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2020年01月18日

「如月未代の奇妙な体験」(1)

私が過去に書いたシナリオの一つですが、本ブログ上にて再録させていただきます。
なにぶん、1990年代に書いた作品なもんで、現在にそぐわない設定もある事をご了承ください。

      ○川沿いの一本道  (朝・登校時)
   地に降り立った妖異なる美女・かむろ。
   黒い帽子、黒い衣服で身を包み、黒い日傘をさして、河原の一角にツンと立ち、
   すました笑顔であたりを眺めている。
   やがて、ひとけの無い一本道の一方から、数人の女子中学生たちが歩いて、
   かむろのいる方向へと近づいてくる。
   美少女の如月未代を中心とする、さちえ、ミチル、麻衣子、
   そして、後藤なぎさのグループである。
   なぎさを除く四人は、騒がしく、楽しげにペチャクチャとお喋りをしている。
   かむろも、彼女たちの存在に関心をしめし、目を向ける。
   (ただし、未代たちの方では、かむろに気付いた素振りは無い)
   そして、女生徒たちは、かむろのすぐ傍にまでやって来る。
未代「(ふと、わざとらしく)あーあ。ちょっと手が疲れてきちゃったなァ」
   皆の後ろからすごすごとついてきていたなぎさの方へと、
   未代は意地悪い表情で視線を送る。
   おとなしそうな少女・なぎさは、戸惑いの態度を見せる。
なぎさ「(小さく微笑み)あの・・未代ちゃん・・カバン、持ってあげようか」
未代「(パッと笑顔で)えー、ほんとォ!いつも悪いわね!」
   と、未代は自分のカバンをすぐなぎさへと渡してしまう。
さちえ「あー、ずるい!あたしのも持って!」
ミチル「あたしのもォ!」
   と、たちまち、なぎさは皆のカバンを一人で持たされてしまう。
未代「(明るく)ごめんねェ、なぎさ。助かるわァ」
なぎさ「(少し悲しげな笑みで)いいの・・いいのよ」
   一行は再び歩き出す。
   重たい荷物を一人で持たされたなぎさが、一歩遅れてついてゆく形をとって。
   彼女たちは、かむろの前を通り過ぎ、やがて、視界から消えてゆく。
   彼女たちが見えなくなるまで目を向け続けていたかむろは、
   相変わらず、妖しい笑みを浮かべている。 (FO)

      ○中学校・体育館内
   全校朝会の最中である。
   ズラリと整列した六百人近い全校生徒の前で、
   ステージに立った初老の校長先生が話をしている。
校長「(マイクを通し)皆さんも、
 テレビや新聞などのニュースでご存知なのではないかと思うのだが、
 最近、あちこちの学校では生徒たちによるいじめが問題となっている。
 ついこの間も、愛知の方で、同級生のいじめを苦に、
 一人の少年が自殺をすると言う、痛ましい事件が起こっている。
 我が校では、もちろん、このような悲しい出来事は起こしてはいけないし、
 生徒の皆さん一人一人が、いじめなんてものは決して許してはいけない
 と言う強い自覚を持つようにしてもらいたい。・・」
   整列した生徒の中には、未代も居て、気だるそうにあくびをしている。

      ○同・校庭
   晴れた空の下、沢山の生徒たちが、あちこちにたむろしている。
   木陰のところには、
   未代と三人の友達(さちえ、ミチル、麻衣子)がたたずんでいる。
   未代は、本を読みながら、皆の話を聞いている。
ミチル「あの校長ったら、全く、話が長くて、やんなっちゃうわよネ」
麻衣子「ほんと!普段はだらしないくせしてさ、
 話する時だけはカッコつけちゃうんだから」
   友の話を聞き、未代も微笑む。
未代「(ふと)なぎさ、遅いわね」
さちえ「どうせ、いつもの事よ。またグズグズ手間取ってるんだわ」
   そんな時、若い男性教師・清水が、彼女たちの傍を通り掛かり、
   清水は未代に目を止める。
   彼は未代を睨みつけながら、ぐんぐん近づいてくる。
清水「(未代へ)おい!そこの、お前!口紅つけてるんじゃないのか?校則違反だぞ!」
未代「(少しうろたえ)あの・・これ、違います」
清水「ウソつけ!オレの目はだませんからな!」
未代「本当です。あたし、もともと唇の色が濃いんです」
清水「言い訳するな!ちょっと位ならばれないなんて、思ったりするなよ!
 ほら、洗面所に行って、早く拭き取ってくるんだ!」
未代「(ムキになって)だから、本当なんですってば!」
   未代と清水のやりとりを、未代の友人たちは、ただオドオドと傍から眺めている。
   そこへ、なぎさがやって来る。
   ハッとしたなぎさは、そそくさと未代と清水の間に入る。
なぎさ「(清水へ)先生、本当です!未代ちゃんは、昔から特に唇が赤いんです」
   なぎさの仲介で、一瞬、清水は喋るのを止める。
清水「(少ししてから)ウソじゃないんだな、後藤」
吉川「皆、本当の事を言ってますわ、清水先生」
   と言いつつ、女性教師・吉川が皆の傍へと歩み、やって来る。
   吉川は、未代、なぎさらの担任である。
清水「(ためらいつつ)そうか・・吉川先生が言うのなら間違いはないな
 ・・ウン、それならいいんだ、それなら・・」
   清水はスゴスゴと去ってゆく。
   未代の友人たち、ミチルらはザマミロと言った表情で、彼の後ろ姿を見送る。
吉川「(未代の方へ歩み寄り)如月さん、気にしないでね。
 清水先生、風紀の担当だから、ついきつくなってしまうのよ」
   しかし、未代は吉川の事を相手にせず、なぎさの方へ目を向ける。
未代「(きつく)なぎさ。あの先生とは仲良しなの?」
なぎさ「(おろつきながら)あの・・清水先生、文芸部の顧問なの・・」

      ○同・女子トイレの洗面所
   未代と友人たちが、鏡を見ながら、
   顔にクリームをつけたり、髪を整えたりしている。
   何もしていないが、なぎさも未代の横に立って、皆が終わるのを待っている。
   未代は、気にしているらしく、しきりに自分の唇をいじくっている。
   はたと鏡ごしに未代となぎさの視線が合う。
   未代は、いきなり、バッとなぎさのバストを服ごしに手で掴む。
未代「(意地悪く笑い)わァー、なぎさ、胸大きくなったんじゃないの?」
なぎさ「(戸惑いながら)そんな・・大きくなんか・・」
未代「(楽しげに)いや、絶対、前より大きくなったってば!ねえ、ちょっと見せてよ」
なぎさ「(ためらい)え・・でも・・」
未代「だから、ちょっとだけだってば!ねェ、いいでしょう!」
さちえ「(はしゃいで)わあー、見せて、見せてェ!」
なぎさ「(うろたえ)いや・・でも・・だめ・・」
   未代と友人たちは面白がって、なぎさを取り囲み、
   困っているなぎさの制服を脱がし出す。

      ○同・廊下
   生徒たちに混ざって、吉川も歩いている。
   前の方で、女子トイレの付近に人だかりが出来ていて、ざわついているのに、
   彼女も気が付く。
   吉川はハッっとして走り出し、人だかりの輪の中へと押し入ってゆく。
   輪の中の人物を見て、吉川は動揺する。
   そこでは、下着姿(あるいは、全裸)にされたなぎさがしゃがみこみ、
   縮こまって、グスグスと泣いている。
吉川「(慌てて)ど、どうしたの!後藤さん」
   と、吉川は、なぎさに自分の上衣をかぶせてやる。
   先生の出現で、人だかりは見る間に解消されてゆく。
   あたりをグルリと見回した吉川の目に、未代たちの姿が映る。
吉川「(きつく、未代たちへ)如月さん!あなた達ね!」
未代「(すまして)先生、ちょっと遊んでいただけです」
吉川「冗談だとしても程があるわ。何て事をするの!
 早く後藤さんに服を返してあげなさい」
未代「(ムキになり)ちょっと、ふざけてただけだと言ってるじゃないですか」
ミチル「そうよ!先生、分かんないんだから」
未代「いつも、あたしたちの事を目のカタキにして」
吉川「(強く)あなた達が言う事を聞かないからいけないんでしょう!
 四人とも、あとで職員室の方へいらっしゃい!」
   その時、なぎさが吉川へと声を掛ける。
なぎさ「(泣きながら)先生、いいんです。ただ、遊んでただけなんです」
吉川「(きょとんとする)でも・・」
さちえ「(笑って)ほら、なぎさだって、そう言ってるでしょう」
吉川「だけど・・」
なぎさ「(泣きながら)本当です。何でもないんです」
   ミチルたちが、笑いながら、なぎさの衣服をなぎさの方へと放り投げ返す。
ミチル「なぎさだって、遊びだったって言ってるんだから、
 職員室には行かないからネ!」
未代「(ツンと)なぎさ。さあ、行こう!」
   先に立って、歩き去ってゆく未代たちのあとを、
   簡単に衣類を身に付けたなぎさが、まだ泣きベソのまま、オロオロとついてゆく。
   あとに残されて、吉川は困惑した表情で立っている。

(つづく)


posted by anu at 12:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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