2020年06月09日
「ピンクの怪物2」シノプシス
「大人のケータイ官能小説」にて連載公開した小説「ピンクの怪物」は、本来、シリーズ化するつもりで書いた作品でした。しかし、コンテストにも落ちて、あまり人にも読まれてはいないみたいなので、このまま執筆し続けるのはヤメて、続編として構想していた内容を、こちらのブログにて、シノプシス(あらすじ)として掲載させていただきます。
いずみのパトス事件のあと、いずみと親友のエコは、すっかり、精神医療センターに入り浸るようになっていた。いずみは仲良くなった永山目当てで、エコは精神解析技術への純粋な学術的興味から。
そんな状況において、天才少女のエコは、またまた、新しいアイディアを発見する。彼女は、他人の精神の中に入り込んだ人間が、その精神内で殺されたとしても、その瞬間に、うまくリンクを切ってしまい、入り込んだ人間の本体が影響を受けないで済む技術を開発したのだ。これで、誰もが、安全に、他人の心に入り込む事も可能になった訳である。
その矢先、新たなパトス中毒患者が見つかった。その患者とは、いずみが、自分の精神内で出会った女性・令子であった!彼女は、実在する女性だったのである。と言う事は、彼女は、何らかの方法でいずみの心の中に送り込まれたのであり、しかも、他人の精神内で死んでも、本体が死なない技術をすでに施されていた事になる。
令子もまた、昏睡状態で発見されたのだった。彼女を救う為には、いずみが受けたのと同じ治療を受けさせるしかない。つまり、誰かが彼女の精神内に入り込んで、そこで眠り込んでいる令子を目覚めさせ、さらには、彼女の心を蝕んでいるカレ(リビドー)を退治するのだ。
しかし、困った事に、令子が持っていたスマホやパソコンは何者かに盗まれており、彼女のパスワード(心の鍵)は全くの不明だった。このパスワードが分からないと、その人の心の中には侵入する事ができないのだ。
そこで、ひょっこり、お呼びがかかったのが、いずみだった。いずみの持っているパソコンのtoko loaderこと所田は、以前、令子から彼女のパスワードを聞き出していたのだ。すなわち、所田にナビゲートさせれば、令子の心に侵入する事もできそうなのである。
そんな訳で、今回の令子救出作戦には、ぜひ、所田を貸してほしいと言う事になったのだった。所田が行くならば、相棒の球異(いずみのスマホ)もついていった方が、より二人のスキル(性能)は上がるだろう。そして、それだったら、持ち主のいずみも、一緒に行きたいに決まってるのだ。何よりも、いずみも、令子とは知らぬ仲ではなかったので、彼女の救出作戦には、ぜひ参加したかったのである。
いずみの志願は受け入れられた。他人の精神に入り込む技術の安全性も確保された事だし、一般人であるいずみの同行も認められたのである。そして、永山は、他人の精神に入り込む為の装置を、すでにもう一台、完成させていた。これで、二人まで、他人の精神に入り込めるようになっていたのだ。
と言う事で、今回は、いずみと永山の二人で、令子の精神の中を冒険するのかと思われた。
ところが、そこに割り込んできた者がいたのだった。このパトス中毒事件全般を担当していた警察の中村警部である。この事件は自分の管轄だから、自分が令子の精神内に入ると言い出したのだ。
いずみや永山も、これには困惑したが、相手が警察なので、強く反対する事もできない。実は、いずみと永山は、令子の精神内でも、自分たちでアニムスを呼び出して、切り札に使おうと思っていたのである。しかし、席を一人、中村に譲ってしまったら、それも出来ないのだ。
でも、結局、中村に押し切られて、令子の精神内に入るメンバーの一人は、中村に決定したのだった。所田が案内を務める以上、もう一人はいずみがついて行くしかない。止むを得ず、永山は居残りとなったのだ。
こうして、不安いっぱいながらも、令子の精神内に入り込むチームは、いずみと中村、所田と球異の四人に決まったのである。
いよいよ、いずみたちの冒険が始まった。
彼女たちが、ついに、令子の精神内に入り込んでみると、そこは、いずみの時のような無人の夜の町などではなかった。
令子の心の中は、まるで、ファンタジーのような西洋の中世のごとき街並みや風景が広がっていて、人間(令子の記憶上の人物)も歩き回っていたのだ。
どうやら、パトス中毒になっても、全員が同じ精神状態になる訳ではなく、それぞれの患者によって、差異があるらしい。いずみは、現実世界で拝見させてもらった令子の部屋には、童話の本がたくさん置かれていた事を思い出した。現実の令子は、子供っぽいメルヘン少女の一面があり、だから、彼女の精神内も、ファンタジー世界っぽいイメージで統一されていたのだ。
とは言え、それでも、いずみたちがやるべき任務は変わりはしない。このファンタジー空間において、まずは本物の令子を仲間にして、それから、どこかに居るカレを倒さなくてはいけないのだ。
そして、ファンタジー世界のように見えても、やはり、この場所は、カレ(性欲)に侵された空間だったのである。一本角がペ○スになったユニコーンなど、どこかエッチな要素のある怪物が、あちこちで徘徊していたのだ。
それでも、いずみたちは、この世界にいる人間たちから情報蒐集する事で、じょじょに、今この世界がどうなっているかの全体像を掴み出す。
この国の支配者である王女さまは、反乱に会い、城を追い出されてしまったのだと言う。それ以来、この国は、性愛の混じった、おかしな状態になってしまったのだ。この本来の支配者だっと言う王女さまが、令子である事はまず間違いなかった。となれば、城を乗っ取った悪者こそがカレであり、今回、カレは城にいると言う事になる。
だが、まずは、令子を救出する事が先なのだ。町人たちの噂によると、追放された王女さまは、街外れまで逃げのび、そこで、呪いをかけられて、ずっと眠り込んだままでいるらしい。
いずみたち一行は、その王女さまがいる場所へと向かう事にしたのだ。
ところが、そんないずみたちの前に、いきなり、敵の一団が立ちふさがった。
その顔ぶれを見て、いずみもびっくりする。なんと、敵の襲撃チームのリーダーは、光明寺だったのだ。なぜ、こんな場所に彼女がいるのだろう?いや、光明寺の方も、この空間でいずみと再会できた事を面白がっている雰囲気なのだ。やはり、彼女は本物の悪魔だったのだろうか?
謎だらけではあるが、ここは、とにかく、光明寺の妨害を退けて、令子に会いに行かねばならないのである。ところが、チームメイトの中村は、とんだ見掛け倒しで、あっさり、光明寺の手先の怪物に倒されてしまう。殺されてしまったのだ。
もちろん、エコの開発してくれた救命システムのおかげで、中村の実体まで死ぬ事はない。だが、精神内で死んだ中村は、この空間からは強制退場となり、緊急回避モードが働いて、この場からは消えてしまったのである。
いずみたちも危機一髪かと思いきや、そこへ、中村とすぐに交代した永山が、さっそうと登場した。これで、再び希望が見えたかと思いきや、なんと、永山と光明寺は、顔見知りと思われる会話を交わしたのだった。
結局は、光明寺は、ひとまず、この場からは逃げ出してしまう。
しかし、いずみには分からない事だらけなのだ。彼女は、永山を質問ぜめにしてみるが、ようやく、永山は真相を語り出す。
あの光明寺という女性は、もともと、精神医療センターに勤めていた、永山の同僚だったのだ。つまり、実在する人間だったのである。しかし、彼女は危険な脳内物質パトスを発明して、その実用を強行しようとした為、精神医療センターを辞めさせられてしまった。それなのに、彼女は、独自にパトスの研究を続けていたようなのだ。どうやら、いずみや令子も、気付かぬうちに、パトスの被験者に使われてしまったらしい。しかも、話はそれだけでは済まなかった。こうして令子の精神内で、光明寺と会えたと言う事は、彼女の方もまた、自力で、他人の精神内に入る技術を完成させていたらしい。その装置は、永山が開発したものよりも、もっと性能が良かった可能性が高くて、遠隔地からでも人の精神内に入り込む事もできるようで、これは手強い事にもなりそうなのだ。
このような不測の問題が判明してしまった為、永山はいったん現実の世界へ戻る事にした。今後の対策を精神医療センターの仲間と相談するだけではなく、精神内で殺された中村の実体の方のアフターケアもまだ途中だったのだ。そんな訳で、後でまた戻ってくる事を約束して、とりあえず、永山はこの世界から去ってゆく。
再び、いずみと所田、球異の三人だけで、この世界を冒険する事となったのだ。
いずみ一行は、ようやく、王女さまこと令子と出会うが、彼女は、いずみの精神にいた時と同じで、ずっと眠り続けていて、たまにしか目を覚まさなかった。まるで眠り姫なのだ。
令子と再会できた事を喜ぶいずみたちではあったが、令子にシャキッとしてもらわない事には、この世界を元に戻す事もできなさそうなのだ。どうやら、まずは、令子にかけられた眠りの呪いを解く必要があるらしい。
ちなみに、目覚めた時の令子は、けっこうキツめな性格だった。いずみの精神内にいた時とは違って、自分の精神内だったものだから、リラックスして、地の性格が出ていたようだ。
また、令子は、いずみとは違って、カレとセックスはしていなかったらしい。あの男嫌いの令子らしい話である。そんな訳で、この精神内も、完全にはカレには征服されておらず、従来のファンタジーな雰囲気を残したまま、記憶の人間たちも普通に歩き回っており、部分的にリビドー(性欲)が混ざり込んでいたみたいだ。
さて、一行が困り果てていると、そこに一人の可愛らしい幼女がやって来た。赤い頭巾をかぶっている彼女の名は、赤ずきん。ただの「赤ずきんちゃん」ではなく、このファンタジー世界において、狼退治を生業にしているのだと言う。やはり、実際の童話とは、だいぶ設定が異なっているのだ。
この赤ずきんが教えてくれた話によると、王女さまを完全に目覚めさせる為には、呪いの主である四匹の100年狼を退治せねばならぬと言う。そして、この怪物狼たちは、普段は人間に化けているとの事なのだ。赤ずきんは、自分自身の使命でもある為、いずみたちに、狼退治の助っ人を名乗り出る。
かくて、眠れる令子も連れ出したいずみ一行は、謎の赤ずきんも味方に加えて、この奇妙なファンタジー世界で、狼退治の旅にと出発したのだ。
第一の100年狼が化けていた人間は、金髪のイケメン白人・ビリヤ。第二の100年狼が化けていた人間が、神経質なインテリ風の青年・魔人。これらの狼の化身たちを見て、令子には思い当たる事があった。
この二人の男は、いずれも、現実世界での令子の元カレだったのだ。いつも浮気をして、恋人の令子を泣かせていたプレイボーイのビリヤに、学歴を鼻にかけて、横柄な態度で、令子に暴力を振るった魔人。
と言う事は、残りの100年狼も、現実世界の令子を傷つけた恋愛がらみの人間である可能性が強い事となる。そして、案の定、第三の100年狼が化けていたのは、令子にレズ行為を迫った会社の美人上司・山精だった。
いずみたち一行は、これらの手強い敵を、赤ずきんの力を借りて、次々に倒していく。昏睡しがちだった令子の意識も、じょじょに覚醒していくのだ。
いよいよ、狼退治も大詰めとなった時、現実世界より永山も戻って来て、戦線にと復帰する。
だが、敵の方も、再び光明寺が前線に乗り出してきて、彼女が引き連れていた最後の100年狼とは、なんと、永山であった。それも、理想化されたアバターの永山である。どうやら、令子は、いずみの精神内で永山と会った時、ほんのりと永山に恋しちゃっていたようなのだ。
光明寺は、精神内で自分を理想化していた永山の事をあざ笑う。そして、何らかの操作を行なったらしく、本物の永山の姿を、現実世界の太った永山に変えてしまったのである。これは、永山にしてみれば、屈辱なのだ。
しかし、現実の太った永山と、仮想世界のワイルドなニセ永山を比較した時、いずみは迷う事なく、本物の永山の方を選んだ。令子も、いずみのピュアな態度に気付かされて、いずみ同様に、本物の永山の側についた。
これでは、光明寺のアテも外れたと言うものなのだ。いずみたちは、ためらう事なく、ニセの永山を倒したものだから、光明寺は慌てて逃走した。こうして、狼退治のミッションは無事に達成したのだ。
赤ずきんも、自分の使命が終わった事で、安心したように、この場から去ってゆく。赤ずきんの姿を見て、令子は、そこに、ハッと自分の面影を見たのだった。もしかしたら、この赤ずきんは、幼き頃の令子の記憶が化けたものだったのかもしれない。
ともあれ、令子も完全に意識がはっきりしたのだ。あとは、城にいるカレと直接対決するのみである。
だが、城へ向かういずみたちを妨害せんと、敵も総攻撃を仕掛けてきた。怪しい性がらみの怪物たちが、いずみたちの元へと、波のように押し寄せてきたのである。
大量の敵を前にして、いよいよ、切り札のアニムスを使う時が来たのだ。いずみと永山は、二人で敵の群れを引き受けて、令子だけを先に城へと向かわせた。所田と球異は、令子のボディガードにつけて。
城の中に入った令子は、その屋上で、ついにカレと対峙する。カレの方も、令子が来るのを待ちわびていたのだ。カレは、令子と交わる事で、この世界も性まみれにする事を、まだ諦めてはいなかったのである。
城の屋上には、巨大な子宮が据え置かれていた。この子宮の中へ、男女二人が飛び込めば、結合は完了なのだ。二人の子供である性の怪物たちがドッと生まれるのである。
カレは、令子へと、自分とともに、この子宮の中へと飛び込む事を迫った。最初こそ、激しく拒絶していた令子であったが、これまで、さんざん、現実世界の恋愛相手たちに失望させられてきた事を、カレに指摘されると、恋愛への不信と復讐心から、次第に、肉欲だけのカレへと心がなびき始めてしまう。
いずみと永山が、この屋上に駆けつけた時は、令子は、今にも子宮に飛び込む直前だった。
しかし、そこで球異が動いた。令子の事を誠実に愛していた球異は、カレを跳ね飛ばして、代わりに、自分が、令子と一緒に、子宮の中へ飛び込んでみせたのだ。
これで、カレの計画も完全にオジャンである。この精神世界内で、不死身の性の怪物たちを生み出して、全てを覆い尽くしてしまう野望も絶たれたのだ。カレは絶望の悲鳴をあげながら、消滅した。
子宮の中へ入った令子は、球異に案内されて、現実世界でも目覚めるに違いあるまい。かくて、この精神世界においての、いずみたちの冒険も終了したのである。
後日、現実の世界では、パトス中毒から回復して、元気になった令子が、いずみへと、やたらと、いずみのスマホ(つまり、球異)を譲って欲しがるようになったのだった。
「ピンクの怪物<完全版>」
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