ピッキング方式
ピッキング(Picking)とは、「製造又は出荷のために必要な部品若しくは製品を、在庫置場からひとまとめにそろえる行為。キッティング(Kitting)ともいう」(JIS Z 8142-4205)と定義されている。
シングルピッキング方式
1人の作業者がオーダー(注文)ごと、受注単位ごとに保管場所を周回して、商品を集品しピッキング作業を完結する。各出荷先のオーダーごとに商品のピッキングを行うため仕分けは不要となる。出荷先が多く、多品種少量の出荷を行う場合に適しているが、作業者の移動距離が長くなり、ピッキングに要する時間が長くなるデメリットがある。オーダー別ピッキング方式(摘み取り型)の一つである。
リレー式ピッキング方式
1人の作業者が複数商品、あるいは特定エリアを担当し、複数の作業者がその作業範囲を分担し、それぞれが中継してピッキング作業を完結させる方式である。多品種かつ多量の出荷を行う場合に適している。1人の作業者が数アイテムの商品を担当し、複数人のリレー(中継)で集荷するため、担当者の移動距離が短くなる。オーダー別ピッキング方式(摘み取り型)の一つである。
トータルピッキング方式
複数のオーダーを集約して品種単位にまとめて合計数分の商品を集品ピッキングし、その後仕分け場などにおいて、オーダーごとに仕分けを行う種まき型のピッキング方式である。各出荷先のオーダーを集計し、商品ごとの総量をピッキングした後、仕分け場にて出荷先別に商品を仕分けする。納品対象となる品目が特定品目に集中している場合や出荷先が少なく少品種多量の出荷を行う場合に適している。まとめて集品するため作業者の移動距離が短くなるメリットがあるが、仕分け場(荷捌き用のスペース)が必要になることと、緊急出荷に対応し難いなどのデメリットがある。バッチピッキング方式ともいう。
品種別・オーダー別複合ピッキング方式
受注を一定受注先数ごとに集約し、品種単位にまとめて集品、ピッキングする。その後、商品を受注先ごとに仕分ける作業を繰り返す。物流センターから店舗へのカテゴリー納品は、商品を売り場に補充する作業の時間を短縮する。摘み取りと種まきの複合型といえる。
センターフィー
センターフィーとは、卸売業やメーカーなどの納入業者が小売業に対して支払う、物流センターの利用手数料のことである。 小売店舗に直接納品する納入業者の数が多くなる程、店舗側では荷受けや検品の作業負担が増えてしまう。また納入業者にとっても、各店舗への配送は手間とコストが掛かる。そこで小売業が用意した物流センターに各納入業者の納品を一旦集約させた後、各店に配送する仕組みを採用している。物流センターを利用することで小売店にも納入業者にもコストメリットが生じる。
クロスドッキング
クロスドッキングとは、複数のメーカーや卸売企業から物流センターに到着した商品を、在庫として保管されることなく、直接仕分け、あるいは荷合わせのみを行い、出荷先の小売店舗ごとに取りまとめて配送する仕組みのことである。通過型物流センターは商品を倉庫に在庫せず出荷するセンターであり、クロスドッキングは通過型物流センターの根幹を成している仕組みである。通常、サプライチェーン全体で店舗に近い川下の物流センターで行われる。クロスドッキングを効果的、効率的に行うためには、ASN(事前出荷明細)などを使って、どのような商品がいくつ、いつごろ到着するかというタイミングを把握しておく必要がある。これにより、荷受作業を迅速に行うことができ、商品を滞留させずに仕分け・出荷することが可能となる。チルド食品や日配品など在庫とすることをなるべく回避したい傷み易い商品にはクロスドッキング方式が適している。
ASN
ASNとは事前出荷明細のことで、EDIなどを通じて出荷先から納品先へ事前に伝送されるものである。ASNの情報と、実際に入荷する荷物のITFコード(Inter-leaved Two of Five:集合包装用商品コードをバーコードシンボルで表示する場合に用いられる)やSCMラベル(Shipping Carton Marking Label: 混載の場合などで納品する段ボールなどの集合包装に貼り付けたバーコードのラベル)と照合することによって荷物の個数検品などは完了できる。
ロケーション管理
固定ロケーション管理
固定ロケーション管理とは、荷物ごとに保管する場所を決めて管理する方法で、ピッキングの効率は高いが、保管効率は低い。
フリーロケーション管理
フリーロケーション管理とは、倉庫内において商品の保管する場所をあらかじめ特定せずに、空いている場所などを探して順次保管していく方式である。空いている場所に荷物を保管してゆくので、保管効率は高いが、ピッキングの効率は低い。ITを活用して、どこに何がいくつ保管されているのかを管理するため同じ商品が別々のところに保管されていることも珍しくない。フリーロケーション管理では、固定ロケーション管理と比べて、空きスペースを有効に活用することが可能である。
3PL(Third Party Logistics)
3PL(Third Party Logistics)とは、荷主の物流機能全般を一括して受託する外部の専門業者のことである。JISによれば、3PLとは「荷主企業でも物流事業者でもない第三者が荷主のロジスティクスを代行するサービス。倉庫、車両などの施設・設備がなくても事業化できる運営ノウハウをもとに、情報システム及び業務改革の提案を中心に長期的な管理目標を定め、達成した改善利益の配分を受けるものであるが、物流事業者が荷主企業 のアウトソーシングニーズに広範に対応して一括受注するケースも含まれる」と定義されている。自社の物流資産を用いるアセット型のほか、物流資産を持たないノンアセット型もある。ノンアセット型の3PL事業者は自社で物流資産を保有せず、コンサルティング機能や適切な物流業者の選定を行い、荷主企業の物流効率化を図る。
VMI(Vendor Managed Inventory)
VMI(Vendor Managed Inventory)とは、ベンダー(卸売業者)が小売業者のために、情報の提供だけでなく、在庫管理までも提供することである。
WMS(WarehouseManagementSystem)
WMS(WarehouseManagementSystem)とは、倉庫や物流センターを効率的に運用する管理システムのことで、配車計画や保管計画、 ピッキングなどの活動を情報システムで一括管理し、全体の流れをコントロールすることである。
物流センター
物流には大きく分けて5大機能があり、「荷役」、「流通加工」、「包装」、「輸送(配送)」、「保管」がある。 物流センターでは、要求に応じて、値付けや包装をすることがあり「流通加工」や「包装」という機能に該当する。流通加工とは、流通段階にある商品について簡単な加工・組立などを行い、商品の付加価値を高めることである。流通加工の例としては、商品への値札付け、ギフト商品のセット組みなど、従来からの比較的簡便な加工などのほか、近年ではより複雑な加工も行われている。また従来は卸売業が保持するセンターや小売店舗で行われていた流通加工だが、近年は一括物流センターに作業集約される傾向にあり、生産性の向上によるコスト削減が図られている。
マテハン機器
マテハン機器とは、「マテリアルハンドリング機器」の略称で、パレットやフォークリフトなど、モノの保管・運搬などの物流業務を効率化するために用いられる荷役機器のことを指しソーターが仕分け用の機器であり、フローラックが保管用の機器である。ソーターとは、コンベア上の荷物を配送先に応じて自動仕分けする機器である。フローラックとは、入庫したものが自動的に手前に配置されるように、商品を置く台が斜めになっているラックのことである。フローラックを使用することで先入れ先出しが行いやすくなる。
輸送形態
複数の荷主を巡回して集荷する方式をミルクラン(巡回集荷)という。調達物流に主に用いられ、取引量の少ない複数の荷主を巡回して集荷することで、積載効率や輸送効率を高めることができる。また、ラウンド輸送とは、複数の取引先を巡回しながら配送と集荷を行う形式で、往路で荷物の配送を行いつつ、復路で荷物の集荷を行う。ラウンド輸送によって空車の削減ができる。貨物を載せた台車をそのまま船内外に誘導して荷役する方式のことをロールオン・ロールオフ方式(roll-on roll-off system)という。また、自動車運搬船のように貨物が自力で積み降しされるものは、特にドライブオン・ドライブオフ方式(drive-on drive-off system)と呼ぶ場合がある。
運行効率の計算式
実働率 : 運行可能日数に対する、何日間、実際に車が実働したのかを示す割合
実車率 : 総走行距離数に対する、収入につながる荷を積んで走った実距離数の割合
積載率 : 積載可能数量(満載)に対する、実際の積荷数量の割合
物流ABC
物流ABCとはActivity-Based Costingの略で物流のコスト分析手法である。人件費(人員×所要時間×時給)、消耗品経費、機械設備費の合計で算出する。出荷や配送などの活動ごとに作業時間や作業量を把握する。顧客別の採算分析ができるようになるため顧客別の物流サービス水準の適否の評価に活用できる。出荷1ケース当たりのコストを算出できるようになる。コストの算出において、間接費を構成比等の基準で按分する。多頻度少量の納品や、流通加工といった物流サービスには相応のコストがかかっており、このような物流コストに影響する要因を明確化することができる。
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