2016年11月19日

朱印船貿易について‐専門課程‐海外交渉史リポート

朱印船貿易について‐専門課程‐海外交渉史リポート

 朱印船貿易が始められたのは豊臣政権の時と考えられている。

日本は戦国時代をへて外国との貿易が活発になった。

戦国期、戦国大名や織田政権は外国との貿易を通じて、外国の技術や文化、軍事兵器をとり入れ、また、その貿易利潤が重要な軍資金となっていく。

豊臣政権時に日本の国は平定されるが、外国との貿易は盛んになっていく。


 当時は密貿易や海賊船も多くいたので、その区別のやり方として朱印状の交付が考えられた。

朱印状を持っている船が国から許可を与えられた正式な貿易船ということである。

外国との貿易が活発になる中、これまでの、無秩序であった外国との貿易に対して、ある程度の秩序を与えたと思われる。


 東アジアや東南アジアで、国家によって貿易許可書を配布して、貿易を行うスタイルは、ポルトガルが始めた。

ポルトガルは大航海時代をへて、マカオを中心としてアジア貿易で利潤を上げていた。

ポルトガルは外国との貿易船にカルタスを発行して、カルタスの所持を貿易船に義務付けた。

もし、カルタスを所持しないで、貿易を行うことは犯罪行為とみなされて、積荷の没収や船員には罰が与えられた。

これは、貿易の統制とともに、カルタスの発行に対しての税金をアジア貿易での利潤の1つと考えた。

 
 中国も海外渡航を行う時は、文引と呼ばれる国家から発行される、渡航許可書が必要とされる。

これらの許可書は現代風に言うとパスポートのようなものと考えられる。

アジアでは、貿易の際に、国から発行された証明書を元に貿易が行われる伝統や風習が存在していたことが、これまで説明したことで分かる。


 朱印船貿易で日本の輸出品の大部分は銀であった。

現在の日本でも銀座という地名が残っているほど、当時の日本では大量の銀貨が作られていた。

貿易船一隻約500貫目の銀が積み出されていた。

あまり、実感の沸かない数字だが、輸出銀だけで、当時の世界産銀の3分の1を占めていた。

世界経済にとって、日本の重要性が分かる。


 日本の外国からの輸入品で重要となるのは、生糸や絹織物である。

これらは、中国で主に生産されるものである。

本来なら中国と貿易をすることができれば手に入れることのできる製品である。

しかし、中国は日本を嫌っていた。

なぜなら、戦国期の大内氏、細川氏は中国貿易を巡って争いを続けていた。

その争そいの火種を中国本土まで持ちこんでしまって、中国から強烈な批判を受けた過去を持つ。

後、豊臣政権時の朝鮮出兵での国交の断絶。

などの理由から、中国は日本とは正式な貿易を行わなかった。


 中国の明代には海禁政策が行われて、国民の海外渡航が禁止されていた。

しかし、密貿易は盛んで、東南アジアまで、密貿易が盛んに行われていた。

 中国本土に上陸できない日本は、中国制の輸入品を求めて東南アジアに航海したと思われる。

東南アジアでは中国の密貿易者が集まるので、そこでの、出会い貿易を行ったと思われる。


 朱印状を貰った人の記録から朱印船貿易を考えてみると、徳川家康時代には積極的な朱印船貿易が行われていたのに対して、徳川秀忠時代になると朱印船貿易は下火になり急激にその数を減らしていることが分かる。

これは、徳川秀忠時代になると朱印船貿易に規制をかけていき、だんだんと数を減らし、将来的に朱印船貿易を廃止して海禁政策へと繋げるものだと考えることができる。

幕府は朱印船貿易の利益よりも、キリスト教の脅威を幕府の最重要課題としたと思われる。

日本人が外国に行くことによって、幕府の勢力が及ばない外国の地で、外国の思想(キリスト教)の思想が日本人に広まることを危険視したと思われる。

その他、日本の最重要輸入品である、中国制の生糸や絹織物を幕府が購入できるルートが朱印船貿易以外で開拓されたことも考えられる。

それは、アジア貿易の主流だったポルトガルが衰退し、変わりに、オランダへと移っていることも原因として考えられる。

日本ではキリスト教の布教を行わないオランダによる、中国制の製品の輸入のルートがあったからこそ、朱印船貿易を廃しできたのである。

江戸時代を通じてオランダは、朱印船貿易の地盤を継ぎ、日本貿易の独占化をはたすことになる。


 朱印船貿易を主に行っていたのは、豪商や大名などの資産家である。

それは、朱印状を取得する手続きの難しさや例え大名であっても、幕府の重臣のコネクションを必要としたことにある。

また、遠く離れた海外に貿易船を出すことは、それなりに大きな船を必要としたことや朱印船貿易で利益を得るためには、それなりの積荷などが必要で、それらを調達できる莫大な資金を必要としたことにある。

朱印船貿易が盛んになる中、航海の技術が未熟だった日本だが、世界の海航に進出して高度な航海術を有していた西洋式の航海術を取り入れていった。

また、それに伴い船を作る技術も西洋式の技術を取り入れて、中には、800トンの船も存在していた。日本は朱印船貿易を通じて海の技術が発展を遂げることになる。


 朱印船貿易時は日本が西洋の国と深い交流を持ち発展した時代である。

しかし、マイナス要素であるキリスト教のために西洋との交流が途絶えた。

もし、江戸幕府が朱印船貿易を活発に続け、諸外国と積極的に交流を行っていたら違う歴史がそこにはあったであろう。

(鎖国 岩生 成一 昭和63年 中央公論社 参照)


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