2021年01月11日
天孫降臨の年代 その7
考古學上よりの所説と其の批評
論者或は又、我が石器時代の遺物遺蹟を調査して、其の或る物を以て我等日本民族の先祖の遺せるものなりとし、爲に其の渡來を悠遠の時代に求めんとするものなきにあらず。
然れども、こは所謂石器時代の狀態にありし先住民族が、天孫民族と融合して、日本民族構成の一要素をなせることの觀察を閑却せるものにして、ただに天孫降臨の傳説を破壊するのみならず、我が社會狀態の上にあらはれたる諸現象の事實にも抵觸して、到底從ふべからざるものなりとす。
要するに我が古傳説に所謂天孫降臨の年代は、將來ますます人類學、考古學、言語學等の調査の撥達を待ちて、我が古代民族の種類、及び其の分布移動の次第を詳かにし、我が所謂天孫民族と、日本民族との關係を明にし、我が島國に存在する古代の遺物遺蹟が如何なる狀態に分布し、其の示す文化が如何なる程度にあるやを研究し、之を傍近諸民族の遺物遺蹟と比較し、文化の撥達變遷の次第に參考して、我が島國が如何なる時代より人類住居の地となりしか、如何なる時代より金屬使用の狀態に移りしか、其の民族關係は如何等の各般の事情を知りて後、始めて決し得べき問題なりとす。
今に於てはただ、今日の人智を以て知るを得ざる悠遠の時代より、天孫跡を此の國土に垂れ給へりと信ずるに滿足せんのみ。
論者或は又、我が石器時代の遺物遺蹟を調査して、其の或る物を以て我等日本民族の先祖の遺せるものなりとし、爲に其の渡來を悠遠の時代に求めんとするものなきにあらず。
然れども、こは所謂石器時代の狀態にありし先住民族が、天孫民族と融合して、日本民族構成の一要素をなせることの觀察を閑却せるものにして、ただに天孫降臨の傳説を破壊するのみならず、我が社會狀態の上にあらはれたる諸現象の事實にも抵觸して、到底從ふべからざるものなりとす。
要するに我が古傳説に所謂天孫降臨の年代は、將來ますます人類學、考古學、言語學等の調査の撥達を待ちて、我が古代民族の種類、及び其の分布移動の次第を詳かにし、我が所謂天孫民族と、日本民族との關係を明にし、我が島國に存在する古代の遺物遺蹟が如何なる狀態に分布し、其の示す文化が如何なる程度にあるやを研究し、之を傍近諸民族の遺物遺蹟と比較し、文化の撥達變遷の次第に參考して、我が島國が如何なる時代より人類住居の地となりしか、如何なる時代より金屬使用の狀態に移りしか、其の民族關係は如何等の各般の事情を知りて後、始めて決し得べき問題なりとす。
今に於てはただ、今日の人智を以て知るを得ざる悠遠の時代より、天孫跡を此の國土に垂れ給へりと信ずるに滿足せんのみ。
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