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2016年02月10日

夜叉瞑楼

ある国の末の王子は王位を我が物にしようという野心があった。王位継承権のある上の王子は次々と戦で戦績を上げ、国民に絶大な人気もあり、末の王子にとっては邪魔な存在でしかなかった。

隣国との戦で小隊を率いた末の王子は、進軍中に一振りの槍を手にする。その槍を手にした瞬間、耳元でどこからともなく「力が欲しいか?」と囁く声がした。王子は黙ってコクリと頷いた。

末の王子はその後、戦で勝ち続け、邪魔な存在であった上の王子は次々と戦で倒れた。ついに王位を継いだ末の王子は栄華を極めた。だがその矢先、「返してもらうぞ」とあの時の声がした……

声を聴いた直後から、信頼していた家臣達が次々と倒れ、妻と子供も病でこの世を去った。国も人も全てを失った王は血の涙を流し、この世の全てを恨みながらその槍で自らの命も絶ったのだった。
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