2015年06月06日
心を整える 勝利をたぐり寄せるための56の習慣 長谷部誠
長谷部誠のプレースタイルは少し平凡なイメージがある。
あのパスが。あのシュートが。みたいに記憶に残るプレーが少ない。
ただ、今回この本を読んで、長谷部の言ってることが、すごく記憶に残ることになりそうだ。
この本を読んでからの、彼の代表やクラブでのプレーを見かけると全く違うものに映ると思う。
彼は、タイトル通り試合前に心を整えている。
移動中のバスで、このタイミングでミスチルのこの曲をかければ、到着する頃には気持ちができることや、代表のキャプテンとしてまとまらないチームをまとめ上げ、監督との信頼関係も長谷部ならではの構築の仕方があって見事としか言いようがない。
ザッケローニ監督のもとで先のカタールアジアカップで優勝できたのは、長谷部のおかげじゃないかと思ってしまった。
特にシリア戦で、確実にオフサイドにも関わらず、川嶋がpkを取られた時の長谷部の抗議の仕方はほんとにインテリジェンスとしか言いようがない。
普通の選手は感情に任せてレフェリーの意地を張らせることになるのが常だが、長谷部はみんなに一度離れてもらって主審と一対一でこういった。
「僕はあなたのために言っている。この試合は世界中で流れている。世界中の人たちが見ているのだからしっかりレフリングしてください」と。
そして、砕けた感じの笑顔を作りながらこう付け加えた。「この後は日本寄りのジャッジで頼むよ。」その6分後、岡崎がペナルティエリア内で倒されてpkが与えられた。あとで映像を確認するときわどい判定だった。
あの激動のアジアカップの裏でこんなやり取りがあったなんて、つくづくサッカーはおもしろいと思った。
この出版にあたって自分みたいな若造が本を出すなんてみたいな葛藤があったのだが、メディアで伝わるサッカー選手と実際のそれは異なる伝わり方をしてると感じて、書いてみようと思ったらしい。
普段から本を多く読み、人付き合いを大切にし、人や家族に感謝の気持ちを忘れない長谷部ならではの人間味が溢れ出て、思いとどまったときに再読すると、f胸のつっかえがとれそうな良書だ。
スポーツというひとつのゲームで、結局、プレーしてるのは、一人一人の人間で、その個人個人に人生観や、精神性がプレーに反映されといると思うとよりスポーツは楽しめる気がする。
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