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停滞する海外戦没者の遺骨収集

戦後60年、停滞する海外戦没者の遺骨収集

12月25日9時36分配信 産経新聞


戦後60年、停滞する海外戦没者の遺骨収集

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地域別戦没者概見図(厚生労働省調べ、平成20年3月31日現在)(写真:産経新聞)

 □民間委託など新たな枠組み求める声

 政府が行う海外戦没者(240万人)の遺骨収集事業は戦後60年余が過ぎ、関係者の高齢化、情報の減少で先細りになるばかり。現状打破のため民間委託など新たな枠組みを求める動きも出てきた。約115万人の遺骨は今も未帰還のまま。帰郷を願う英霊の声は現代の日本人に届くだろうか。(特集部 喜多由浩)

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 「戦死へのハードルは低かったのに祖国へ帰るハードルはなぜ高いのか」。アルピニストの野口健さん(35)は無念さをにじませた。今年フィリピンでのNPOの遺骨調査に2度参加。セブ島では旧日本兵とみられる遺骨で埋め尽くされた洞穴を見つけたが、目の前にある遺骨を持ち帰ることができない。それができるのは政府の派遣団だけだからだ。「すぐ(派遣団を)連れてきますから少しだけ待っていてくださいと手を合わせるしかなかった」という。

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 昭和27年度からスタートした政府の遺骨収集事業は、厚生労働省外事室の職員と戦友、遺族らを中心に構成される派遣団が相手国の承認を得た上で遺骨収集を行い、最も多かった50年度には約3万6000柱の遺骨を持ち帰っている。ところが近年は主力となっていた戦友、遺族など関係者の高齢化、現地での情報の減少によって収集数が激減。昨年度まで3年連続で3ケタにとどまった。少ない予算、人員面から派遣先は限られ、国民の関心も高いとはいえない。

 危機感を持った厚労省は、平成18年度からは南方地域での情報収集に限って民間に委託する事業を開始。「来年度は調査日数を増やし、民間との協力も強化していく。国が責任をもって主体的に行う事業であることは、今後も変わりがない」(外事室)としている。

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 ただ、こうした厚労省主導の枠組みに対しては、「派遣団のメンバー選定や現地での行動に制約やムダが多く、すでに限界が見えている。予算や情報をもっと有効に使う方策や収集事業自体を民間に委託するなど新たな枠組みを考える時期だ」(派遣団経験者)との声も強い。

 今年11月には、フィリピンの遺骨収集で、NPO法人「空援隊」(京都市)が住民らの証言に基づき、村長らが発行する証明書を同国の国家機関、現地の日本大使館が承認すれば遺骨の持ち帰りが可能になる画期的な新方式を構築した。これを厚労省も追認する形で、従来を大きく上回る成果を挙げた。

 同隊の倉田宇山(うさん)理事は、「厚労省の関与を排除するものではないが、今回の最も大きなポイントは、民間でも遺骨を持ち帰れる道が開けたことだ」と意気込む。同隊は現地住民の独自のネットワークで情報を集めており、戦友、遺族ら関係者の情報に頼っていた従来の方法とは大きく違う。

 米軍のような遺骨収集の専門チームや省庁の枠を超えた組織の創設を求める声もある。残された時間が少なくなる中で、国のために命をかけた先人の慰霊をどうするのか。日本人に突きつけられた課題は重い。

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最終更新:12月25日10時28分

産経新聞

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