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2018年12月10日

水に流す

今年も師走の半ばに差し掛かり、

今年は・・・と1年を振り返るころになった。


私は、今年心に残しておきたい一人として、

(スーパーボランティア)尾畠さんを挙げたい。

一躍時の人になってしまい、戸惑いながらも

それまでのペースを崩すことなく

ボランティア活動を継続されている。


マスコミはここぞとばかり持ち上げまくったが、

尾畠さんは浮かれることなく淡々と対応されたように思う。


「来る者は拒まず、去る者は追わず」が尾畠さんの信条だ。

マスコミへの対応は信条どおりだったと思う。


尾畠さんのことを「本」にして出版したヤツがいたらしいが、

どうやら尾畠さんに話を通していなかったようで、

さすがに少々オカンムリだった。

一般庶民のことを勝手に「本」にして金儲けを企むなど、

作家として最低だし、ルールというか常識がない出版社も最低だ。



また、尾畠さんが好きな言葉は

「かけた情けは水に流せ。受けた恩は石に刻め」、

「ですから対価は一切求めません」。

だからこそ、ボランティアといえるのであって、

少しでも対価をもらったらボランティアにはならない。

仕事になる。



日本では古来、

濃密な人間関係をスムーズにするための知恵として

「人助け」をしても相手に気を使わせないようにして来た。

その代わり、「気持ちですが」と言って

「労力」か「物」でさりげなくお返しをする。

さらに「お返しがない」と言って

お返しを求めることは下品な事とされてきた。


つまり、かけた情けは忘れてしまうのである。

逆にかけられた恩は絶対にわすれてはいけない。


「お世話になった」話が、何十年も前の話だったなど、

普通の事なのだ。

「あなたのおじいさんに良くして貰って・・・・」と言われても、

そんな話、おじいさんから伝え聞いてはいない。



当ブログで「仲良きことは  親日」というのを書いている。

親日になってくれている国や人は、

我々の先人が無償の行為として行ったことによる場合が多い。


和歌山県串本でのトルコ軍艦座礁の救難活動は、

村人たちに損得勘定などなかっただろう。

満州での樋口季一郎や東條英機、

ポーランドでの杉原千畝らが何を求めたのだろう。

台湾総督府庁舎は当時のままの姿を残すだけでなく、

今も大切に使われている。

ありがたいことだ。


日本は、これらの「かけた恩」「かけた費用」に対して

その後対価を求めたことがあっただろうか。

私は寡聞にして知らない。

国も国民も「水に流して」いるのだと思う。



対してインドからは、

パール判事、ネール首相などから大きな恩を受けている。

石に刻んでおく必要があるのだ。





posted by smile at 18:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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