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2016年10月24日
[ネタバレあり]オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主(2013)〜職業:フリーター、特技:霊能力
『オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主』Odd Thomas(2013・米)
監督/スティーヴン・ソマーズ
脚本/スティーヴン・ソマーズ
原作/ディーン・クーンツ
製作総指揮/カースティン・ロレンツ、ステファン・マルゴリス、マイケル・アラタ
製作/スティーヴン・ソマーズ、ジョン・バルデッチ、ハワード・カプラン
撮影監督/ミッチェル・アムンドセン
音楽/ジョン・スウィハート
編集/デヴィッド・チェセル
衣裳デザイン/リサ・ジェンセン
視覚効果/ピエール・ブファン
主演/アントン・イェルチン、アディソン・ティムリン
ウィレム・デフォー、ググ・バサ=ロー
オッド・トーマス(20)職業:フリーター、特技:霊能力、彼女:アリ。 愛と勇気に満ちたご近所ヒーロー!
【映画ネタバレ】オッド・トーマス 死神と奇妙な救世主
<ネタバレあり! 結末まで掲載しています!>
舞台はラスヴェガス近くの田舎町ピコ・ムンド。レストランの厨房で働くオッド・トーマスは、霊が見えたり、死者の気持ちを読み取る特異な能力を持っていた。平穏に生きていたいと願う彼だったが、ある日、不吉な予兆に満ちた大殺戮の悪夢にうなされて目を覚ます。そんなオッドの秘密を知る協力者は、恋人のストーミールウェリンと警察署長のワイアット・ポーターだけ。
ショッピングモールのアイスクリーム屋で働くストーミーは、オッドのバイト先のレストランにも毎日のように顔を見せ、キスを交わして帰っていく。だがその日、一見いつもと変わらぬ店内に、挙動不審な男ボブ・ロバートソンの周囲を“ボダッハ”という悪霊が彷徨っているのをオッドは感じていた。ボダッハの出現は、流血の惨劇が間近なことを意味していた。しかも数体というのではなく、大量のボダッハはとてつもない災厄の到来を意味していた。
そんな時、友人のヴァイオラ・ピーボデから「自分と男の死体が横たわる」夢を見たと打ち明けられるオッド。その死体の男の服装はボウリングの球の柄がプリントされた赤と黒のシャツだったという。オッドは“霊的磁力”を使って不審な人物を捜し始め、まもなくストーミーの店で大量のアイスを買っているボブに遭遇。彼の周りにはボダッハがひしめいていた。
心配するストーミーをなだめながら、ボブの自宅に侵入するオッドだったが、実はその部屋こそがボダッハが町にやって来る霊界への入り口だと気付く。ボブの部屋の中は異様なムードに満ちており、意味ありげにカレンダー帖から8月15日の日付だけが破り取られていた。
オッドは署長に報告するが、自宅の庭でBBQ中の署長は半信半疑。その場にいた新任警官バーンに情報調査を命じ、ボブを監視させる。だが、教会の鐘楼でピクニックを楽しむオッドとストーミーの前にボブが現れ、二人に襲いかかってきた。なんとか逃げ切った二人は“霊的磁力”により気が付けばボウリング場に導かれていたのだった。そこに署長の命令でバーナーという警官がやってくるが、彼の腕には「POD」という謎のタトゥーが……。
そんな中、オッドの知り合いの美少女リゼットが獰猛な犬に追いかけられ、彼女を助けるためにその犬を撃とうとした教師のケヴィンに誤って射殺されるという事件が発生。さらにオッドは自宅で死体となったボブを発見した。
ボブの死体を廃墟に隠したオッドは、昼間ボブがオッド達を襲ってきた時にはボブはすでに死んでいたと悟る。一方、例の男のことを調べていたワイアット署長が何者かに銃撃され、重傷を負う。病院では、顔なじみのエクルズ巡査が署長の護衛についていた。
翌15日、オッドは再び男の家に行き、大虐殺を企てている証拠がないか調べることに。冷蔵庫の中には人の指と骸骨があった。そこにオッドを恨むボブの霊がやってきて、ポルターガイストを起こして襲ってきた。なんとかその場から逃げたオッドは、隠していたボブの死体に手掛かりがあることに気が付き、それを調べに行く。ボブの胸には「POD」という刺青があった。
その刺青は前にオッドに話しかけてきたバーナー巡査の腕にあったものと同じだった。虐殺を企てていたのは警察官だったのだ。犯人が狙っているのは、数百人の人が集まるショッピングモールだったのだ。そこにはストーミーが働いている。
オッドはショッピングモールに付くと、すぐに犯人らしき人物を見つけて撃退する。しかしその男は、エクルズ巡査だった。犯人は2人組ではなく3人組だったのだ。
遠くから悲鳴が聞こえ、銃撃が始まってしまった。オッドはすぐに駆け付け、ボダッハの妨害を振り払いながら銃撃犯を撃ち殺す。事件は終わったかにみえたが、オッドが撃ち殺したは教師のケヴィンだった。3人組だと思っていた犯人は4人組だったのだ。
そして被害者の霊に導かれて倉庫に行ったオッドが見た物は、トレーラーに積まれた巨大な爆弾だった。そこにバーナーが銃撃を浴びせる。オッドは傷つきながらトレーラーを自ら運転し、残り時間の少ない爆弾を人のいない場所で爆破させようとした。バーナーの抵抗にあいながらも、オッドはトレーラーを砂漠に突っ込ませる。オッドは運転席から飛び降り、バーナーはトレーラーの大爆発に呑まれた。こうして被害は最小限に食い止められ、オッドも重傷を負いながらも一命を取り留める。
目を覚ましたオッドの前にはストーミーの姿が。署長はオッドの功績をたたえて、家をプレゼント。オッドは傷が癒えるまで、ストーミーと二人でそこで暮らした。しかし、現実は残酷だった。オッドと過ごしていたストーミーは、すでに死んでいて霊になった姿だったのだ。署長たちに促され、オッドはストーミーをあの世へと見送ることに。そしてオッドは街を出て、新たな人生を歩むのだった。
<END>
人気作家ディーン・クーンツのベストセラー小説「オッド・トーマスの霊感」を、『ハムナプトラ』シリーズのスティーヴン・ソマーズ監督が映画化したサイキック・アクションです。
霊が見える特殊な能力を持つ青年が、街に降りかかる災厄を未然に防ごうと奮闘する姿を描きます。主人公のオッド・トーマスを演じるのは、若手演技派として注目を浴びるアントン・イェルチン。そこに実力派ウィレム・デフォーが脇を固めて安定感がありますね。
その一方、ボダッハの造形のキモさ、ゴキブリの使い方の悪趣味さ、ブラックなお笑い要素、ゴリゴリと不器用な語り口など、もともとクーンツの小説の持つ「ちょっとB級っぽい感覚」を体現しているような感じです。それも含めて、手堅く原作をまとめており、ハラハラドキドキ&ホロリのなかなか良い小品に出来上がっています。これ、シリーズ化してくれませんかね?
■ブルーレイ版 | ■DVD版 | ||
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サササッ 三|ノシ・з・|┐ それではまた!
2016年10月23日
[ネタバレあり]マイボディガード(2004)〜守りたい。男に生きる希望をくれたのは、たった9歳の少女だった。
『マイ・ボディガード』Man on Fire(2004・米/墨)
監督/トニー・スコット
脚本/ブライアン・ヘルゲランド
製作/トニー・スコット、アーノン・ミルチャン
出演者/デンゼル・ワシントン、ダコタ・ファニング
ラダ・ミッチェル、クリストファー・ウォーケン
マーク・アンソニー、ジャンカルロ・ジャンニーニ
レイチェル・ティコティン、ミッキー・ローク
音楽/ナイン・インチ・ネイルズ、ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
撮影/ポール・キャメロン
編集/クリスチャン・ワグナー
製作会社/リージェンシー・エンタープライズ
ニュー・リージェンシー・プロダクションズ
守りたい。男に生きる希望をくれたのは、たった9歳の少女だった。
【映画ネタバレ】マイ・ボディガード
<ネタバレあり! 結末まで掲載しています!>
暗殺のプロであるジョン・クリーシィは米軍で16年間も対テロ活動に明け暮れてきた。しかし、彼は今では人を愛することができなくなり、酒浸りで生きる希望を失っていた。
そんな時、今はメキシコで護衛の仕事をしている部隊の先輩レイバーンの紹介で、実業家サムエル・ラモスと妻リサの9歳の娘、ピタのボディガードとして働くことになる。最初は義務的に仕事をこなしていたクリーシィだったが、やがて純粋で無邪気なピタとの交流の中で、生きる希望を取り戻していく。
だがある日、何者かに娘のピタが誘拐されてしまい、クリーシィも銃撃を受け倒された。政情の不安定なメキシコでは、誘拐は立派なビジネスとして成立していたのだ。
ラモス家では、弁護士のジョーダンが犯人との交渉を仕切ろうとするが、司法警察が強引に介入。事件の背後には、政府の幹部や汚職警官の巨大犯罪組織エルマンダーが絡んでいた。クリーシィは重傷の身をおして事件の全貌を解明するために立ち上がり、黒幕関係者を次々と殺害していく。
そして実は、ピタの父であるサムエルもグルだったことが判明。彼は借金返済のために娘の誘拐を承諾してしまったのだ。それが妻リサにバレて、サムエルは自殺した。
クリーシィはさらに犯人組織を追い詰めていき、一度死んだと聞かされたピタがまだ生きていることを知る。そして自らの身と引き替えに、ピタをリサのもとへと返し、自分はエルマンダーの手に渡り息絶えるのだった。
<END>
A・J・クィネルのクリーシィ・シリーズの第一作『燃える男』を故トニー・スコットが映画化し、固い絆で結ばれた少女を犯罪組織にさらわれた男の復讐劇が、激しくも感動的に描かれます。名優デンゼル・ワシントンが入魂の演技を披露する、傑作のバイオレンス映画ですね。
映画ではピタは救出されますが、原作小説ではクリーシィが昏睡中に誘拐犯のミスでピタは死亡し、傷を癒して復讐鬼と化したクリーシーが誘拐に関わった人間たちを容赦なく粛正していくという話になっています。この原作は過去にスコット・グレンの主演で映画化されていて、実は本作は2度目の映画化。原作に忠実なこちらも、ぜひリリースしてほしい作品ですね。
デンゼル・ワシントンはかっこいいですよねぇ。中年から老年へと向かう落ち着いた魅力というか何と言うか。そしていい男は最期に死にますねぇ・・・あと、この映画の原題「Man on Fire」もいいっすねぇ・・・
■ブルーレイ版 | ■DVD版 | ||
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サササッ 三|ノシ・з・|┐ それではまた!
2016年10月22日
[ネタバレあり]合衆国最後の日(1977)〜核ミサイルを手にし世界を人質に取った男の要求とは?
『合衆国最後の日』Twilight's Last Gleaming Das Ultimatum(1977・米)
監督/ロバート・アルドリッチ
脚本/ロナルド・M・コーエン、エドワード・ヒューブッシュ
原作/ウォルター・ウェイジャー『Viper Three』
製作/マーヴ・アデルソン
製作総指揮/ヘルムート・イエデレ
出演者/バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク
チャールズ・ダーニング、ジョセフ・コットン
ポール・ウィンフィールド、バート・ヤング
音楽/ジェリー・ゴールドスミス
撮影/ロバート・ハウザー
編集/マイケル・ルチアーノ、ウィリアム・マーティン
配給/日本ヘラルド映画(初公開時)
核ミサイル基地を占拠し世界を人質に取った元軍人が、合衆国政府に突きつけた要求とは……?
【映画ネタバレ】合衆国最後の日
<ネタバレあり! 結末まで掲載しています!>
舞台はアメリカ、モンタナ州、1981年11月。州刑務所を脱獄した4人の囚人はミサイル基地に通じる道で軍用トラックを乗っ取り、基地に侵入した。リーダーは元空軍大佐のデル(バート・ランカスター)。この基地の設計者でもあり、ハト派的言動で投獄されていた男だ。
彼は侵入の折、仲間の1人を計画にそぐわないとして射殺し、結局デル、黒人のポーウェル(ポール・ウィンフィールド)、そしてガルバス(バート・ヤング)の3人で内部に入った。デルはベトナム戦争に関する「政治的な秘密」を暴露しようと試みたがゆえに、不穏分子と見なされ、殺人をでっち上げられて投獄されていたのだった。
彼らはミサイル・コントロール・センターを占拠した。ミサイル基地の設計等に参画していて装置等を熟知しているデルは、第三次世界大戦に至らぬための安全装置を無力化してミサイルを発射可能の状態にした。そしてオマハの司令センターに、彼らの行動を告げる。
司令センターの責任者マッケンジー将軍(リチャード・ウィドマーク)は、この事件をホワイトハウスへ連絡した。ただちに非常機密会議が招集され、その席上デルから電話が入った。核弾頭を搭載してロシアに向けられた9機のICBM(大陸間弾道ミサイル)で脅しつつ、基地を装甲車や戦車に囲まれたデルは、米国大統領デイヴィッド・スティーヴンス(チャールズ・ダーニング)と直接電話で交渉をはじめた。
デルの要求とは、ベトナム戦争当時、ベトナムの人々のみならず米国の兵士をも殺しまくったベトナム戦争の真実、「ベトナムの周辺国への、共産化への警告のためとしての、犠牲を無視した単なる示威戦争および兵器産業振興が目的だった」ことが記された国家機密文書の公表、国外逃亡資金1千万ドルの用意、そして逃亡地点までの大統領の人質、の3点だった。
大統領よりの指令でマッケンジーは、戦車と小型原子爆弾を基地に配置する。だが、デルは事態を察し、ミサイルの発射ボタンを押した。だんだんとせり上がって行くミサイル。発射10秒前。デルが本気なのを知り、大統領は作戦を中止する。8秒前、ミサイルは止まった。その最中、極秘裏のタカ派高官の圧力により、デルらの抹殺が水面下で決定された。
ついに、大統領は文書公開をデル達に約束し、自ら人質になるため現金を持って出向く。基地内での対話により、互いに信頼が芽生えるデルと大統領。やがて、大統領にぴったりついてデルたちが出て来た。専用機へ歩む彼ら。
一方、文書公開をはばむマッケンジーらは、用意した狙撃兵に命令をあたえた。銃弾は発射された。倒れるデルたち、そして大統領。デルたちは即死だった。瀕死の大統領はマッケンジーに、何度も文書公開を頼む。マッケンジーたちは、大統領が息を引き取る間際でも、無表情で無言だった。
<END>
核ミサイル基地を乗っ取り政府を脅迫する顛末を描いた、ポリティカル・サスペンスの傑作。チェスのような駆け引きで騙し合い静かに戦う、重厚な作品で息つく間もありません。同時進行中の様々な場面を、マルチ画面で分割して同時に見せる海外ドラマ『24』でも使われた手法が、ギリギリと緊迫感を盛り上げます。
なんとも恐ろしいのは、1977年に描かれた政府内のパワーバランスや官僚主義、隠蔽体質などが、この現代でもまったく変わっていないということ。そのことに、背筋が寒くなります。
また、日本でも沢田研二主演の「太陽を盗んだ男」で、中学理科の教師が自力で原子爆弾の作成に成功し、日本政府を脅す、という映画がありますね。話がなかなか似ているし、1979年公開でかなり近いんですよね。70年代の娯楽映画って感じで、当時の町並みやファッションで時代の流れが見られますね。
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●こちらは「太陽を盗んだ男」
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