2015年10月14日
想い出のナイフ修復、涙されたお客様
ブログを始めるきっかけとなったのが、あるお客さんの感動的な出来事からです。
普段は包丁研ぎが主ですが、ナイフや鋏なども良く持ち込まれる事もあります。
その日は、包丁以外に錆で真っ茶色のポケットナイフ(刃は、少し厚めの肥後守風で、ハンドルは木と真鍮製)でした。
見た目は、錆が刃全体にまわり刃線はがたがたでペーパーナイフとしても全く役立たない状態でした。
ハンドルの真鍮部もくすんで、素材が分からない状態でした。
そんな、ナイフを持ち込まれたお客さまは、父の形見ですと言われ、大切に思われていましたので刃研ぎと、錆落とし、メンテナンスを引き受けました。
案の定、刃は厚い錆でバフで落としましたが、なかなか地金が現れませんでした。ハンドルも、くすみと汚れで、素材が分からない状態でした。
バフと、汚れ落としクリーナーでようやく本来の様子を伺う事ができました。
油気のなくなった木製ハンドルを油脂で磨きをかけ、刃も新たな刃付けを行いました。
刃材が、鋼製で研ぎごたえがあり、切り刃も鋭角目に研ぐ事ができ、爪での仕上げ確認も、新聞紙の試し切りも基準よりも良い感じに仕上げる事ができました。
最初に、見た時とは異なり、錆びた塊ではなく、ナイフらしいいでたちに整える事ができました。
暫くして引取りに来られ、保存袋から取り出してお見せすると、まだ刃も拡げていないにも関わらず、一目見るなり、突然涙を込み上げられました。
そして言葉少な気に、父との思い出を語られました。
帰りがけに、何度もお辞儀をされ温かい気持ちが伝わりました。
刃物には、なにか道具以外の人の思いが入り込みやすい媒体なのかもと思いました。
研いで良かったと思える一件でした。
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