制度の見直しを政策課題に掲げています。
省庁幹部の人事権を首相官邸に集中させている人事局の存在が、官邸に対し必要以上に忖度する空気をまん延させており、これを改める必要があるとの主張です。
石破氏はどうも、内閣人事局は官邸の言うことを聞く官僚は出世させ、そうでない官僚は干される、悪しき制度であるという認識のようです。
事務次官はともかく、所詮、数年のうちに入れ替わる内閣の人事評価より、自分の所属する省庁内部での人事評価の方が、出世レースには遥かに重要だと思うのですが、石破氏の理解は異なっています。
恐らく側近に元官僚がいて、内閣人事局制度に徹底して反対しているのでしょう。
霞が関の強大さと共に、単に利用されている、この辺りにも石破氏の軽さというか、大物らしくないところを感じてしまうのでした。
経済政策の「成果」を誇示する首相に対し、石破氏は問題点を指摘して対抗。憲法改正をめぐっても、互いに持論を譲らず、応酬を繰り広げました。
経済政策を争点化したい石破氏はアベノミクスの基本的考え方とされる経済理論「トリクルダウン」に疑問をぶつけ、地方創生重視への軌道修正を訴えました。
これに対し、首相は「問題点の指摘も大事だが、具体的な政策を進めていくことがとても大切だ」と強調。地方でも正規雇用の有効求人倍率が1倍を超えたなどと数字を挙げて応戦しました。一人親家庭の子どもの大学進学率や、子どもの相対的貧困率が改善したと指摘しました。
安倍首相と石破元幹事長の、政策の相違点は幾つかありますが、個人的に注目しているのは、内閣人事局の扱いです。
内閣人事局は、第一次安倍内閣の時に構想が浮上しました。
行政改革のポイントは、縦割り行政にあり、その改善には人事権の掌握が最適であると、識者の間では昔から言われていました。
日本の官僚は極めて優秀である反面、己の所属する省庁、または傘下の業界に不利益となる事象、案件は決して通しません。
既存のやり方を重視し、既得権益を守り保護していく、規制改革の逆を行くのが王道であると考えているように思われます。
行政改革の手段として内閣人事局を志向した第一次安倍内閣は、霞が関の激しい抵抗に遭い、やがて失意のうちに倒れました。
次に組閣した福田康夫内閣は、及び腰ながらも国家公務員制度改革基本法案を閣議決定し、法案は成立、内閣人事局設置に関する法整備を行う方向性が決められました。
しかし、政局の影響等により福田内閣は退陣、その後発足した麻生太郎内閣は、内閣人事局の設置見送りを表明し、なし崩し的に立ち消えとなりました。
この一連の流れは、霞が関の抵抗が如何に凄まじかったかを物語っていると思います。
その後の民主党政権では、そもそも内容が理解されませんでした。
第二次安倍内閣が発足し、内閣人事局は再び日の目を見ることとなります。
内閣が規制改革をやろうとしている時に、事務型のトップである事務次官が規制改革に反対の立場の人間なら、規制改革などできるはずがありません。
そして国会議員は国政選挙において、有権者の審判を仰ぐのですが、公務員に選挙などありません。
選挙で落選するリスクを負うことなく、国家権力を行使し得るのですから、官僚の力の大きさは計り知れないのです。
これをコントロールしようと努める、安倍首相の改革マインドには恐れ入ります。
一方、この内閣人事局を問題視するのが、石破茂氏です。
いわゆるモリカケ問題と、これに関する財務省の決裁文書改ざん問題で、内閣人事局が原因であり、その弊害を指摘し、制度の見直しを政策課題に掲げています。
省庁幹部の人事権を首相官邸に集中させている人事局の存在が、官邸に対し必要以上に忖度する空気をまん延させており、これを改める必要があるとの主張です。
石破氏はどうも、内閣人事局は官邸の言うことを聞く官僚は出世させ、そうでない官僚は干される、悪しき制度であるという認識のようです。
事務次官はともかく、所詮、数年のうちに入れ替わる内閣の人事評価より、自分の所属する省庁内部での人事評価の方が、出世レースには遥かに重要だと思うのですが、石破氏の理解は異なっています。
恐らく側近に元官僚がいて、内閣人事局制度に徹底して反対しているのでしょう。
霞が関の強大さと共に、単に利用されている、この辺りにも石破氏の軽さというか、大物らしくないところを感じてしまうのでした。
週刊東洋経済 2018年6月23日号 [雑誌](官僚の掟(おきて) 忖度エリートのカネと出世) 新品価格 |
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