前回は、中野サンプラザ公演が達郎さんが気管支炎になって中止になった後、幸運にも一般抽選で当選した大阪公演に、京都観光からフェスティバルホールにたどりついた所まで書きました。
まずはフェスティバルタワー地下のインディアンカレーで腹ごしらえ。
そしてレッドカーペットステアウエィを登ると・・・
さあ、いよいよ山下達郎PERFORMANCE 2019が始まります。
その前にグッズの購入。
今年はツアーパンフのみ。ちなみに去年は「金達郎飴」なんてものを買いましたけど。
席はちょっと残念な3階席(__;)
でもこのホールは上に高いって変な表現ですが、ステージはそれほど遠くなく・・・。
達郎さんが曰く「天から拍手が降ってくる」は、自分たちが降らせてる訳ですね。
開演前の客入れBGMはお馴染み 達郎さん所蔵のドゥーワップのレア音源。
80年代からずっと流されているこれらの音源を3枚のCDにまとめて、昨年販売されました。
なんと8月の発売と同時にAmazonのR&Bチャートを独占し、更には昨年のレコード大賞企画賞も獲ったんです。
開演予定時間ほぼピッタリの18時05分暗闇のセットには、達郎さんこれもお馴染みのひとり多重アカペラが鳴り始め、会場は一気に歓声に包まれ、ドラムの小笠原拓海さんを先頭にバックバンドメンバー9人が現れます。
そして拍手と歓声が一層高まり、最後に山下達郎さんが現れます。
達郎さんが下手を見ながら左手を挙げると、間髪を入れずに達郎さん自身のギター1982年からずっと使っているブラウンのテレキャスターの16ビートカッティングが奏でられ、ここから3時間以上にわたるライブの始まりです。
達郎さん今回のシャツの色は緑色。グリーンは自分が知る限り初めてでした。
では、当日のセットリストに沿って、超私的インプレッションを書き綴って行きましょう。
1.SPARKLE
定番のオープニング曲。82年に放映されたサントリービールCMで初めて聴いた事が私が達郎ファンになったきっかけでした。この辺りはアーカイブに詳しいので割愛します。エンディングのスキャットも滑らかで、今日は声の調子も良さそう。
ちなみに何故このSPARKLEがオープニングに演奏されるかと言うと、コンサートをドラムのカウントで始めなくていいからだそうです。
2.あまく危険な香り
この曲も再開後のツアーでは演奏される事が多いと思います。こう言うミドルテンポの曲を聴くと、実にこのバンドの「巧さ」を実感できます。
3.ドーナツ・ソング
ボ・デドリービートが心地よいドーナッツソングは久しぶりに演奏されました。この曲のお楽しみは後半にこのビートの名曲メドレーが聴けることですが、何故か今年は本編の前に「さよなら夏の日」がこのビートで歌われました。後半ではWillie and Hand Jive (Jhonny Otis)、ハンドクラッッピングサンバ(大滝詠一)「右手左手あわせりゃ音出る拍手手拍子」
4.土曜日の恋人
2~3年前のライブで初めて演奏されたこの曲は、自分にとって数多い好みの達郎作品の中でもOne of my most favoriteナンバーです。前回演奏された際のMCで、以前のドラマーはこの曲をライブで演奏することを頑なに拒んだと言ってましたが、何故でしょうか?青山純はダメだけど小笠原拓海はOKの理由は?まあ小笠原さん、達郎さんにやれって言われりゃ拒否る事はあり得ないけれどね。今度聞いてみようかな?なんちゃって。
5.Paper Doll
メンバーのソロ回しが延々と続くペーパードールは、私の様にバックバンドの演奏も達郎ライブを楽しむ重要な要素として捉えているファンにとっては、楽しみな一曲。今回はギター佐橋佳幸〜ローズピアノ難波弘之〜ハモンド柴田俊文のソロが8小節(違ってたらごめんなさい)ずつ何度も繰り返されるという新しい趣向でした。
6.FUTARI
難波さんの素敵なピアノイントロから始まる3拍子のバラードは、達郎さんの数多くのバラード作品の中でも最も好きな一曲です。途中から入ってくるハルナさん、ENAさんのバックコーラスも素敵です。この女性バックコーラスは2015年から参加してますが、とてもチャーミングでバンドサウンドが若返りました。日本最強のコーラスオタク山下達郎の見立てですから悪かろう筈がありません。
ところでアルトパートの一見麻生久美子似のENAちゃんは、オーディションを受けるまで山下達郎の楽曲はRIDE ON TIMEとクリスマスイブ以外知らなかったんですって。「オーディションでSPARKLEの譜面渡されて歌ったけどその曲も知らなかった」ってそれ凄いな!
そしてこのバンドメンバー9名は、当然と言えば当然ですが全員初見がきくんですね。達郎さん全員分のパートの楽譜を自分で書いて渡してるんですって。1994年に佐橋佳幸さんがバンドメンバーに初参加した時、楽譜が音符で真っ黒に埋まっていて「目が点になった」らしいです。
7.サウスバウンドNo.9
ある意味、今年のセットリストでコアなファンからは最もウケた曲ではないでしょうか?初めてライブで演奏されるこの曲は「従来ではライブで再現不可能だった」ナンバーとのこと。
11月に発売されるキムタク主演の日曜劇場主題歌のカップリングで早くもこのライブ演奏を聴くことが出来ます!
8.君は天然色
「自分はもう大滝詠一さんが亡くなった年齢を超えてしまいました」のMCから「大瀧さんがこの曲オマエにあげるよと言ってくれたこのナンバーを」で披露されたのが、くちびるつんと尖らせて・・・でした。
9.REBORN
昨年に引き続き歌われたリボーンは、イントロのステレオ感あふれるエレピから続く歌唱と、ハルナさんのバックコーラスがとても印象的でした。
10.セールスマンズ・ロンリネス
達郎さんのエレピ弾き語りのこの曲も、ライブにかけるのは2回目。達郎さんの愛娘えりちゃんと行ったハンバーガーショップはモスバーガーだったんですね。
11.La Vie En Rose
定番のひとり多重録音のテープに乗せて歌われるアカペラコーナー、今年はドゥーワップではなかったですね。この薔薇色の人生と
12.Bella Notte
生まれて初めて観に行った映画がわんわん物語で、というMCから、日本版のDVDが発売される際にディズニーの指名でこのベラノッテのアカペラ版をレコーディングしたと言う逸話が話されました。
13.Smoke Get in Your Eyes
オーケストラのカラオケでよく唄われる煙に目が染みるですが、今回の歌唱は特に素晴らしかった。本当に滑らかな声で、最後のハイノートのロングトーンも余裕でした。山下達郎66歳、恐るべし!(笑)
14.クリスマス・イブ
誰でも知っているクリスマスイブは毎年必ず演奏されます。「初めてライブに来るお客さん、この一回しか来られないお客さんに対して聴いて頂く責務がある」と
15.蒼氓
重いテーマのこの曲は、同様のテーマの希望という名の光とテレコでセットリスト必ず加えられてきました。ここ数年は、希望という名の光メインで歌われていましたが、今年は蒼氓メインで。
途中People Get Ready [Curtis Mayfield]〜Blowin’ In The Wind [Bob Dylan]〜希望という名の光がメドレーで歌われます。
16.Get Back In Love
サックス宮里陽太のアルトのプレイが際だっていました。最近は自身のカルテットではテナーも吹いていますが達郎ライブではアルトメインでソプラノとバリトンサックスを演奏します。ライブで歌われるこの曲でいつも気になるのは、最後の「AGAIN」(アゲイン)を(ア ゲン)って歌うこと。今回もそう歌ってましたが、何故だろう?「復活ラブ」の歌唱指導で嵐に「(エンジェル)じゃなくって(エィーンジェル)って歌いなさい」ていってたのにね。
17.BOMBER
最近巷で盛んに話題になっている「シティポップ」に対してこんな事を言ってましたよ。
ハマオカモトさんが代弁してくれてます(笑)
18.LET’S DANCE BABY
この曲本編に続く定番のメドレー、今年はジャニー喜多川さん追悼ジャニーズメドレーでもやるかな?なんて思ってたんですが、奥様のデビュー40周年記念で・・・
不思議なピーチパイ〜もう一度 〜けんかをやめて〜リンダ 〜純愛ラプソディ〜毎日がスペシャル〜すてきなホリデイ〜元気を出して。
そして以前はずっとロイ・オービソンのMean Woman Bluesをこの曲の〆にやっていたのを、昨年から自身が近藤マッチに提供したハイティーン・ブギに「ウケ狙い」でやってくれました。
20.アトムの子
ここで本編終了。途中で夾まれたのは今年はアンパンマンマーチでした。
ところでこの曲のリズムを聴きながら拍を遅らせて手拍子を打ち続けるのって凄く難しいんです。
アンコール
21.プラスティック・ラブ
この曲こそ「ジャパニーズシティポップブーム」の火付け役、YouTubeで3000万以上の再生回数を誇る今や世界的ヒット曲は、達郎さん自身のライブ盤にも元々収録されていた訳で、ある意味今年のライブで演奏されるのは必然だったかも知れません。今回の左側の3階席からは小笠原さんのスティックさばきがよく見えたのですが、この曲のビートをバスドラと共に右手一本だけでハイハットを叩いていると言う事実を目の当たりに出来ました。以前ラジオのインタビュー番組で前任者の青山純さんが、達郎さんのこの難しいリクエストに対してさらっとこなした逸話を聴いた事ありましたが、目の前で小笠原さんもこなしているのを見て嬉しくなりました。
22.硝子の少年
「ジャニー喜多川 レスト・イン・プレイス」の一声から演奏されました。
23.Ride On Time
毎回この曲の呼び物は、なんと言ってもマイクを外した生声を聴かせてくれること。フェスティバルホールの3階席まで十分届く生声は、曲の途中で「だんだんエスカレートして、梯子に登らされるは、お立ち台を作られるは・・・」と笑カシをやってくれます。
あと、メンバー紹介もこの曲で各人のソロ回しで行われます。毎回難波さんのピアノと佐橋さんのギター、そして伊藤広規さんのベースソロは楽しみなんですが、最近ここがちょっと短くて不満です。
佐橋さんの「哀愁のヨーロッパ」や広規さんの「呪われた夜」また聴きたいな。
24.Down Town
いよいよライブもファイナルに近づき、バックコーラスの三谷泰弘さんもクラビネットを弾き、サックスの宮里さんもパーカッションを叩くと言ったメンバー総動員体制で盛り上がります。
25.Last Step
「今日は前半エヘン虫が出たので、オマケやります」でオマケ定番のこの曲のギタ−弾き語り。
でも今日はMCで前半少し声がかすれていましたが、歌はエヘン虫全く出た様には感じませんでしたけどね。
25.YOUR EYES
そしてラストナンバーも決まってこの曲。ひとり多重アカペラで奏でられるユア・アイズ。歌う前に必ずハーモニカで一瞬音出してから始まります。実は達郎さん絶対音感ないんですって。
間奏部分に宮里さんのアルトサックスソロを夾んで、The one who make my dreams come true.でエンディング。
「今日は本当にどうもありがとう。おやすみ!」で3時間10分に及ぶ TATSURO YAMASHITA PERFORMANCE 2019は大団円を迎えます。
今回もつらつらと書いてきましたが、文章で読んでもこれを一度でも見聞きした人じゃないと何が何だか分かりませんよね。
当然です。こればっかりは実際にライブに行かないとね。
他の誰々のライブより良いの悪いの(悪いわけないですが)言うつもりは毛頭ございませんが、個人的にはこれこそが自分が体験してきた最高の生歌唱と最高のライブ演奏であることは信じて疑いません。
だから是非皆さんにも体験していただきたいんです、こんな素晴らしい大衆音楽が現在の日本に存在することを。
でもねぇ、チケット買えないんだよね、滅多なことじゃ。
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