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2020年01月08日

映画用「時の塔」解説

 本作は、レイ・カミングズのSF小説「時の塔(the shadow girl)」を、早川書房の「時の塔」と、岩崎書店の「時間ちょう特急」の、二つの邦訳を使って、映画用のシノプシスに直してみたものです。

 ベースにはジュブナイルの「時間ちょう特急」の方を使用して、登場人物名は完訳の「時の塔」のものを採用しています。と言いますのも、設定は「時間ちょう特急」の方がよく練られていましたが、「時の塔」だけに出てくるキャラクターもきちんと登場させたからです。

 原作は1929年に書かれた古典である為、内容に粗い部分も目立ち、そのへんは、私の方で解釈を色々と追加させていただきました。時間旅行のルールなんて、ほぼ全て、私が考案して、新たに付け足したものです。それが無いと、もっと別の効率いい時間旅行の仕方が思い浮かんでしまい、原作通りの話の流れにしにくかったからです。さらには、せっかくなので、タイムトラベルものらしい伏線も、随所に盛り込ませていただきました。そんな訳で、原作にない小ネタが本作にはかなり多く、あとで原作を読んだ方は、あまりの違いに驚いてしまうかもしれません。

 原作では、ほとんど見せ場のなかったキャラたちにも、本作ではより味付けをさせていただきました。無意味すぎるキャラがいると、逆に、観る人に物足りなさを感じさせると思ったからです。

 チャーリーを子供キャラにしたのは「時間ちょう特急」のアイディアですが、完全に主要キャラの一人に加えたのは、私の発案です。映画の場合、メインキャラに子供が一人いた方が、子供の観客は感情移入しやすいだろうと判断したからです。「時間ちょう特急」では省かれたキャラのジョーゼファは、その存在意義を考えているうち、本作では、かなり大事なキャラに化けました。ティラノサウルスは、せっかくのタイムトラベルものなので、サプライズ的に、強引に登場させたものです。

 原作のタイトルは「the shadow girl」であり、このタイトルも活かせるように、原作のエンディングの一コマも採用しただけではなく、事件の冒頭でも、彼女が目立つカットをあえて追加しています。

「ルシーの明日とその他の物語」
posted by anu at 11:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説
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