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口縄坂(大阪・坂巡り)



「口縄坂」は坂の下から見ると、道が蛇のように細く長いから名付けられたそうです。
口縄とは蛇のことです。
この坂を“蛇坂”と呼ばずに“口縄坂”と呼んだところが昔のひとのセンスのよさですね。

石畳の道が階段になっていきます。

子猫の兄弟が佇んでいました。


坂を登りきった右手には 作家・織田作之助の文学碑があります。



『木の都』という作品の一節が刻まれています。
  口縄坂は寒々と木が枯れて白い風が走っていた
  私は石段を降りて行きながら もうこの坂を登り降りすることも当分あるまいと思った
  青春の回想の甘さは終わり 新しい現実が私に向き直って来たように思われた
  風は木の梢に激しく突っ掛かっていた




5月にふれあいウオークで訪れたとき、年配の女性が
「織田作さん、好きなの〜」とおっしゃっていました。

私はというと、彼の作品を理解するには生まれるのが遅かった
とでも言っておきましょう。

でも、織田作之助さんが好きだというこの口縄坂は
私も一番好きな坂です。



夫婦善哉
『夫婦善哉』ほか、『木の都』など6編。
早世が惜しまれる織田作之助の代表短編小説集。

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