大図鑑に載ってないクワガタたち（主に）

Prosopocoilus属の4回目。
種名がL～Pで始まる種類についてです。


種名がついているものは次がラスト、
そのあとは不明種の予定です。

1:P.lacroixi 記載文の絵　Bomans,1970より 2:P.lafertei　記載文の絵　Reiche,1852より 3:P.laminifer 4:P.lateralis　Deyrolle,1865より 5:P.l.bayanii　飼育品 6:P.l.lorquinii　記載文の絵　Deyrolle,1865より 7:P.l.mylleenae　Holotype　Nagai&Thukamoto,2003より 8:P.l.vittatus　記載文の絵　Deyrolle,1865より 9:P.laterotarsus 記載文の絵　Houlbert,1915より 10: P.laterotarsus Fujita,2010より 11: P.laterotarsus チベット　Huang&Chen,2013より 12:P.l.maedaorum　Holotype　Nagai,2005より 13:P.lumawigi 記載文の絵　DeLisle,1977より 14:P.macclellandi　Holotype　Huang&Chen,2013より 15:P.m.crenulidens　広西 16: P.m.chujoi　飼育品

Prosopocoilus lacroixi (Bomans,1970):295 [Homoderinus lacroixi]
Congo,D.R. Congo,Uganda [République Démocratique du Congo,Kasai].

相当珍しい種類なのか採集場所に行く人がいないのか、
♂はBartolozzi&Werner,2004くらいでしか見られません。
近縁種との最大の区別点は前胸後方が湾入すること。
体型は細身で全体的に光沢が強く、小楯板周辺に皺が寄る。


Prosopocoilus lafertei（Reiche,1852）:24-25,fig.3 [Anoplocnemus laferti]
New Caledonia Is.,Loyalty Is.,New Hebrides Is. [Australasiae].
=Lucanus lifuanus Montrouzier,1860:281-283 [Lifu].

野外品の入手は困難で、見かけても小型個体ばかりです。
P.hastertiに似るが、顎は長く伸び、上翅の色は黄褐色。
前胸後方は切れ込まない。


Prosopocoilus laminifer (Boileau,1905):286-287 [Prosopocoelus laminifer]
Sumatra [Sumatra,Médan,environs de Dolok-Baros].

他の近縁種に比べるとかなりの珍品。
P.passaloidesに似るが、顎先が二股になる。
頭部・前胸は細く、頭楯は中央部が湾曲した双山状、複眼縁は張り出さず、前胸後方は大きく切れ込む。


Prosopocoilus lateralis（Hope et Westwood,1845）:13 [Lucanus lateralis]
Luzon I. [Philippine Islands].
=Prosopocoilus lateralis adachii Fujita,2010:15-16,195,figs.595(8-15) [Aurora,Quezon,NE Luson,Philippines].

記載文での特徴からの産地の特定が難しいので、
原記載の次にP.lateralisが載っているDeyrolle,1865を参考にして、
ルソン産を原名亜種とします。
ただし、Deyrolle,1865にはタイプを模写したとは書かれてません。（全文は訳してないので見落としてる可能性はあります）

頭楯は３つ山状、上翅にU字状の紋が入る。


Prosopocoilus lateralis bayanii Benoit et Bomans,2005:297, figs.3-4
Babyan Is.,N.Luzon [ ].
=Prosopocoelus vittatus francisi Arnaud et Lacroix,1991:26 [Philippines,Batanes Island].

Ssp.francisiはホモニムになりますが、こちらの方が通りがいいかもしれません。
上翅は明るい黄褐色、複眼下の膨らみはやや大きく、前胸縁前方はややえぐれる。


Prosopocoilus lateralis lorquinii (Deyrolle,1865):26-27,fig.2 [Cladognathus lorquinii]
C.-N.Sulawesi [Célèbes(Ménado)].
=Prosopocoelus lorquini f. fulva Maes, 1981:1,3 [Célèbes].

原名亜種に似るが、頭部・前胸は大きく、頭楯はやや横長で突出が弱く、上翅のU字状の紋は中央部の色がやや明るい。


Prosopocoilus lateralis mylleenae Nagai et Tsukamoto,2003:3-6,fig.8
Philippines;Catanduanes I.,Masbate I.,Negros I.,Panay I.,Sibuyan I.,Mindoro I. [mountain side near Presentacion,Catanduanes Province,Catanduanes Is.,Philippines]

ユツバラテラリスなどとも呼ばれたりもします。
Ssp.vittatusに似るが、胴体は大きく、上翅の紋はやや細長い楕円形。
頭楯は原名亜種に比べて中央部がやや突出する。


Prosopocoilus laterallis vittatus (Deyrolle,1865):28,fig.4 [Cladognathus vittatus]
Philippines;Mindanao I. [Philippines].

ミンダナオ産が本亜種とされますが、基準産地はフィリピンとしかありません。
もしかしたらSsp.mylleenaeと同亜種かもしれません。タイプ標本の確認が必要かと思われます。

頭楯は中央部が大きく突出し、前胸はやや小さめ、上翅の紋は長い楕円形。


Prosopocoilus laterotarsus (Houlbert,1915):21-23,figs.5-6 [Prosopocoelus laterotarsus]
E.India,Pakistan,N.Myanmar;Kachin,中国(チベット) [Assam].
=Prosopocoelus ipseni Lacroix,1987:12,14,fig. [Pakistan,Chandkira,Sylhet].

♀のみで記載され、近縁種とは前ケイ節先端部で見分けられる。
♂はP.jenkinsiiに似るが、顎は太く、顎先端部付近にへら状の内歯を備え、顎付け根の内歯は大きくて下側面に小さな内歯が出る。
頭頂部の突起は上方向に長く突出し、前胸前方はなで肩上で、側面は直線的で、後方の湾入は小さい。
胴体はやや細長い。

チベット産は顎付け根の内歯の下側面に小さな内歯が出ず、頭部の突起が発達が弱くてやや前方に向いているように見えます。
ただ、サンプルが少なく、頭頂部の突起は特徴が出きってないだけかもしれず、歯形の変異のみで亜種にするわけにはいかないので、とりあえずは原名亜種に含めておきます。


Prosopocoilus laterotarsus maedaorum Nagai,2005:22,24,figs.19-21
Myanmar;Sagain,Chin Hills [NW.Sagain,northern Myanmar].

顎は長くて、顎付け根の内歯は大きくて、下側面の細かい内歯は数が多い。
頭部は大きく、前胸はやや幅広で、前胸後角はやや吐出する。


Prosopocoilus lumawigi (DeLisle,1977):491-195,figs.1(a-b),2 [Prosopocoelus lumawigi]
Philippines;Mindanao I. [Philippines,Mindanao,N.Cotobato,Mt.Apo].
=Prosopocoilus ebeninus (nec Albers) Benesh,1958:68 [MINDANAO : Mount McKinley (east slope)].
=Prosopocoelus micans De Lisle, 1977:495-496,fig.3 [N. Cotobato, I. Mindanao, Philippines].

ミンダナオ特産で、♂はOdontolabis属のような雰囲気。
複眼周辺・前胸側面側は荒い点刻に覆われ、頭楯は双山状、
前胸側面は大きく湾入し、前胸後角は鋭く突出する。


Prosopocoilus macclellandi (Hope,1842):83 [Lucanus macclellandi]
Assam,NE.India,N.Myanmar,中国(雲南省) [Kasya Hills,near the boundary of Assam].
=Cladognathus quadrinodosus Parry,1862:109 [-].

種名については原記載のHope,1842では「macclellandi、正確にはMacClellandi」と正しいスペルで表記されています。
P.jenkinsiiによく似るが、顎付け根は張り出し、顎先端付近にへら状の内歯を備える。
顎付け根の内歯は完全大歯では1本で、P.jenkinsiiと同じ位置に備わるが鈍角。
頭頂部の突起は後方寄り、頭部・前胸はやや幅広、複眼下の膨らみは弱い。
小型個体の区別は難しく、顎がやや長い、頭部・前胸が細い、体色が暗い単色、などで見分けられる。


Prosopocoilus maclellandi crenulidens (Fairmaire,1895):173 [Cladognathus crenulidens]
N.Vietnam,中国(広西壮族自治区,雲南省) [Lang-Song,Tonkin].
=Prosopocoilus chujoi (nec DeLisle) Misunuma et Nagai,1994:252,fig.322
=Prosopocoilus maclellandi miyashitai Nagai,2005:21-22,24,figs.11-12 [Ha Giang,northern Vietnam].

P.crenulidensは記載文からの同定が難しく、約100年前の研究者の同定を参考にして本個体群を当てました。
翻訳ソフトでうまく訳せないのですが、P.gracilisと比較されていて、顎付け根の内歯は大きくて平らでギザギザみたいです。
顎付け根の内歯が1本になるほど発達した個体は見たことがありません。
顎先端付近のへら状の内歯は小さく、頭頂部の突起は両端がやや後方寄り。
複眼下の膨らみは大きく、頭部・前胸は幅広で、胴体はやや大きい。


Prosopocoilus maclellandi chujoi (DeLisle,1964):41-43,fig.1 [Prosopocoelus chujoi]
S.Vietnam,S.Laos [Saigon,South Viet-Nam].
=Prosopocoelus inouei De Lisle,1964:42-44,fig.2 [Bobla,220km N.E. from Saigon,South Viet-Nam].

大型個体では顎先端付近の内歯が1本でへら状にならずP.jenkinsiiによく似た歯形になる。
中型では顎先端付近の内歯は小さなへら状で、中央部に細かい内歯を備える。
頭頂部の突起は横並びで中央付近に位置し、複眼下の膨らみは大きく、体型は俵型。

1:P.maculatus　Holotype　Bartolozzi&Werner,2004より 2:P.marginatus 記載文の絵　Lacroix&Ratti,1973より 3:P.marioni 記載文の絵　Arnaud&Lacroix,1991より 4:P.mefianti　Paratype　Bouyer,2014より 5:P.mirabilis 6:P.mohniki 記載文の絵　Parry,1873より 7:P.m.akayamai　Paratype　Mizunuma&Nagai,1994より 8: P.m.akayamai　大型個体の摸写 9:P.m.pseudospineus　Fujita,2010より 10:P.modestus 記載文の絵　Parry,1864より 11:P.modestus Bartolozzi&Werner,2004より 12:P.motschulskii Type　Araya,1999より 13:P.myrmecoleon 14:P.mysticus　Fujita,2010より（P.m.khooi） 15:P.m.rusa　Fujita,2010より（P.mysticus） 16:P.m.shizukoae　Holotype　Fujita,2010より 17:P.m.ssp.　E.India　Maeda,2014より 18:P.m.ssp.　S.Vietnam　Fujita,2010より 19:P.nagaii　Paratype　Fujita,2010より 20:P.natalensis Parry,1870より 21:P.neopomeraniensis　Holotype　Krajcik,2003より 22:P.nozui　Holotype　Fujita,2010より

Prosopocoilus maculatus (Bomans,1967):394 [Prosopocoelus maculatus]
D.R. Congo,Togo,Ivory Coast,Cameroon [moyen,Mongbwalu,Rép. Congo].

P.modestusによく似るが、小型で、頭楯は両端が斜め上方向に突出し、
複眼縁の張り出しはやや弱く、複眼下の尖がりは大きい。


Prosopocoilus marginatus (Lacroix et Ratti,1973):119,fig. [Prosopocoelus marginatus]
Assam [Assam,Shillong,Khasi-Hills].

P.suzumuraiの小型個体に非常によく似る。
亜種？同種？


Prosopocoilus marioni (Arnaud et Lacroix,1991):25-26,fig. [Prosopocoelus marioni]
Philippines;Luzon I. [Philippines,N.Luzon,Mountain Prov.].

P.gertrudaeに非常によく似ていて同種かもしれません。
タイプは未見ですがTaroni,1998で本種とされているものを見ると、
内歯の先端側は鋭くて突出し、体型は幅広でやや寸詰まり。


Prosopocoilus mefianti Bouyer,2014:2,4,5-6,figs.1-3
Gabon [Gabon, Mts Cristal].

P.gellensaeに似るが、小型で、顎は短く、顎先端部の上面の内歯は大きくて基部寄りで内側に向く。
頭楯の幅は狭く、複眼縁の張り出しはやや弱く、複眼下の膨らみは弱い。
頭部・前胸は小さくて寸詰まりで、符節はやや短くて太い。


Prosopocoilus mirabilis (Boileau,1904):278 [Metopodontus mirabilis]
Tanzania,SE.Kenya? [Usambara].

P.savageiに似るが、顎はくの字に湾曲する。
頭部は大きくて、頭楯は突出して先端部が二股になる。
頭部前方の突起は小さくて後方の突起は大きくて発達する、前胸前方の幅は狭い。


Prosopocoilus mohniki Parry,1873:338,fig.3
Jawa,Bali,Sumatra,Borneo,Malay Peninsula [Java].

P.spineusに似るが、体色は明るい黄褐色で、顎付け根にギザギザの内歯を備える。
頭部は大きく、前胸は小さくて側面は直線的。


Prosopocoilus mohniki akayamai Mizunuma,1994:25-26, fig. 75(a-b), pl. 70, fig. 317(16)
Philippines;Palawan I. [Brooke's Point,Palawan I.].

顎は太く、複眼下の膨らみはやや小さく、符節は短い。


Prosopocoilus mohniki pseudospineus Mizunuma,1994:25-26, 28, fig. 74(a-b), pl. 70, fig. 317(17-18)
S.Myanmar [Tenasserim,SE Myanmar].

顎先端付近のへら状の内歯は大きく、顎付け根の内歯は1本で小さい。
頭部は小さくて扁平、ケイ節は短い。


Prosopocoilus modestus (Parry,1864):29-31,fig.1 [Cladognathus modestus]
Ivory Coast,Congo,D.R. Congo,Gabon,Cameroon [Africa occ. Tropocali].

P.maculatusに似るが、大型で顎も発達する。
複眼縁はやや張り出し、複眼下の尖がりは小さい。
頭楯は平面的で、前胸側面中央部はややくびれる。


Prosopocoilus motschulskii (Waterhouse,1869):16-17 [Cladognathus motsculskii]
台湾 [Japan? or Indian Archipelago].
=Cladognathus inclinatus (nec Motschulsky) Bates,1866:348 [Formosa].

通称「タカサゴノコギリ」。
P.inclinatusに似るが、顎中央の内歯は小さく、頭楯は５角形状。
複眼下の膨らみは小さく、前胸側面は直線的で末広がり。

近年の台湾での生き虫ブームのためか、台湾で飼育されている日本のノコギリが逃げ出しているようです。
（確認したのは灯火採集品のP.dissimilis）
混ざってしまう可能性もあるかもしれませんので、近年の野外採集品でおかしな特徴の個体を見かけたら手を出さないのが無難かもしれません。


Prosopocoilus myrmecoleon (Schaufuss,1887):118 [Cladognathus myrmecoleon]
S.Sulawesi [Sunda-Inseln].
=Eulucanus spectabilis Didier, 1927:87-90,figs.1-3 [provenant de Bua-Kraeng(Célèbes)].

南スラウェシの特産種。♀はLucanus属のような雰囲気。
P.gertrudaeに似るが、顎先端付近の内歯は二股状。
頭頂部後方には一対の突起を備え、頭部付け根は幅広い。
前胸は長くて側面前方のくびれは大きく、胴体は大きくて、上翅は明るい褐色。


Prosopocoilus mysticus Parry,1870:82-83
Malay Peninsula [Malacca].
=Prosopocoelus khooi Lacroix,1983:2-3,fig.2(1) [Malaysia,Cameron Highlands].

原名亜種の基準産地はマレーで、ラベルが正しいものとして話を進めています。
タイプ標本は未確認で、記載文からの正しい産地の判断は無理と思われます。
ちなみにP.khooiはスマトラ産を原名亜種として書かれています。

内歯は顎中央と先端付近に長い内歯を備え、その間に細かい内歯を備える。
顎以外の印象はP.cilipesに似るが、頭部は長く、前胸の幅は狭く、前ケイ節の外棘は痕跡程度。


Prosopocoilus mysticus rusa Kriesche,1920:94
Sumatra,Nias I.,Borneo [Ober-Langkat,Deli,Sumatra].

原名亜種のシノニムとされてきましたが、原名亜種の産地がマレーならば有効になってきます。
顎の端歯は小さく、内歯は中央付近に２本先端付近に１本。
３つ山状の頭楯の中央部の突出は弱く、前胸の幅は狭くて後方のえぐれは大きい。


Prosopocoilus mysticus shizukoae Mizunuma,1994:24, 248, pl. 66, fig. 298(5-7)
Simeulue I. [Simeulue I.,Ache Prov.,off Sumatra,Indonesia].

Ssp.rusaに似るが、内歯の位置は先端付近・中央・基部。
頭部・前胸は幅広、前胸後角はやや尖り、上翅は光沢が強く、体型は全体的に寸詰まり。


Prosopocoilus mysticus ssp.
E.India

Ssp.rusaに似るが、端歯は大きく、顎先端付近の内歯はへら状。
前胸後方のえぐれは大きく、体型は全体的に幅広。


Prosopocoilus mysticus ssp.
S.Vietnam

亜種とするには分布に違和感がありますが、新大図鑑に準じておきます。
原名亜種の小型と比較すると、顎はやや長く、複眼縁は丸く、複眼下の膨らみは大きく、前胸後方のえぐれは大きい。
前ケイ節中央部は細く、胴体はぼってりした印象。


Prosopocoilus nagaii Fujita,2010:16,201,figs.612(1-3)
N.Myanmar [NW Sagaing,N.Myanmar].

P.cilipesに似るが、大型で全体的に幅広。
複眼下の膨らみは大きく、前胸は後方に行くほど幅広く、前胸後方のえぐれは大きい。


Prosopocoilus natalensis (Parry,1864):36-37 [Cladognathus natalensis]
Tanzania,Kenya,Uganda,Malawi [Port Natal].
=Cladognathus vescoei Parry,1864:36-37 [nomen nudum]
=Prosopocoelus hanningtoni Waterhouse, 1890:34 [East Africa,Forests of Tiveta].
=Prosopocoelus serricornis var. brunneus Nonfried,1892:119-120 [Madagascar].
=Prosopocoilus natalensis lettow-vorbecki Kriesche,1919:173-174 [Mombasa,Brit.-Ostafrika].
=Prosopocoilus natalensis karl-peterseni Kriesche,1919:175 [Witu,Tanagebiet].

P.fuscusによく似るが、頭楯は突出した小さな台形状。
複眼縁は張り出し、複眼下は角ばり、頭部・前胸は幅広。
産地によって変異が見られ、亜種分けも可能かもしれません。


Prosopocoilus neopomeraniensis (DeLisle,1967):526,fig.27 [Prosopocoelus neopomeraniensis]
New Britain I. [Mope,Nouvelle-Poméranie].

P.bisonの上翅の模様をP.fabriceiにしたような種類。大歯型は不明。
頭部は長く、前胸後方は湾入せずに切れ込む。
ニューブリテン産の普通のP.bison（大型個体）も見たことがありますが、
こちらは前胸後方が湾入していました。


Prosopocoilus nozui Fujita,2010:15,175,figs.525(1-3)
Philippines;Luzon I. [Mt.Isalog,Camarines sur,Bicol,Luzon Is.,Philippines].

P.hiekeiを巨大にしたような種類。
内歯は小さくて先端が二股。
頭楯は小さな３つ山状、複眼縁は張り出し、前胸後方は湾入する。

1:P.occipitalis　Mizunuma&Nagai,1994より 2: P.occipitalis　TawiTawi I.　摸写 3:P.o.anoa 4:P.o.anoella 5:P.o.anoides　記載文 6:P.o.asteriscus　Fujita,2010より 7:P.o.hideoi 8:P.o.masakoae 9:P.o.preangerensis　Mizunuma&Nagai,1994より 10:P.o.roepstorffi　摸写 11:P.o.ssp.　Talaudo Is. 12:P.o.ssp.　Taliabu I. 13: P.o.ssp.　Anbelau I. 14: P.o.ssp.　Siberut I.

Prosopocoilus occipitalis (Westwood,1842):22,fig.4 [Lucanus occipitalis]
Philippines [Phillippine Islands(Cuming)].
=Cladognathus marginatus Burmeister, 1847:369-370, pl.10 [Luzon].

明るい黄褐色が特徴的で多種との区別は容易でしょう。
軽微な変異の亜種もいますが、各亜種を有効なものとして扱います。
タウィタウィ産は黒色部分が多くて点刻が荒いような気がしますが、
１♀しか見たことが無いのでとりあえずは原名亜種に含めておきます。


Prosopocoilus occipitalis anoa Kriesche,1920:121
S.Sulawesi,Buton I.,Kabaena I. [Bonthain,S.Zelebes]

Ssp.anoellaと比較すると、複眼下の尖がりが小さく、
頭部の（ ）状の隆起具合が異なります。（より隆起するのかしないのかは忘れてしまいました）


Prosopocoilus occipitalis anoella Kriesche,1920:121
C.Sulawesi,N.Sulawesi,Sangir I. [Minnahassa].

原名亜種と比較すると頭部が小さく、頭部の（ ）状の隆起はより発達する。


Prosopocoilus occipitalis anoides Kriesche,1920:121-122
台湾(？) [Formosa].

分布はしていないでしょう。
タイプ標本を見ていないので何とも言えませんが、
P.astacoidesの小型か奇形？どこぞから流れ着いた?ラベル間違い？


Prosopocoilus occipitalis asteriscus(Tomson,1862):417-418 [Cladognathus asteriscus]
Borneo,Sumatra,Nias I.,Malay Peninsula [Borneo].

頭部前方の幅は狭く、頭部の（ ）状の隆起は後方の間隔が広い。
ボルネオ産は体色が明るくて黒色部分が少ない傾向にある。


Prosopocoilus occipitalis hideoi Fujita,2010:16,211,figs.643(11-13)
Simeulue I.,Banyak I. [Simeulue Is.,Sumatra reg.,Indonesia].

頭部と顎が黒色化し、胴体は幅広で上翅の光沢は強い。


Prosopocoilus occipitalis masakoae Fujita,2010:16-17,211,figs.643(15-16)
C.Sulawesi;Peleng I. [Peleng Is.,E.Sulawesi].

頭部が小さくて体型は筒状の様な印象　脚部は短い。大歯型は不明。
♀は黒色部分が多い。


Prosopocoilus occipitalis preangerensis(Oberthür et Houlbert,1913):450-453,figs.39-40 [Metopodontus preangerensis]
Jawa,Bali [Preanger ;Java ;Mont Ardjoeno].

近いスマトラの個体群と比べ、複眼下の尖がりは鈍角、頭部の（ ）状の隆起は短い。


Prosopocoilus occipitalis roepstorffi (Waterhouse,1890):35-36 [Metopodontus roepstorffi]
Andaman Is. [Andaman Islands].

頭部の（ ）状の隆起は間隔が広く、複眼下の尖がりは鈍角で突出する。
大歯型は不明。


Prosopocoilus occipitalis ssp.
Talaud Is.

♂は体に厚みがあるような気がするもののこれといった特徴は見られません。
ただ♀は非常に変わっていて、点刻が荒くて光沢が強く、体型は幅広。
大歯型は不明。


Prosopocoilus occipitalis ssp.
Sula Is.;Taliabu I.,Mangole I.,Sanana I.

頭部の（ ）状の隆起はやや短く、頭楯の突出はやや弱い。


Prosopocoilus occipitalis ssp.
Buru I.,Anbelau I.

中型の１♂しか確認したことがありませんので参考程度に。
頭部の（ ）状の隆起は湾曲が強く、体型は寸詰まり。
ブル産は文献上の記録しか知りませんが、
ブルの先のアンベラウから得られているので生息しているものと思われます。


Prosopocoilus occipitalis ssp.
Siberut I.,Pagai I.

頭部は幅広で、頭部の黒色部分と前胸中央の黒紋は大きい傾向にあります。

1:P.oweni　Fujita,2010より 2:P.o.femoratus　Fujita,2010より 3:P.o.irenicus 記載文の絵　DeLisle,1976より 4:P.o.melli　Holotype　Huang&Chen,2011より 5:P.o.ovatus　Type　Websiteより 6:P.o.pascoei 記載文の絵　Boileau,1913より 7:P.parryi　Didier&Séguy,1953より 8:P.passaloides 9:P.perplexus　記載文　Parry,1862より 10:P.perbeti　Holotype　Bartolozzi&Werner,2004より 11:P.petitclerci　記載文の絵　Didier,1928より

Prosopocoilus oweni（Hope et Westwood,1845）:14 [Lucanus oweni]
NE.India,Assam,N.Myanmar [Assam].
=Lucanus subangulatus Hope et Westwood,1845:24 [Kasyahi Hills].

独特の歯形と複眼下が大きく尖るので多種との区別は容易でしょう。
P.sericeusの中歯は本種に似ますが、体表に微毛が無いので簡単に判別できます。
前胸は丸みを帯び、上翅にはやや光沢がある。


Prosopocoilus oweni femoratus（Boileau,1905）:147 [Prosopocoelus femoratus]
Borneo [Kina-Balu].

Ssp.pascoeiに似るが、複眼下の尖がりはやや後方に向く。
胴体は幅広でやや寸詰まり、上翅の光沢が強く、ケイ節は太い。


Prosopocoilus oweni irenicus (DeLisle,1976):277-279,figs.3(a-b) [Prosopocoelus irenicus]
Sumatra [Sumatra, Langkat Balei Gadjah].

Ssp.pascoeiに似るが、複眼下の尖がりは鋭角で鋭い、前胸前方の切れ込みは直線的、体型はやや寸詰まり。


Prosopocoilus oweni melli Kriesche,1922:123 [Prosopocoilus ovatus melli]
中国(広東省,福建省,浙江省,香港,広西壮族自治区,四川省,海南島) [Subchina,Prov. Kwangtung(Lo-fau-zan)].
=Prosopocoilus duplodentatus Benesh,1943:39-41 [Kuanshien,Szechwan,China].

他の亜種と比較すると、複眼下の尖がりは鈍角、頭頂部は凹みは弱く、前胸は横長の楕円形、上翅は艶消し状などの特徴が見られる。
Ssp.ovatusとの区別が非常に困難で本亜種の方がより艶消しのようです。
複眼下の尖がり・体型・前胸の形状などは変異が安定していないようです。


Prosopocoilus oweni ovatus（Boileau,1901):283 [Prosopocoelus ovatus]
Vietnam,Laos,Thailand [Tonkin,monts Manson].

特徴ははSsp.melliとほぼ同様で、本亜種の方が全体的にやや光沢があるようです。


Prosopocoilus oweni pascoei (Boileau,1913):229-233,fig.1 [Prosopocoelus pascoei]
S.Myanmar,Malay Peninsula,Penang I. [Tenasserim].

Ssp.femoratusに似るが、複眼縁はやや張り出し、複眼下の尖がりは真横を向き、
胴体はやや細く、上翅の光沢はやや弱い。


Prosopocoilus parryi (Boileau,1913):230-231 [Prosopocoelus parryi]
NE.India,Nepal,Kasimir,Pakistan [-].
=Prosopocoelus parryi var. latus Didier,1928:98, 100-101,fig.52 [Sikkim].
=Prosopocoelus parryi var. angustus Didier,1928:98, 101,fig.53 [Assam].
=Dorcus polymorphus Arrow,1943:138-139 [Mangpu: Pedong: Pankassari,Kalimpong].(new name for parryi BOILEAU).

P.bulbosusに似るが、本種の頭楯は双山状。
複眼縁の張り出しは弱く、前胸後方の湾入は強い。


Prosopocoilus passaloides (Hope et Westwood,1845):24 [Lucanus passaloides]
Jawa,Sumatra,Bali,Malay Peninsula,Kalimantan,Andaman Is. [Java].

P.laminiferに似るが、顎先端に端歯は無い。
複眼縁は張り出し、前胸後角は尖る。


Prosopocoilus perplexus (Parry,1862):111 [Cladognathus perplexus]
India [Ind.Or.].

１♂のみで記載されたよくわからない種類ですが、P.hiromii(P.dorsalis)に似ていて、色合いなど異なるようです。
Parry,1864にP.hiromiiとの違いについて書かれています。


Prosopocoilus perbeti Desfontaine et Moretto,2003:31
Ivory Coast,Guinea,Ghana,Liberia [Ivory Coast,Forest du Banco,env.Abidjan].

P.estellaeに似るが、複眼下の角ばりは鈍角、前胸後方の切れ込みは角度が付く。


Prosopocoilus petitclerci (Didier,1928):171-172,figs.1-2 [Prosopocoelus peticlerci]
Tanzania,Zimbabwe,Zambia,Kenya [Lindi(Tanganyika)].

P.specularisに似るが、やや大型で体型は幅広。
顎は太くて直線的、複眼縁は横に張り出してやや尖る。

1:P.piceipennis　記載文の絵　Westwood,1855より 2:P.piceipennis　四川　I氏所蔵 3:P.piceipennis　広西　56㎜ 3:P.p.ssp. N.Vietnam　大型個体の摸写 4:P.planeti　Holotype　Bartolozzi&Werner,2004より 5:P.politus　Type　Arrow,1950より 6:P.pouillaudei Type　Houbert,1915より 7:P.prosopocoeloides Type　Houbert,1915より 8:P.pseudocongoanus　Paratype　Websiteより 9:P.pseudodissimilis　Holotype　Fujita,2010より 10:P.punctatissimus　Bartolozzi&Werner,2004より

Prosopocoilus piceipennis (Westwood,1855):202-203, fig.6 [Cladognathus piceipennis]
中国(チベッ,ト四川省,広西壮族自治区) [China vel Thineta].
=Prosopocoilus andreasi (nec Schenk) Schenk,2009 (male Paratype)

P.gracilisに似るが、サイズはやや大型、端歯があり、顎付け根に大きな内歯を備える。
体型は幅広で厚みがあり、顎は太短い。
交尾器は肉眼で見ても違いがわかるほど異なります。

P.andreasi は記載文の絵の顎先端に端歯が無いことで記載されましたが、
タイプ標本は中型個体のためと思われ、本種の大型個体では端歯が見られます。
ただ、P.andreasi のホロタイプは本種とは違和感がある形状をしていたのでここでは別種にしておきました。
交尾器を含めた再検討が必要と思われます。

問題なのがP.similisで、Huang&Chen,2013では本種のシノニムとしているように、
顎以外の特徴はほぼ一致します。
ただ、P.similisは最大60㎜とさらに大型（本種は56㎜）、交尾器の形状はP.gracilisに似た形状でした。


Prosopocoilus piceipennis ssp.
N.Vietnam

顎は細くてやや直線的で、顎先端の内歯はへら状。
体型は細身。
詳しくは比較していませんが、亜種くらいにはなりそうな印象でした。


Prosopocoilus planeti (Boileau,1897):287-288,fig. [Metopodontus planeti]
Congo,Cameroon,D.R. Congo,Gabon [Congo].
=Prosopocoilus kuntzeni Kriesche,1919:114-115 [Südkamerun,Spanisch-Guinea].

P. boucheri は本種と外見上はほぼ同じで区別は非常に困難。
あえて言うなら、本種の方が複眼縁の角ばりが気持ち弱い印象。
どこまで安定しているかは知りませんが、交尾器で見分けるしかなさそうな感じです。


Prosopocoilus politus (Parry,1862):110 [Cladognathus? politus]
NE.India,Assam,Myanmar,Bhutan,中国(チベット) [Ind. Or.].

ずんぐりした体型で、短くて湾曲した顎が特徴的。
特徴を見た感じではP.forficulaに近縁っぽいです。


Prosopocoilus pouillaudei (Houbert,1915):49-51,fig.9 [Prosopocoelus pouillaudei]
NE.India [Sikkim].

♀のみで記載された種類。
前胸の形状や瓢箪型の体型を見ると、P.boreliの♀に見えます。
ただ、本種の複眼縁は角ばっているように見えます。


Prosopocoilus prosopocoeloides (Houlbert,1915):53-54,figs.12-13 [Pelecognathus prosopocoeloides]
Bhutan [British Bootang(Maria Basti):Phedong].

サイズは18~20㎜とかなり小型。
P.passaloidesに似るが、頭楯は突出して中央部が湾入し、頭部は細く、複眼縁は張り出さず、複眼下の膨らみは弱い。
顎は短く、内歯はP.kunikoaeに似る。


Prosopocoilus pseudocongoanus (Bomans,1967):331, 385 [Prosopocoelus pseudocongoanus]
D.R.Congo,Zimbabwe,Zambia [Zaire : Lualaba--Kakanda--Mutaka; Rhodesia : Victoria Falls--Zambesi].

名前の通りにP.congoanusに非常によく似る。
顎付け根に1本の内歯を備え、頭部の点刻は大きく、複眼縁はやや角ばり、頭楯は三角状（P.congoanusは双山状）。
体型はやや幅広で、全体的に光沢は強い。


Prosopocoilus pseudodissimilis Y.Kurosawa,1976:190-194,figs.1-4 [Prosopocoilus motschulskyi pseudodissimilis]
西表島,石垣島 [Ishigaki-jima I.].

P.dissimilis okinawanusに似るが、本種の頭楯は5角形状なので区別は容易。
前胸前方は幅広くてやや丸みを帯びる。


Prosopocoilus punctatissimus (Fairmaire,1893):529 [Cladognathus punctatissimus]
Comores Is.;Maheli Mohani I.,Anjouan I. [Mayotte].

P.vipssatiに似るが、やや小型で、体色はやや明るい褐色。
頭部は小さく、複眼縁はやや角ばり、複眼下の膨らみは弱い。