大図鑑に載ってないクワガタたち（主に）

リクエストもありましたので、
マルバネについてちょろっと書きたいと思います。

量も多いので3回に分ける予定です。
過去記事に載せていない種類を中心にしていきます。
過去記事も参照してみてください。
[関連記事] Neolucanus（過去記事)

不明種はまたの機会とします。

1：N.bimaculatus Holotype Schenk,2013より
2：N.chiangmaiensis Holotype　Schenk,2006より
3：N.suzumurai Paratype Fujita,2010より
4：N.danangensis Holotype Schenk,2013より
5：N.vietnamensis Holotype Schenk,2013より

Neolucanus bimaculatus Schenk,2013: 7-8,fig.4
[Type Locality] China, Yunnan, Dali, Nanjian county, Wuliangshan

雲南省から記載された。
Holotypeは上翅の先端に紋がありますが、紋の出方には変異があるものと思われます。
前胸の側面が直線的であるものの、全体的な特徴はN.suzumuraiによく似ていて 地域変異くらいなものかもしれません。


Neolucanus chiangmaiensis Schenk,2006:8-9,fig.8
[Type Locality] Nord-Thailand,Chiang Mai Prov.,Umgebung Chiang Mai

北タイから記載された。
頭部は大きく、体型はやや細長い。
前胸の幅も狭くて縦長で、上翅の紋の幅は太い。


Neolucanus suzumurai Fijita,2010:13,116,figs.327(1-4)
[Type Locality] Doi Inthanon,Chiang Mai,N.Thailan

北タイで得られる。
N.parryiに似るが、全体的に幅広で強壮な印象。
顎は短く、前ケイ節は太く、上翅は短い。


Neolucanus danangensis Schenk,2013: 5-6,fig.3
[Type Locality] central Vietnam, Da Nang (no further data)


ベトナム中部から得られる。
N.castanoputerusとN.nitidusを混ぜたような種類。
体型は細長く、頭部は小さく、顎は短い。
前胸の形状はN.nitidusに似、複眼縁はN.nitidusは丸いが本種はややとがる。
記載前に本種を検品した時は不明種なのかN.nitidusのかなり変わった個体なのかよくわかりませんでした。
ゲアン産で過去記事のD.nitidusの項に載せたと思います。


Neolucanus vietnamensis Schenk,2013: 2-3,figs.1
[Type Locality] southern Vietnam, Lam Dong Province, Di Linh District, near Phan Thien

南ベトナムに分布。
N.nitidusに似るが、
頭部は大きく、前ケイ節は太く、光沢が強い。
顎は細長く、Holotypeはこの手の種類では珍しくタテヅノが出ています。



1：N.cingulatus Fujita,2010より
2：N.c.lansbergii
3：N.c.muntjac Fujita,2010より
4：N.c.ssp. 　Natuna Is. Fujita,2010より
5： N.c.ssp. 　Siberut I.　Fujita,2010より


Neolucanus cingulatus Parry,1864:20,fig.3
[Type Locality] Malacca

マレー半島に分布。
N.brevisに似た小型種。
体型は細長く、頭部は小さく、上翅にV字バンドが出る。
原名亜種は赤みが強い。
採集地が開発でつぶされたらしくて入手が困難。
新産地も見つかってないようで、絶滅したのではないかとの噂も…


Neolucanus cingulatus lansbergii Leuthner,1885:421-422,fig.4 [Neolucanus lansbergii]
[Type Locality] Eastern Sumatra

スマトラに分布。
原名亜種と比較し、やや大型で、複眼縁は発達する。
黒味が強く、紋の色は鮮やか。


Neolucanus cingulatus muntjac Gestro,1881:314-315,fig. [Neolucanus muntjac]
[Type Locality] Sarawak,Borneo

北ボルネオに分布。
体色は赤褐色〜黒色。
体型は寸詰まりで、複眼縁の発達は弱く、顎は直線的で反りが弱い。


Neolucanus cingulatus ssp.
[Distribution] Natuna Is.

ナツナ諸島より得られた。
原名亜種に似るが、顎中央は盛り上がり、前頭部は弱くくぼむ。


Neolucanus cingulatus ssp.
[Distribution] Siberut I.

シベルート島に分布。
スマトラ亜種に似るが、ずんぐりした体形で、顎は短く、光沢が強い。



1：N.didieri　記載文の絵　Lacroix,1972より
2：N.brevis　N.Thailand
3：N.b.rondoni　Paratype Websiteより
4：N.guiardi Type Mizunuma&Nagai,1994より
5：N.laticollis　E.Jawa 40.5mm
6：N.maculosus　Holotype Fujita,2010より

Neolucanus didieri Lacroix, 1972:117-119,fig.10
[Type Locality] Annam,Djiring

南ベトナムから記載された小型種。
記載文の絵では細長い体型で書かれてますが、
本種と思われる個体を見たところN.cingratusに似ています。
顎は直線的で長く、複眼縁は大きい。
上翅のバンドはT字状。


Neolucanus brevis Boileau,1899:197
[Type Locality] Catcin Cauri(Birmanie)
[sny] Neolucanus birmaensis Möllenkamp,1900:46 [Birma].

ミャンマー東部、北タイ、雲南省に分布。
N.cingulatusに似るが、光沢のある黒色で、
頭部は大きく、体型は幅広。


Neolucanus brevis rondoni Lacroix,1972:119-121,figs.11-12 [Neolucanus rondoni]
[Type Locality] Laos, Phou Khao Khouai, env. Ritaville à 40 km au N.-E. de Vientiane

北ラオス、北タイ（ナン）、北ベトナム西部より得られる。
顎はやや細長くて強く上反りし、複眼縁は発達する。


Neolucanus guiardi Didier,1926:212-213
[Type Locality] Laos,Xieng-Khouang

北ラオス、北ベトナムに分布。
N.brevisに似るが、顎はやや長く、体型も細長く、複眼縁はやや発達する。
よくは調べてませんが、N.b.rondoniより本種のほうがN.brevisに似た雰囲気に感じます。


Neolucanus laticollis (Thunberg,1806):197 [Lucanus laticollis]
[Type Locality] -
[sny] Dorcus glabratus (De Haan) Dejean,1837:193 [Java].

ジャワに分布。
N.brevisを巨大にしたような種類。
頭部は大きく、体型は強壮で、体が厚い。


Neolucanus maculosus Didier,1930:143,fig.106
[Type Locality] Staudinger et Bang-Haas

ジャワで得られた種類。
上翅にV字の紋があり、特徴もN.laticollisとは区別できる。
N.c.lansbergiiに似ているが、頭部は小さく、前胸は幅広い。
分布が限られているため追加個体が見つかっていない ジャワに分布するN.cingulatusの亜種（もしくは代置種）なのか、
N.cingulatusの変な個体のラベル間違いなのかは 現状では判断が難しいです。



1:N.fuscus 広西
2：N.zhongguo Holotype Schenk,2012より
3：N.baongocae Paratype Quangthai,2013より
4：N.inaharai Paratyep Okuda,2009より
5：N.delicatus DaNang
6：N.brochieri　Nagai,2000より
7：N.lehmanni Paratype Baba,1995より
8：N.l.ssp. Nagai,2000より

Neolucanus fuscus Didier,1926:213-214
[Type Locality] Tuyen-Quang
[sny] Neolucanus armatus Lacroix,1972:111-114,figs.1-3 [Tam Dao, N-E. Hanoï, N. Vietnam].
Neolucanus sianoukei Lacroix,1978:269-272,fig.10 [Tonkin,env. D'Hanoï].
Neolucanus zhongguo Schenk,2012: 3-4,fig.1 [China, north east Guangxi,east of Liuzhou city,Dayaoshan mountain range,1900m]

北ベトナム、中国(広西,雲南,貴州,海南島)に分布。
N.delicatusと混同されていましたが、本種はかなり大型になります。
N.zhongguoは大瑶山から別種として記載され、
大瑶山の種群は色合いの違いとやや上翅の光沢が強いとありますが、
N.fuscusの中にも同様の色合いの個体がみられ、変異の範疇に入るものと思われます。


Neolucanus baongocae Quangthai,2013: 377-384,figs.1(a-b),2(a-b),3(a-b),5(a),6-7,8(a-c)
[Type Locality] Vietnam: Lam Dong Province: Mt. Bidoup, Bidoup-Nui Ba National Park

中部ベトナムから得られた種類で、N.fuscusに近縁と思われます。
記載文中の2♂1♀とも前胸は赤色で上翅は明るい黄色で光沢が強いです。
前胸は強壮で、複眼縁はやや発達する。
大歯は不明ですが、中歯・小歯でもN.fuscusとは異なるようです。


Neolucanus inaharai Okuda,2009:41-45,figs.10-11,16,17b,18b
[Type Locality] Rattana Kiri Province,northeasten Cambodia

カンボジア北部に分布。
N.fuscusに似るが、顎はくの字に曲がり、体型は幅広、複眼縁の発達はやや弱い。


Neolucanus delicatus Didier,1927:144-147,figs.1-3
[Type Locality] Tourane(Annan) provenant

ベトナム中部に分布。
N.fuscusに似るが、小型で黒色個体のみで光沢が強い。
顎は細くてやや湾曲し、体型は幅広で寸詰まり。
当方は未見ですが、
本種に似た種類が中国からも得られているそうです。


Neolucanus brochieri Bomans et Miyashita,1997:3, figs. 2-3
[Type Locality] BURMA,Kachin Prov.

ミャンマー北部に分布。
N.delicatusに似るが、顎は太短く、頭部・前胸は小さく、前ケイ節は幅広い。


Neolucanus lehmanni Baba,1995:2,8-11,figs.3,5,pl.1-figs.1-8
[Type Locality] Dawna Range,Karen State,Myanmar

ミャンマー南部に分布。
N.brochieriに似るが、頭部は長く、前胸は長くて幅が狭い。
顎先端の内歯は上の歯が長い、複眼縁はとがり、前ケイ節は直線的。


Neolucanus lehmanni ssp. : in Nagai,2000:95,Pl.21-figs.39-42
[Distribution] N.Mtyanmar(Kachin)

N.brochieriに混ざっていてます。
Nagai,2000で触れらていて、実物を確認してみると確かに区別できます。
特徴的にはN.lehmanni に近いようです。
頭楯はかまぼこ型、光沢は弱く、全体的に幅広な体型。
頭部は扁平、胸部の突起の突出は弱い、前ケイ節は直線的、　などで区別できる。



1：N.swinhoei
2：N.zebra Holotype Lacroix,1988より
3：N.doro Holotype Fujita,2010より
4：N.d.horaguchii Holotype Nagai,2001より
5：N.eugeniae　Fujita,2010より

Neolucanus swinhoei Bates,1866:346-347,fig.2
[Type Locality] Formosa
[sny] Neolucanus castanopterus var. cephalotes Möllenkamp,1909:58 [Formosa].
Neolucanus bifoveolatus Möllenkamp,1912:128
Neolucanus zebra Lacroix,1988:5-6,fig.2 [Formose,Puly,Chin Kin Yu Rec.].

台湾に分布する種類で、通称「アカマルバネ」。極稀に与那国島にも流れ着くみたいです。
N.nitidusによく似ていますが、体型は細く、前胸は丸みを帯び、ケイ節・符節は長い。
N.zebraは上翅の色合いが特徴的ですが、タイプ標本以外の1♂1♀も確認したところ、
色味以外の違いがみられず、本種の変異と思われます。


Neolucanus swinhoei ssp.
[Distribution] 中国(広東省,海南島)

おこぜあいご氏のHPで写真は見られます。
ケイ節は幅広で、複眼縁はとがる。
亜種にするにはちょっと弱いかもしれませんね。


Neolucanus doro Mizunuma,1994:8,11,219,figs.12(a-d),129(1-8)
[Type Locality] Mt.Hehuanmou,Nantou Pref,Taiwan

台湾各所に分布し、N.swinhoeiとは標高差ですみ分けているそうです。
また、場所ごとで変異がみられるようです。
やや小型で寸詰まりの体型、複眼縁の発達は弱く、前胸の幅は狭い。


Neolucanus doro horaguchii Nagai,2001:10-13,figs.6-11
[Type Locality] Dalu-Lindau,Taoshan-Tsun,Wufeng-Hsiang,Hsinchu-Heien,Taiwan

新竹県大鹿林道で得られる。
原名亜種と比較すると上翅の光沢がやや強く、前胸前方の幅は狭くて後方の湾入は浅い。
赤色個体の割合も多いようです。


Neolucanus eugeniae Bomans,1991:363-365
[Type Locality] Taiwan:Rokki Takao

台湾に分布。
N.doroに似るが、頭部は大きく、前胸側面はややくびれて後角はとがる。