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フリーター、家を買う 有川浩








「新しい一日」と「オフィスと仕事」をテーマとしており、母の病気をきっかけに、自堕落なフリーター生活を送っていた主人公が成長していく様と、その家族の再生が描かれる。

ライトノベルというとなんだか、中身が薄そうだが、
出てくる登場人物、誠治も誠一も亜矢子も頭いい。

誠治の人事を任されての人を見る目、倉庫の在庫管理、父親のプライドを逆手にとっての説得の仕方。

会話の切り返しなんかも、ニートからちゃんとした職を見つけていく過程で、格段と洗練されていく。

それでいて、
庶民の皮膚感覚も富裕層のそれも男と女の視点の切り替えも、どちらもつまびらかに理解している。

作家の優秀な内面を、フィクションのさまざま登場人物に代弁させている。




とても読みやすく、退屈させずに物語に引き込む。



なるほど、この人の本は売れるわけだ。

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個人的な感想だが、終盤の採用した東工大出身の女の子との恋愛模様は、本筋のテーマと外れてあんまり必要性を感じなかったかなと。





大ヒットした「阪急電車」も読んだが、同様に作家のうまい引力に引っ張られた人は多くいると思う。

とにもかくにも、どんな形であれ作家の作品に一度は触れていただきたい。

フリーター、家を買う。 (幻冬舎文庫)

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