歳は取りたくなるもの

志村動物園で人間に虐待を受けた犬（つぼみ、わかば）をベッキーがトレーニングして本来の元気な犬に戻すというシリーズの最終回を見た。
最終回では、つぼみ、わかばは二匹を引き取りたいと申し出たご家族に引き取られた。
このシリーズ、なんと３年もの月日が流れたのか？最初から全て見ていたわけではないが、結構な頻度で見ていた。正直長過ぎだと感じた。

虐待を受けた二匹の最初は酷いものだった。
犬小屋から一歩も出てこようとしない。人間と目は絶対合わさない。もちろん散歩なんて行けない。
それをベッキーやトレーナーがトレーニングして、少しずつ人間に慣れさせ、散歩にも行ける状態まで回復させた。
しかし当然のことであるが、ベッキーの飼い犬ではない。ベッキーが毎日お世話をしてトレーニングしているのでもない。どれぐらいの頻度か知らないが、トレーナーと共に餌をやったり散歩して回復状態をテレビでシリーズ化して報告しているのであった。
毎日の二匹の世話やトレーニングは、トレーナーや専属の人達がやっていたのであろう。

最終回で二匹を引き取りたいと申し出た家族に引き渡す前に、ベッキーは試しに一度つぼみ、わかばを実際にそのお宅に連れて行き、様子を見た。
その時の二匹の様子に正直びっくりした。初めて行くお宅なのに、つぼみ、わかばは家に入るのを怖がらなかった。他に犬も飼っておられたが、その犬達はどんな犬とでも仲良くなれるという犬達だった。
本当にその犬達は尻尾を振ってつぼみ、わかばを迎えた。つぼみ、わかばも怖がらずにそのお宅の犬達とすぐに打ち解けたのだ。もちろんそのお宅の犬好きのお母さんにも、つぼみ、わかばはすぐに慣れ、一緒に散歩もできたのだ。
ベッキーはその時の二匹の様子を見て、このご家族に二匹を引き渡す決心をする。

その後ベッキーは二匹を連れて再度そのお宅を訪問した。完全に引き渡す為だ。
二匹は、そのお宅の玄関に着いたら、早く入りたいと言わんばかりの様子だった。そして入ってからは、まるで前から住んでいた家のように落ち着き、リラックスした様子になった。
それを見届けて、ベッキーは二匹にお別れをする。玄関から二匹が見えなくなるまでベッキーは手を振った。

番組上の演出と言えばそれまでだが、すごく違和感があった。
私なら最後は犬に手を降らない。そのお宅で二匹がリラックスしたのを見届け、家族と馴染んでいる間に、そっと犬の前から姿を消す。手を振ったらつぼみ、わかばが戸惑うではないか。
もちろんつぼみ、わかばはベッキーが手を振ると困ったような顔をしたが、吠えもしなかった。

ベッキーは３年間を振り返り、寂しいと泣いた。心情的にはわかるが、違うのではないか。
自分の犬ではない。虐待されていた寂しい犬達が、本当に大切にしてくれる家族に引き取られていくのだ。
自分の寂しさよりも、二匹の為に心から良かったと喜び、引き取ってくださるご家族に感謝して泣く涙ではないのか。

人間に虐待された犬の心の傷を治すのは、トレーニングよりも人の愛情なんだと、改めて感じた。
つぼみ、わかばは、志村動物園を卒業することで、やっと本来の犬として解放され本当の家族ができるのだ。これからは優しいお母さんや子供達と毎日田舎道を散歩し、広い庭を持つ家で同居する犬達と思う存分遊べるのだ。

虐待された犬を救う活動は確かに大切だ。しかし番組のシリーズ化にし、芸能人がトレーニングするのに３年をかけるのはいかがなものか。犬にとっての３年は人間よりもずっと長いのだ。もっと早く里親に引き取られてほしかった。
前にお猿の赤ちゃんを、同じく芸能人の女性が育てるシリーズもあったが、こちらも同様だ。
まるで毎日育てているようなポーズを取る芸能人が嫌だった。なぜそんなフリをさせるのか。
毎日の育成はトレーナーの男性が寝る間も惜しんでやっているのだ。
そのトレーナー男性の奮闘記のシリーズ化では視聴率が取れないからだろうか。

つぼみ、わかばのシリーズの最終回、引き取られて良かったと嬉しかった半面、人間のエゴが見えすぎて不快だったのは、私だけだろうか。