2014年05月25日
この世で一番大事な「カネ」の話 西原理恵子
今回高校生ぐらいの時に夢中で読んだ漫画「まあじゃん放浪記」の作者西原理恵子さんのエッセイだったので思わず手にとってみた。
内容が画風とかけ離れててショッキングだったがどうしてもらしさを伝えられそうになかったのでネタバレが多くなってしまった。
以後ネタバレが嫌な方は読み飛ばしていただきたい。
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《「痛いはダイヤモンド」それは私に限らずお笑いに関わる人間にとって「お約束」だと思う。》
これは「まあじゃん放浪記」を書く時に実際に自分のお金を賭けて損して書いた時のポリシーだそうだ。
10年間で約5000万もスったとか。
それなりの稼ぎを得られるようにはなっていたがまさに「バクチに追いつく稼ぎ無し」だ
美大の予備校時代からけっして上手くない絵を出版社に売り込みに行き、もらえる仕事はエロ本のカットでもなんでも描いてきた彼女ならではだ。
そこらへんの男(勿論、僕を含めて)なんかよりはるかに男らしく行動力がある。
そんな彼女の生い立ちも高知の貧しい田舎で育ち、友達はシャブ中になり、自身も高校を不条理に退学にさせられたりと、とても夢を見いだす事さえできない青春時代を過ごしてきた。
そして、終わりは突然やってきた。
一年かけて大検をとり東京の美大の受験日にお父さんは首をつって死んだ。
お父さんは競艇のために彼女の泣けなしの貯金12万を奪いそれを入れて40万を持って
「これで負けたら俺は死ぬ」と言って家を飛び出した。
「そんな勝負勝てるはずがない。この人はもう死んだほうがいい…」
そんな彼女の諦めとも悟りとも言えるこのひとことは読んでで少し辛くなった。
絶望しか見当たらない。
そして彼女本人もギャンブルにはまり痛い思いと出会いを繰り返していく。
ギャンブルをしたことがあるひとなら、負け方の美学やマナーのクダリにはズキズキ刺さるものがあるんじゃないだろうか?
「負けてもちゃんと笑っていること」
「調子がいい時はご機嫌だが悪くなると当たり散らす人もいるがギャンブルなんて負けて当然なんだからそれだったら最初からやるな」
思いっきり負けて落ち込んでる時でも「今日はこのぐらいにしといたる」という負けた時の切り返し方を身を持って習得している。
実際、負け方の勉強なんて学校では教えてくれない。
そんな人生のスパイスがたくさん詰まったこの本を『負け方』を知らない方に手にとってもらいたい。
最後の谷川俊太郎さんからの質問の彼女の回答が印象に残った。
「何がいちばんいやですか?」
「にくむこと」
挿絵を添えた回答が妙に救われた気がする。
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