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2019年06月07日

いつの日にか 帰らん

一通の封書が届いた。

差出人は知らない名前だったが、

( )の中に旧姓が記されている。

用件は、中学校のクラス会を開催するので、

参加できるかという案内だった。

クラスとはいっても、同学年は3クラス130人位だったと思う。

今までには数回開催案内をもらっている。

一度も参加していない。

20歳前後には適当に声を掛け合って集まっていたことがあるが、

長い時を経てもこうやって集まろうと

声をかけてくれている者には感謝するしかない。


今回は中学校の集まりだが、高校を卒業してからの進路も、

地元に残る者は数人しかいなかった。

中学から就職する者もやはり、数人だった。

高校から進学する者、就職する者も

進学はもちろん地元に残るものはほとんどいなかった。

ただし、年とともに帰郷するものが出て来て、

それぞれの生業を重ねてきている。


現在は退職した者が何人か帰郷して

暮らしているように聞いているが、

故郷での生活に馴染めているのだろうか。

数十年間も全く異なる環境で生活してきたわけで、

子どもの時のような共通のベースになるものがない。



若いころは「ふるさとは遠きにありて思うもの」

と自身に言い聞かせて、帰郷することを避けていたのだが、

齢を重ねるとともに心情も変化してきている。


「孝行をしたい時には親はなし」のとおり、

すでに両親とも他界しているが、

『夢は今も めぐりて、忘れがたき 故郷(ふるさと)』なのだ。

そして『恙(つつが)なしや 友がき 雨に風に つけても


思い出(い)ずる 故郷』になってきている。


この友は一緒に遊んだ小学校・中学校の同級生が殆どであり、

それと近所の幼馴染ということになる。


十数年前に開催した会の集合写真をもらったのだが、

その中の女性二人と男性一人の名前がどうしてもわからなかった。

たいていの者は体形や顔は当時と変化しているのだが、

面影を強く残している者とそうでないものがいる。

消去法を使いながら辿ったがわからなかった。

申し訳ない。


しかし、会って話をすれば思い出すのではないかと思っていた。

ところが、それも、どうも怪しくなってきた。

先日、小学校と中学校の卒業アルバムをめくってみたのだが、

名前はもちろん顔も思い出せない者が数人いた。

ちょっと、ショックというかガッカリした。


唱歌「ふるさと」には『兎(うさぎ)追いし かの山  

小鮒(こぶな)釣りし かの川』とある。

さらに『山は青き 故郷  水は清き 故郷』なのだが、

清き水は流れても、川は護岸のためその面影は、今はない。

青き山には、遊ぶために自然に造られた道は、今はない。


それでも最近は、

『志(こころざし)を はたして  いつの日にか 帰らん』

という思いが強くなってきている。




posted by smile at 15:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | コラム
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