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2015年07月01日

1999年の恐怖

 21世紀生まれの若者たちにはピンとこないかもしれないが、昭和世代の私は、前世紀末に何かとんでもない事がおこるはずだと、ずっと確信し続けていた。私と同世代(アラフォー世代)の人たちなら分かってくれると思うが、かつてはノストラダムスの大予言なるものがはびこっていたのだ。このノストラダムスなる外国の予言者が、1999年には空から恐怖の大王が降臨すると宣言していたのである。
 で、これが日本では人類滅亡(宇宙人の侵略)とかに解釈され、1999年にまだほど遠い1970年代ごろは、大多数の日本人が本気で信じ込んだりしていた。たとえば、マンガ「北斗の拳」の冒頭が「199X年に核戦争が起こる」事になっていたのも、このノストラダムスの予言から割り出された年代設定だったのだ。
 ご多分に漏れずと言うか、創作用の資料のつもりでノストラダムス予言にどっぷりはまっていた私も「人類滅亡とまではいかなくても、きっと社会大変動ぐらいの事は起きるに違いない」と思い込んでしまっていた。
 はっきり言って、若い頃の私は生きる目的みたいなものもなく、辛い事ばかりの生活を送っていたのだが、それでも、1999年に何が起きるかだけが知りたくて、1999年までは何とか生き続けてやろうと言う未来の楽しみにしていたのである。
 そして、1999年がやって来たわけだが、あれほど過去には騒がれていたにも関わらず、全く呆気にとられるほど何も大異変は起きはしなかったのだった。
 こうして、私も、1999年が過ぎた事で、完全に生きる理由が無くなってしまった次第なのだが、世の中とは不思議なもので、この頃から急速にインターネットや衛星放送が普及し始めた。このインターネットや衛星放送は、まさに私の為のような娯楽だったのであり、私は、1999年以降の新しい生きてゆく目的ができて、人生に絶望して死ぬ事もなく、さいわい今日へと至るのである。




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