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DNAの伸長方向は5'→3'方向になる理由を構造レベルで理解しよう

今回は分子生物学の内容です。
分子生物学が勉強していると必ず出てくるDNA鎖の伸長方向についての考え方です。

まず、基礎の内容としてDNAというのは逆方向性の2本鎖ヌクレオチド構造を取りますね。
イメージでいうと以下のような構造です。

DNAの逆方向性
DNAの逆方向性.png
片方の鎖が3'→5'方向だと、もう一方は5'→3'方向になっています(=これが逆方向性)。
なお、アデニン(A)はチミン(T)と対となり水素結合は2本
シトシン(C)はグアニン(G)と対となり、水素結合は3本です
(※CGはコンピューターグラフィックで3Dのイメージで3本と覚える)

複製・転写・翻訳について

ここまでは問題ないと思うのですが、
引っかかってしまう人が増えるのが
「複製・転写・翻訳」の際の、方向性の話になった際です。

・複製はDNAからDNAを合成する反応
・転写はDNAからRNAを合成する反応
・翻訳はmRNAからタンパク質を合成する反応を指しますが

まとめると以下のようになります
鋳型となるもの読み取られる鋳型の方向合成されるもの伸長(合成)方向
複製DNA3'→5'方向DNA
(=ヌクレオチド)
5’→3'方向
転写DNA3'→5'方向RNA(mRNA)
(=ヌクレオチド)
5’→3'方向
翻訳mRNA(=ヌクレオチド)5'→3'方向タンパク質N末端→C末端


上の表の内容を覚える際に重要になってくる部分を赤色で示しました。

極端な話、上の表の内容を覚えるためには赤色の部分だけ覚えればよいのです。

つまり「ヌクレオチドの伸長方向は5'→3'方向に限定されている
ヌクレオチドは「ゴミ(5'→3')の方向にしか伸ばせない」という内容が最も重要なポイントになります。

これを丸暗記するのではなく、構造レベルで理解しましょう。
下のイラストはヌクレオチドがDNAポリメラーゼなどで伸長していくのを模式化したものになります。

DNAが5'→3'方向に伸長する際の化学反応(模式図)

分子生物学(DNAの伸長方向).png

このイラストをよく見てもらえば、DNA(やRNAといったヌクレオチド)が5'→3'方向にしか伸長しない理由がよく分かるかと思います。

そして、冒頭に申し上げたとおり、DNA(ヌクレオチド)は2本鎖を形成する際には逆方向性をとるため、鋳型(読み取られる側の鎖)からの視点では複製と転写において、鋳型は「3'→5'」方向に読み取られていくことになる

複製だけは方向性に注意

ここまでの内容で、この表の複製・転写の行については説明ができました。

鋳型となるもの読み取られる鋳型の方向合成されるもの伸長(合成)方向
複製DNA3'→5'方向DNA
(=ヌクレオチド)
5’→3'方向
転写DNA3'→5'方向RNA(mRNA)
(=ヌクレオチド)
5’→3'方向
翻訳mRNA(=ヌクレオチド)5'→3'方向タンパク質N末端→C末端

それでは、翻訳については一体どのように考えるべきなのでしょうか。
ここで大事なのは、「翻訳=ヌクレオチドを作る反応ではない」ということです。

翻訳』とはmRNAをもとにタンパク質を作る反応なので、
鋳型となるmRNAは理論上、5'→3'方向に読み取ることに何ら支障はないのです。

(整理してほしいのは、『複製』と『翻訳』は、それぞれDNAやRNAというヌクレオチドを合成する反応であり、
 ヌクレオチドの伸長(合成)方向には5'→3'のみという縛りがあり、必然的に鋳型は3'→5'に読み取られる必要があったこと。翻訳はタンパク質というポリペプチドを作る反応であり、N末端、C末端という概念はあるが、3'とか5'などの概念は必要ないという点である)

『転写』の際にmRNAを合成(mRNAのプロセシングを)する際、
mRNAの5'末端には7-メチルグアノシンが付加され(cap構造と呼ぶ)、3'末端にはポリ(A)テイルと呼ばれるアデニル酸が150〜200個ほど連結した構造が付加される。

そしてmRNAは、5'末端のcap構造からリボソームの小サブユニット(真核生物では40S、原核生物では30Sサブユニット)
により読み取られて3'末端のポリ(A)テイルのほうに向かって読み取られていく。

※5'末端のキャップ構造の近くに存在する開始コドンから読み取りをスタートして、3'末端のポリ(A)テイル側に終止コドンが存在するため、「mRNAはキャップを被っている頭(5')から読み取りを開始する」と覚える

したがって、結論として翻訳においては
鋳型mRNAは5'→3'方向に読み取られて、
タンパク質はN末端→C末端方向に伸長が進んでいくこととなる。



エピジェネティック(epigenetic)情報って何?

 ヒトゲノムの基礎知識

真核細胞のDNAは、細胞内で核膜におおわれて存在し、
ヒトのDNA(ヒトゲノム)は30億塩基対(30億b.p.)からなる。
また、ヒトゲノム中には約2万2000個の遺伝子が存在する。

DNAはヒストンタンパク質などの塩基性タンパク質に巻き付いて
ヌクレオソームという単位で存在し、ヌクレオソームが数珠状につながったものがクロマチン(染色質)となり
また分裂期には染色体(クロモソーム、chromosome)として観察される。
※-omeは集合の意

クロマチンは
・凝集状態で存在するヘテロクロマチン(=隙間がなく、遺伝子の転写活性が低い)と
・分散状態で存在するユークロマチン(=隙間があり、遺伝子の転写活性が高い)が
存在する。

■ヒストンタンパク質は、塩基性アミノ酸のリジンやアルギニンが多く含まれており、
細胞内で正電荷(+)を帯びている。一方、DNAは、リン酸が含まれており、負電荷(−)を帯びているため、
親和性が高く、ヒストンタンパク質にDNAが隙間なく巻き付いている。

■ヒストンタンパク質にアセチル化が起こると、以下のような反応が起こり、正電荷が消失するため、
 ヒストンタンパク質とDNAの親和性が低くなり、隙間ができ、ユークロマチンとなり、転写活性が上昇する。

ヒストンのアセチル化.png
ヒトの体細胞は2倍体細胞であり、その細胞内のDNAとしては
父親由来の23本の染色体+母親由来の23本の染色体
⇒体細胞には合計46本の染色体として存在しており、その情報はどの組織、どの細胞でも共有である。

しかし、細胞内のDNAは共通の配列であるのに対して組織は全く異なる性質を持つ。
(肝細胞は、アルブミンを合成し、膵臓ランゲルハンス島B細胞はインスリンを合成し、赤血球の前駆体はヘモグロビンを合成するetc)

※一方で解糖系の酵素などどの細胞でも共通して発現する酵素も存在し、ハウスキーピング遺伝子という

これは一体なぜだろうか?

 エピジェネティック情報

脊椎動物ではDNAのメチル化によって遺伝子発現が抑制され、遺伝子は休止状態となる。

メチル基の5'側からシトシンとグアニンの順に並んだ2塩基配列(CpG)におけるシトシンの5位炭素原子に
付加される。

細胞分裂の際にDNAが複製されても安定的にメチル化は維持される
DNAの塩基配列自体には変化が起こっていないが、遺伝子発現(ON/OFF)が変化する。

このような現象をエピジェネティック(epigenesis:(後成説) + genetics(遺伝学) を組み合わせた造語)な変化という。
DNAのメチル化は、個体の発生や細胞の分化に密接に関与する。

 ヒストンのメチル化

さらにヒストンタンパク質でもDNAが巻き付いているタンパク質をコアヒストンと呼び、
H2A、H2B、H3、H4がそれぞれ2分子含まれる8量体構造のタンパク質である。

コアヒストンのコア領域から飛び出しているしっぽのような部分(ヒストンテール)に存在するアミノ酸が
メチル化をされることでも遺伝子の発現が制御(活性化または抑制)される。

具体的には、H3のN末端から4番目のリジンのジメチル化(H3K4me2と表記する、Kはリジン、meはメチル化を意味する)は遺伝子発現が抑制される。
また、H3の9番目のリジンのジメチル化およびH3の27番目のトリメチル化は発現が活性化する。

このようなエピジェネティック情報によって
肝細胞は分裂後も肝細胞であることを忘れずにいて、
皮膚の細胞も分裂後も皮膚の細胞として各細胞に必要な遺伝子を発現させているわけである。




   
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