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2013年07月06日
にんにくの核心(1)
ニンニクのにおいの成分が万病に効く化学的メカニズム(1)
ニンニクの薬効成分の特定と化学解明の第一人者
日本大学生物資源科学部教授
有賀豊彦氏
著書「最先端−にんにく健康法」
ニンニクは、日本では野菜に分類されていますが、欧米では古くから薬草であるハ−ブに分類されています。1500年前のエジプトの薬物治療書にも記載され、世界各地で万能薬として珍重されてきました。

ニンニクはネギ科ネギ属の植物で、水分が65%、炭水化物が30%を占めており、どちらかというと成分上のバラエティ−は乏しい食品です。ところが、残り5%の中に含硫成分(硫黄原子を含む有機化合物)が70%(全体の3.5%程度)含まれており、その薬理効果が多彩かつ顕著で、古くから人々に珍重されてきた。ニンニクの薬効については西洋医学の祖と言われるギリシャのヒポクラテスをはじめ多くの科学者が「あの独特のにおいに秘密があるのでは」と解明を試みて研究されてきましたが、実際にどんな成分が、どのようなメカニズムで効力を発揮するのか明らかになってきたのは、ごく最近のことです。

人類がニンニクと関わりを持ったのは、今から約6000年も前、キルギス共和国あたりという説と、北アフリカという説が文献にあります。
歴史上最初ににんにくが登場するのは、紀元前4000年頃の古代エジプトで、王墓から9個のニンニクの粘度模型が発見されています。
紀元前1500年以前に書かれた世界最古の薬物治療書「エペルス・パピルス」には、多くの薬草(ハーブ)についての記載があり、その中でニンニクついては22もの処方が紹介されています。
ギリシャ、ロ−マ時代にも薬や強壮剤として数々の記録が残っています。
そしてニンニクはシルクロ−ドを渡って中国へ。
中国では、心筋梗塞や脳梗塞の治療にニンニクの抽出液を点滴投与する方法がいまも使われています。さらに中国から日本にニンニクが伝わったのは斯摩宿鮮(しまのすくね)が朝鮮の卓淳国に派遣され、百済との国交が始まった西暦360年頃だと考えられ、当時日本では、香辛料や強壮剤として使われていたようです。そして、時代はずっと下り19世紀、微生物学者パスツ−ルや神学者で医師のシュバイツァ−らがニンニクの殺菌作用と殺アメ−バ作用を医療に応用しましたが、この時点ではその部分についてよく分かっていませんでした。1892年、ドイツのゼムラ−はニンニクのにおいの成分を「硫黄アリル」と命名し、成分組成を解明しました。さらに1944年、アメリカの科学者カバリトとベイリ−が、ニンニクは無臭の硫黄化合物があり、ニンニクを切ったりすったりして細胞を破壊すると抗菌作用を持ったにおいの成分「アリシン」が発生することを発見した。
1951年、スイスのノ−ヘル賞科学者スト−ルとシ−ベックが、細胞内に蓄えられている無臭のアリインと維管束にあるアリイナ−ゼという酵素か反応することで「アリシン」ができるというメカニズムを解明しました。
みなさんも経験があると思いますが、ニンニクを丸ごとアルミホイルに包んで焼いてもほとんどにおいはしません。ちょっとでもニンニクを傷つけた時に初めてにおいを発生するのです。ただし、アリシンは不安定な物質で、そのにおいはいつまでも続きません。すぐに安定したスルフィド類(ジアリルスルフィドやジアリルトリスルフィド)に変化して空気中に飛散します。
その後現在に至るまで世界各地でニンニクの研究が進められている。
※ ドイツ人の科学者・医学博士のピ−タ−ジョシリングのチ−ムが6年前にこのアリシンの封じこめに成功し、世界特許取得したため、そのアリシン応用の「アリシル」が製品化できたことになる。



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