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2021年09月17日

中小企業経営・政策 〜2021年版中小企業白書 2-2〜

第2章 事業継続力と競争力を高めるデジタル化
我が国の今後の人口減少を見据えて生産性向上がうたわれている中、デジタル化の推進を一つの起点とし、従来の業務スタイルの脱却と新たな事業モデルの確立を目指していくことが、我が国経済を成長・発展させていくためには必要となる。
第1節 我が国におけるデジタル化の動向

感染症流行を踏まえて、事業継続力の強化におけるデジタル化の重要性に関する意識の変化をを見ると、約3分の2の企業が事業継続力の強化における意識が高まったと回答しており、生産性向上のみならず、事業継続力の強化の観点からもデジタル化への意識が高まっていることが分かる。
DXの具体的なアクション

企業がDXの具体的なアクションを組織の成熟度ごとに設計できるように、DXをデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションという3つの異なる段階に分解する。ここでは、デジタイゼーションは、アナログ・物理データの単純なデジタルデータ化のことであり、典型的には、紙文書の電子化である。デジタライゼーションは個別業務・プロセスのデジタル化であり、さらに、デジタルトランスフォーメーションは全社的な業務・プロセスのデジタル化、および顧客起点の価値創造のために事業やビジネスモデルを変革することである。
IT投資と労働生産性の関係

売上高IT投資比率と労働生産性の伸び率を見ると、両者の間で明瞭な因果関係を確認することができない。大規模な投資の場合には、導入期間が長期化し、従業員が習熟して新システムに移行することによる効果が現れるまでに時間がかかる可能性などといった要因が想定される。我が国の中小企業において、デジタル化を通じた労働生産性の向上に向けては、表面的なIT投資だけでなく、デジタル化の取組が組織内に浸透していくよう組織的に取り組んでいくことの重要性が示唆される。
第2節 中小企業におけるデジタル化に向けた現状

感染症流行前後のデジタル化に向けた取組の変化

業種別に感染症流行に伴いデジタル化の取組において最も重要度が上がった項目を見ると、全産業では「経営判断や業務プロセスの効率化・固定費の削減」を挙げる割合が約半数を占めており、「建設業」、「運輸業,郵便業」において多い傾向にある。BtoCが主体である「宿泊業,飲食サービス業」や「生活関連サービス業,娯楽業」では、「新たな事業や製品、サービスの創出と改善」の割合が最も多く、「製造業」では、「サプライチェーンの最適化・生産プロセスの改善」、「学術研究,専門・技術サービス業」では、「情報セキュリティ対策の強化・法規制のクリア」を挙げる企業も一定数存在している。、取引先属性別に感染症流行前後で取り組んだITツール・システムを活用した働き方改革の取組を見ると、感染症流行後において、「Web会議」を挙げる割合が最も高い。「Web会議」は、BtoB(45.4%pt増)、BtoC(41.7%pt増)いずれも増加しており、感染症流行を受けて急速に取組が広まっている。「テレワーク、リモート勤務」もBtoB(34.8%pt増)、BtoC(23.6%pt増)いずれも増加しており、柔軟な勤務形態の整備に向けた変化が見られる。他方で、「文書の電子化」や「社内の電子決裁」は、取組が進んでいないことが分かる。感染症流行を契機に、「テレワーク、リモート勤務」の環境整備が進んでいるものの、「文書の電子化」や「社内の電子決裁」などは進んでおらず、テレワークなどの更なる推進に向けては、様々な課題が散見される。
IT 投資への予算が増える要因の日米比較

米国企業は市場や顧客などの外部環境の変化を把握するために IT投資の予算を投じている傾向にあるのに対して、日本企業は IT投資の予算の大半が働き方改革の取組や社内の業務効率化に振り分けられている傾向にある。
ITツール・システムの導入状況

ITツール・システムの導入状況を見ると、「人事」や「経理」関連のITツールの導入が他の分野と比較すると、以前より進んでいることが分かる。「コミュニケーション」関連の IT ツールは、「1〜2年前から導入している」若しくは「新型コロナウイルス感染症流行を契機に導入した」と回答する割合が4割を超えており、働き方改革の
取組が進んでいることが示唆される。「業務自動化」や「経営分析」関連のITツールについては、現段階では導入予定のない企業が6割前後を占めている。業種別のITツール・システムの導入状況を見ると、「製造業」や「建設業」では、「生産管理」関連の導入、「卸売業」や「小売業」では、「販売促進・取引管理」関連の導入が進んでいる。他方で、「宿泊業,飲食サービス業」では、他業種に比べ全体的にシステム導入が遅れていることが分かる。
クラウドサービスの導入状況、今後の利用方針

クラウドサービスの導入状況を見ると、「グループウェア」におけるクラウドサービスの導入率が半数以上と最も高く、次いで「情報管理」、「コミュニケーション」関連のクラウドサービスの導入率が高くなっている。他方で、全体的に見ると、総じてクラウドサービスの利用は進んでいない。クラウドサービスは自社でサーバーを保有する必要がなく、利用するデータ量や時間などに応じて費用を支払うことから、規模の大きくない企業でも低コストで導入可能なものの、従業員数が多い企業ほど、クラウドサービスの利用拡大に積極的な傾向にある。IT投資額の推移別に今後のクラウドサービスの利用方針の関係を見ると、IT投資額が増加傾向にある企業は、クラウドサービスの利用拡大にも積極的である。
IT人材の確保と育成

IT人材の確保状況を見ると、デジタル化の取組全体を統括できる人材及びITツール・システムを企画・導入・開発できる人材は、半数以上の企業が確保できていない。ITツール・システムを企画・導入・開発できる人材及びITツール・システムを保守・運用できる人材は、7割以上の企業が他の従業員と同等水準の報酬にとどまっており、報酬面での課題が専門的なIT人材を確保できていないことにつながっている可能性も示唆される。IT人材の確保における課題を見ると、「IT人材を採用・育成する体制が整っていない」と回答する企業の割合が半数以上を占めており、体制面での課題を抱えていることが分かる。
情報セキュリティ対策

業種別にサイバー攻撃の被害状況をを見ると、全体の2割以上の企業が何らかの被害を受けていることが分かる。被害状況について「分からない」と回答している企業も一定数存在しており、潜在的な被害も含めると、相当数の企業が被害を受けていることが示唆される。「運輸業,郵便業」や「宿泊業,飲食サービス業」では、サイバー攻撃による被害を受けたと回答する割合が約1割と低いものの、「卸売業」や「情報通信業」では、4社に1社が被害を受けていることが確認される。従業員規模別にサイバー攻撃の被害状況を見ると、従業員数が多い企業ほど、サイバー攻撃を受けている割合が高い傾向にあり、301人以上の企業では3割以上が被害を受けたことがあると分かる。「情報通信業」は、サイバー攻撃の被害を受けた割合が高かったものの、「十分に対策している」と回答する割合が40.3%と最も多くなっている。被害を受けた割合が低かった「運輸業,郵便業」や「宿泊業,飲食サービス業」では、「あまり対策していない」若しくは「まったく対策していない」割合が3割を超えており、サイバー攻撃による被害が懸念される状況にあると考えられる。
事業継続力の強化に向けたデジタル化の取組

業種別にデジタル化における事業継続力の強化に対する意識を見ると、業種を問わず、事業継続力の強化を意識して、デジタル化に取り組んでいる割合が約6割を占めている。デジタル化における事業継続力強化への意識と労働生産性との関係をを見ると、事業継続力の強化を意識して、デジタル化に取り組んでいる企業における労働生産性の平均値が6,692千円/人と最も高いことが分かる。事業継続力の強化を意識せずデジタル化に取り組んでいる企業の労働生産性の平均値は、事業継続力の強化を意識してデジタル化に取り組んでいる企業の83.0%の水準となっている。
第3節 中小企業のデジタル化推進に向けた課題

業種別のデジタル化推進に向けた課題を見ると、全産業では、「アナログな文化・価値観が定着している」が最も高く、次いで「明確な目的・目標が定まっていない」、「組織のITリテラシーが不足している」となっており、大半の業種における課題として上位を占める。「卸売業」や「建設業」では、「長年の取引慣行に妨げられている」、「宿泊業、飲食サービス業」では「資金不足」を回答する企業が3割強存在していることも確認される。従業員規模別にデジタル化推進に向けた課題を見ると、従業員数の多い企業ほど、アナログな文化・価値観の定着や組織のITリテラシー不足、長年の取引慣行といった課題を挙げる傾向にあり、変革に向けた組織の適応力に課題を抱えている企業が多いことが示唆される。従業員数の少ない企業では、明確な目的・目標が定まっていないことや資金不足といった課題を挙げる傾向にあり、組織体制の課題を抱えている企業が多いことが示唆される。デジタル化推進による効果別に、デジタル化推進に向けた課題を見ると、効果が出なかったと実感している企業は、効果が出たと実感している企業に比べ、明確な目的・目標が定まっていないことや資金不足を挙げる割合が高い傾向にあることが分かる。資金不足は企業状況にも左右されるものの、デジタル化の推進に当たってはまず、組織における目的・目標を明確化させることが重要であると示唆される。
第4節 中小企業におけるデジタル化に向けた組織改革

デジタル化推進に向けた意識改革

デジタル化に対する社内の意識別に、デジタル化推進による業績への影響を見ると、デジタル化に取り組むことに対して積極的な文化が醸成されている企業は、プラスの影響を及ぼした割合が75.9%を占めている。デジタル化に取り組むことに対して抵抗感が強い企業では、「どちらとも言えない」の割合が56.2%を占めており、業績への寄与を実感できていないことが確認される。デジタル化に対する社内の意識と労働生産性との関係を見ると、全社的にデジタル化に積極的に取り組む文化が定着している企業における労働生産性の平均値が6,841千円/人と最も高く、次いで、積極的に取り組む文化が醸成されつつある企業が高い傾向にあることが分かる。全社的にデジタル化に対する抵抗感が強い企業の労働生産性の平均値は、全社的にデジタル化に積極的に取り組む文化が定着している企業の約6割の水準となっている。
経営者の積極的な関与

デジタル化の推進に対する経営者の関与度について見ると、「経営者が積極的に関与している」という企業が約3割存在していることが分かる。他方で、システム部門や現場の責任者などに一任しており、経営者は関与していないという企業も約2割に上ることが確認される。デジタル化の推進に対する経営者の関与度別に、デジタル化推進による業績への影響を見ると、経営者が積極的に関与している企業は、プラスの影響を及ぼした割合が75.0%を占めていることが分かる。システム部門や現場の責任者などに一任し、経営者は関与していない企業では、半数以上の企業が「どちらとも言えない」と回答しており、業績への寄与を実感できていないことが確認される。デジタル化の推進に対する経営者の関与度と労働生産性との関係を見ると、経営者が積極的に関与している企業における労働生産性の平均値が6,440千円/人と最も高く、次いで、ある程度関与している企業が高い傾向にあることが分かる。経営者は関与せず、システム部門や現場の責任者などに一任している企業の労働生産性の平均値は、経営者が積極的に関与している企業の86.7%の水準となっている。
デジタル化に向けた方針の策定

業種別に、事業方針及びデジタル化の取組において最も重視する項目を見ると、全産業では、事業方針においては、「新たな事業・商品・サービスの創出・改善」が最も高く、次いで「取引関係の構築・改善」、「組織管理体制の見直し」となっている。他方で、デジタル化の取組においては、「経営判断・業務プロセスの効率化、固定費の削減」が最も高く、社内改善の取組が重視されている傾向が分かる。デジタル化の方針を含んだ事業方針の立案と労働生産性との関係を見ると、事業方針の中にデジタル化の方針・目標が含まれている企業の労働生産性の水準は高い傾向にあることが分かる。
デジタル化推進に向けた組織づくり

デジタル化に向けた社内の推進体制と労働生産性との関係を見ると、全社的にデジタル化を推進している企業における労働生産性の平均値が6,690千円/人と最も高い傾向にあることが分かる。部署単位でデジタル化を推進している企業の労働生産性の平均値は、全社的にデジタル化を推進している企業の83.3%の水準となっている。
ITベンダー・外部パートナーとの協業

業種別にITベンダーの活用状況を見ると、全産業の56.0%がITベンダーを活用したことがあると分かる。活用したことがある企業の割合は、「卸売業」が最も高くなっているが、「宿泊業,サービス業」では、約3社に1社の企業にとどまっており、業種間で活用状況に差が生じていることが確認される。取引先属性別にITベンダーの活用状況を見ると、BtoBの企業はBtoCの企業と比較して、活用したことがある割合が高い傾向にあることが分かる。従業員規模別にITベンダーの活用状況を示したものである。これを見ると、従業員規模の大きい企業ほど、活用したことがある割合が高い傾向にあり、301 人以上の企業では75.6%を占めている。20人以下の企業では、301人以上の企業の半数以下の割合(34.9%)にとどまることが分かる。ITベンダーが取引先・支援先である企業側から求められていると考える能力・技量を見ると、「業務プロセスの改善提案」を挙げる割合が最も高い。一方で、ITベンダーに対して求める能力をを見ると、「保守・運用の能力」が最も高く、次いで「求める機能の着実な実現」、「システムの導入コストの安さ」の割合が高い。中小企業側とITベンダー側との間に認識のずれがあり、中小企業とITベンダー側が求める提案にミスマッチが生じている可能性が考えられる。外部パートナーとの協業(他社と連携し、互いの技術・ノウハウを活用して新たな事業・商品・サービスの創出を実現する活動の総称)について従業員規模別にデジタル化における外部パートナーとの協業状況を見ると、従業員数が多いほど、連携・協業したことがある割合が高い傾向にあるが、全体では1割強にとどまることが分かる。デジタル化の方針を含んだ事業方針の有無別に、デジタル化における外部パートナーとの協業による成果を見ると、事業方針の中に、デジタル
化の方針・目標が含まれている企業は、含まれていない企業に比べて成果が出たと実感している割合が高いことが分かる。デジタル化の方針・目標を明確化した上で外部パートナーとの協業により、自社の経営リソースを補いデジタル化に取り組む重要性が示唆される。
公的支援機関の活用

業種別にデジタル化における公的支援機関の活用状況を見ると、業種にかかわらず、デジタル化の取組において公的支援機関を活用したことがある企業は2割程度にとどまっている。IT人材の確保状況別に、デジタル化における公的支援機関の活用状況を見ると、IT人材を確保できている企業は、確保できていない企業と比較して、公的支援機関を活用したことがある割合が高いことが分かる。公的支援機関活用の成果を見ると、約7割の企業が一定の成果を感じたと実感している。
デジタル化推進に向けた業務変革

デジタル化の定着に向けた取組をを見ると、「日常的な改善活動」を挙げる企業が多いことが分かる。また、IT活用レベルの高い企業は、活用レベルの低い企業と比較すると「IT活用の継続的な見直し」や「IT活用に関する日常的な情報収集」に関して20%pt以上の差が生じている。ITツール・システムの導入と業務プロセスの見直し方法について、労働生産性との関係を見ると、業務プロセスの見直しに合わせてITツール・システムを導入する企業の労働生産性の平均値は、導入するITツール・システムに合わせて、業務プロセスの見直しを行う企業の84.4%の水準となっている。ITツール・システム起点で、業務プロセスの見直しを行っていくことが有効であることが示唆される。
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