2020年11月01日
「キャッシュ・フロー計算書」で会社のキャラ分析!
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会社の決算の時に良く、「財務3表」という言葉を耳にします。
そのうち「損益計算書」とか「貸借対照表」は、名前を良く耳にしますよね?
この二つは知っているけどあと一つが出てこない、なんて方もいると思います。
それもそのはず、「損益計算書」や「貸借対照表」は昔から使われているものですが、残りの1つは比較的最近使われ始めた物だからです。
それは「キャッシュ・フロー計算書」と言います。
実はこの「キャッシュ・フロー計算書」こそが会社の経営状態を掴む事ができる、実に効果的な財務資料なんですよ。
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国内で「キャッシュ・フロー計算書」が導入されたのは西暦2000年の事です。
東京証券取引所が設立されたのが1950年くらいですから、それに比べると随分最近ですよね。
「損益計算書」や「貸借対照表」なんかはかなり昔から使われていましたが、会社の会計状態を見る上では、それだけでは不透明だと指摘されていました。
そこで導入されたのが「キャッシュ・フロー計算書」。
当時は「会計ビッグバン」などと言われて、まさに革命的な出来事でした。
★キャッシュ・フロー計算書の導入
★連結会計の導入
★時価会計の導入
この3つを合わせて「会計ビッグバン」と言いますが、中でも「キャッシュ・フロー計算書」は会社の財務状況をつかむのに最適だと言われ、それ以後もずっと活用され続ける様になりました。
さてこの「キャッシュ・フロー計算書」、一体どのような物なのでしょうか?
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皆さんのお財布の中身を思い浮かべて下さい。
例えば給料日前の24日、お財布の中に10,000円があったとします。
しかしその10,000円、どのような経緯をたどってそこに入っているのかは、見ただけではわかりませんよね?
例えばAさんは200,000円の給料をもらって、そこから家賃に90,000円、光熱費に20,000円、食費に60,000円、交際費に20,000円を使い、その結果として10,000円が残りました。
200,000円
-90,000円
-20,000円
-60,000円
-20,000円
→10,000円 残金(お財布)
なんか平均的な会社員の使い方って感じですかね?
しかし別のBさんは、同じ200,000円の給料をもらっていても、カードローンの返済が必要で、その額は90,000円もありました。
すぐにその返済をして、残金110,000円で生活をしなければならない訳です。
誰ですか?
身につまされる話だなんて言ってるの。
しかしその後の生活費は、Aさん同様にかかってしまい、家賃90,000円と光熱費20,000円を払ったところでサイフは空になってしまいました。
しょうがないのでまたカードローンで100,000円を借りて、それをなんとか食費60,000円と交際費に当てたのですが、今月はその交際費が30,000円もかかってしまい、結果10,000円しか残りませんでした。
200,000円
-90,000円(カードローン返済)
-90,000円
-20,000円
100,000円(カードローンでさらなる借金)
-60,000円
-30,000円
→10,000円 残金(お財布)
Aさんと同じ10,000円が残っているのですが、こちらはかなり残念な感じですよねー。
さらにまた別のCさん。
Cさんも同様、200,000円の給料をもらっているのですが、数ヶ月前に株に投資をしており、その利益が出たので500,000円分を売却する事にしました。
この段階で700,000円の現金を手にして、その中で生活をしてゆけばよい事になりました。
家賃90,000円、光熱費20,000円、食費60,000円、交際費は10,000円ですんだので、それを払っても、まだ手元には520,000円の現金があります。
景気が良くって、羨ましい限りですね!
しかしこのままでは面白くありません。
将来値上がりしそうな株を探し出して、新たに510,000円投資してみる事にしました。
200,000円
500,000円(株の売却)
-90,000円
-20,000円
-60,000円
-10,000円
-510,000円(新たな株への投資)
→ 10,000円 残金(お財布)
この人も財布の中には10,000円しか残っていない訳ですが、だいぶ景気が良さそうですよね。
実際に株で利益が出続けるかどうかは別にして、少なくとも利益を得る可能性がある生活をしています。
これらのことは、財布の残金だけを見ていたら絶対にわからない事ですね。
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これは個人の話でしたが、会社の会計でも同じ様なことは言えます。
財務諸表の中で、これがわかるのが「キャッシュ・フロー計算書」なのです。
キャッシュ・フローには以下の3つの種類があって、そのそれぞれがプラスなのかマイナスなのかによって会社の経営状態を判断します。
★営業活動によるキャッシュ・フロー
★財務活動によるキャッシュ・フロー
★投資活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローとは、本業による現金の流れを表した物です。
会社と言うのは材料を買って、製品を作り、それを売って利益を出しています。(製造業の場合です)
つまり、営業キャッシュ・フローのプラス分は「売上金」、マイナス分は「材料費や人件費」ということになります。
営業キャッシュ・フローがプラスの状態は、「売上金」-「材料費や人件費」がプラスな訳ですから儲かっているわけです。
マイナスだったら会社としてはとてもヤバいですね。
営業キャッシュ・フローというのはプラスの方が望ましい状態なのです。
次に財務活動によるキャッシュ・フローですが、これはなんでしょう?
平たくいうと「借金」ですね。
会社の資金繰りがうまく行かなくなると、「借金」によってしのがなければならなくなります。
財務キャッシュ・フローがプラスの状態というのは、会社が「借金」をして使えるお金をふやしたという事なので、会社にとってはあまり良い状況ではなさそうですね。
財務キャッシュ・フローと言うのはマイナスの方が望ましい状態なのです。
(マイナスはお金を払って借金返済ができた状況)
最後に「投資活動によるキャッシュ・フロー」ですが、これは会社の投資による現金の流れを表します。
会社で言うと、株などの投資証券だけではなく「工場」などの設備投資なども含まれます。
これがプラスの場合というのは、資金繰りがキビしくなり「工場」などの設備を売って現金を手に入れている状態になります。
マイナスの場合は、どんどんお金を使って新しい「工場」を建て増している状態です。
「工場」が増えれば売り上げ上昇が見込まれるので、会社としては望ましい状態ですね。
つまり投資キャッシュ・フローというのはマイナスの方が望ましい状態なのです。
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実感をつかむために、再度人間に置き換えてみましょう。
先程のAさん〜Cさんの例で言えば、本業による現金収入というのは「給料」です。
現金支出と言うのは「生活費」に当たるでしょう。
Aさんは「給料」が200,000円、「生活費」が190,000円(家賃、光熱費、食費、交際費)でしたから、Aさんの「営業キャッシュ・フロー」は
プラス 200,000円
マイナス190,000円
→ プラス10,000円
です。
特に借金も投資もしていないので、「財務キャッシュ・フロー」「投資キャッシュ・フロー」はともに±ゼロですね。
さてお次はBさん。
Bさんは「給料」が200,000円、「生活費」が200,000円でしたから、Bさんの「営業キャッシュ・フロー」は
プラス 200,000円
マイナス200,000円
→ 0円
です。
しかし、Bさんは借金をしています。
給料日後に頑張って90,000円を返しましたが、その後生活費が足りなくなって改めて100,000円を借金してしまったのでした。
結果、Bさんの「財務キャッシュ・フロー」は
マイナス90,000円
プラス100,000円
→プラス10,000円
(借金は返済すると現金が出てゆくのでマイナスです)
「営業キャッシュ・フロー」がプラスでなく、さらに「財務キャッシュ・フロー」はプラスになっているので、Bさんにとって望ましく無い状態、という訳ですね。
なんとなくイメージがわかって頂けましたでしょうか?
最後は投資家Cさんです。
Cさんは「給料」が200,000円、「生活費」が180,000円でしたから、Cさんの「営業キャッシュ・フロー」は
プラス 200,000円
マイナス180,000円
→ プラス20,000円
です。
さらに、Cさんは投資をしています。
給料日後、株の売却をして500,000円を手にしました。
しかしその後さらに利益の出そうな株を見つけ、510,000円の投資をしたのでしたね。
結果、Cさんの「投資キャッシュ・フロー」は
プラス500,000円
マイナス510,000円
→マイナス10,000円
(投資は売却すると現金が入ってくるのでプラスになります)
「投資キャッシュ・フロー」が最終的にマイナスというのは、以前よりも投資を増やしていっている状況ですね。
「営業キャッシュ・フロー」がプラスであり、さらに「投資キャッシュ・フロー」はマイナスになっているので、Cさんにとってとても望ましい状態、という訳ですね。
これら3人の方々、共に月末にはお財布の中に10,000円が残っている状態ですが、それまでたどった経緯はまるで違います。
おそらくBさんは今後も借金を増やしてゆき、Cさんはどんどん有望株を買い続けるでしょう。
この様にその方の今後の展望までもが、見えてきてしまう訳ですね!
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如何でしたでしょうか?
財務3票のうち、近年注目されている「キャッシュ・フロー計算書」。
より身近に感じをつかんで頂くため今回は、人間に置き換えて例えてみました。
「投資キャッシュ・フロー」については、人と会社では、若干ニュアンスが違うかもしれません。
人の例では今回「株」に例えましたが、会社の場合は「設備投資(工作機械、工場など)」になるでしょう。
いずれにしても財布の中の10000円が、どの様な流れの結果に残っているのか。
それを表面化する「キャッシュ・フロー計算書」の目的をお分かりいただけたのでは無いかと思います。
皆さんも是非その様な目で、身近な会社のキャッシュ・フロー計算書を眺めてみてくださいね。
会社の頑張っている感じが伝わってきて、結構楽しいですよ!
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