2022年07月25日
ちょっとだけMリーグ#21
今回もMリーガーの良い部分に注目して一局だけを掘り下げていきます。
今日の主役は魚谷 侑未プロです。
まずは動画からご覧ください。
https://youtu.be/lX5IrgSojaM
※今回は動画の都合上、南家・滝沢さん3巡目からになります。
2022年3月31日 第1試合
東2局1本場
東家 魚谷 侑未 34000
南家 滝沢 和典 26000
西家 内川 幸太郎 18000
北家 松本 吉弘 22000
(敬称略)
まだ東2局でトップ目魚谷さんは二着目と満貫差でいくらでも入れ替わる可能性が高いので、点差は意識しなくて良いです。
動画の都合上、南家・滝沢さんの手は
ドラ滝沢手牌
ピンズはリャンカン受け入れ、ソーズもリャンカン+リャンメンの+受け入れの2シャンテンでほぼ形を決めました。
これではほぼリーチ・赤2600点にしかならないのでもし少し高い手を見るなら残しで567三色同順を見る手もあります。
ツモ打
次に西家・内川さんの手は
ドラ内川手牌
現在4対子でタンヤオにはが邪魔でタンヤオにはこれをすべて切る4巡が必要で、更に新たに4枚のタンヤオ牌(2〜8)を引く必要が出てきます。
タンヤオ牌1枚あたり引くのに3〜4巡かかったとする(仮定)と、4枚で4×3巡=12〜16巡かかる計算になります。
対子が多くメンツ手にならなそう、タンヤオにもスピードで遅れそうで赤もドラもないこの手ではアガリを見るというよりは守備的七対子狙いが良さそうです。
いつ他家からリーチが入っても良いように安全牌になりそうな牌を対子にしながら、リーチが入ればその対子落としで安全牌代わりにもできます。
ツモ打
次に北家・松本さんの手は
ドラ松本手牌
先程の内川さんの手と反対に、この手はメンツ手、平和を中心に見る手でしょう。
ドラを使いながら赤引きの平和にしてリーチ・平和・赤・ドラで満貫になります。
マンズ2メンツ、ピンズ1〜2メンツ、ソーズ0〜1メンツの予定で雀頭探しも並行します。
ツモ打
最後に親・魚谷さんの手は
ドラ魚谷手牌
こちらもメンツ手で、カンチャン2つ、ペンチャン1つと愚形受け入れが多く、テンパイスピードがあまり早くない手に見えます。
更に赤もドラもない手で高くならなそうで、あまり積極的に攻める手でもなさそうです。
タンヤオか平和を見ながら進めて、押し返せなさそうならオリでいいでしょう。
ツモ打
同巡、滝沢さんは
ドラ滝沢手牌
カン受けが増えてカンチャンを引くとまだ変化もあります。
例えば
に引きリャンメン、に引きなど。
また同巡、内川さんは
ドラ内川手牌
5対子で七対子1シャンテン。
1シャンテンと早いものの、タンキ待ちに良さそうな牌がくらいしかありません。
次巡、魚谷さんは
ドラ魚谷手牌
1メンツ完成しましたがメンツ手3シャンテンでカンチャン・ペンチャン受けの残る苦しい形。
また同巡、滝沢さんは
ドラ滝沢手牌
対子が増えて対々和、三暗刻も見えてきました。
更に同巡、松本さんは
ドラ松本手牌
ポンか雀頭の役なしリーチもあります。
松本さんは1ブロック足りない状態でマンズに引きでリャンメンを作るかソーズにくっつくか、引きにしてくっつきを見るかのどれかを考えたい所。
次巡、魚谷さんは
ドラ魚谷手牌
ピンズリャンカン形ができ、タンヤオへ。
まだ雀頭が決まってないので重なりも見ています。
また同巡、内川さんは
ドラ内川手牌
暗刻が増えれば対々和・三暗刻やツモり四暗刻までありますが、今は七対子寄りです。
更に同巡、松本さんは
ドラ松本手牌
まだくっついていませんがも見て残し。
2巡後、内川さんは
ドラ内川手牌
ドラ引きでドラ対子になればリーチ・ツモ・七対子の跳満もあります。
次巡、魚谷さんは
ドラ魚谷手牌
ポン材ができ、食いタンもできる形になりました。
ただ1500点の仕掛けでは点数的に足りないのでできればメンゼンでアガリを見たい手です。
同巡、滝沢さんは
ドラ滝沢手牌
ピンズの情報が少ない為、ピンズのロスが少なくし、ソーズはリャンメン受け入れを決めました。
次巡、魚谷さんは
ドラ魚谷手牌
ドラ引きでピンズのカンチャンだらけですがマンズリャンメンを決めて他家の攻めに備えます。
この同巡、内川さんが切ったを松本さんがチーして打
チードラ松本手牌
松本さんは役牌バック(後付け)、・ドラ、2000点ですが形的に苦しく、トップ目の親を流したい気持ちが現れています。
次巡、魚谷さんは
ドラ魚谷手牌
赤引きで高くなったものの、まだカンチャンの多い2シャンテンです。
同巡、松本さんは
チードラ松本手牌
ここから打。
こうしておくと他家リーチが入った後引きでも打としてでワンチャンスで外側切りもできます。
できるだけ安全に進めたい時に使える技です。
このを魚谷さんがチー。
チードラ魚谷手牌
赤からさらして少しでも高い手を警戒させたいようです。
もし12000点の仕掛けだったらと思うと他家が普段切れる牌を切れなくなってしまう効果もあります。
それによって他家がリーチしづらくなったり、危険牌を抱えてテンパイが遅れる事も。
実際、この手はタンヤオ・赤・ドラ5800点。
この同巡、、内川さんがテンパイ即リーチ。
ドラ内川手牌
これをツモれば3000−6000の一本場で、トップ目の魚谷さんと16000点差の内川さんはトップ目になれます。
この時点では内川さんに1枚、魚谷さんに1枚、松本さんに1枚で山には1枚だけです。
リーチの次巡、魚谷さんは現物切りで
チードラ魚谷手牌
この同巡、滝沢さんが4枚目でリーチ現物切り。
ここでこの巡目の捨牌を見てみると
魚谷捨牌
滝沢捨牌
内川捨牌
松本捨牌
ここでピンズの枚数に注目してみると、
が3枚切れ、が3枚切れ+ドラ表示牌の4枚見え、が4枚切れなのにドラだけが切られていません。
ドラ周りが3枚以上ずつ切られてメンツやターツではほぼ使えません。
ということはドラタンキ待ちやシャンポン待ちが考えられます。
次巡、魚谷さんはツモで現物になったばかりの打
チードラ魚谷手牌
そして次巡、魚谷さんはツモ打テンパイ。
チードラ魚谷手牌
その2巡後、内川さんがツモ切ったを松本さんがチー。
本来ならハイテイツモが松本さんで、チーすると下家の明らかに押している魚谷さんのツモへ。
トップ目の魚谷さんがリーチに放銃ならしてやったり。
チーチードラ松本手牌
その直後、魚谷さんのハイテイツモは・・・!
リーチに無スジです。
チードラ魚谷手牌
リーチの捨牌を見ると
内川捨牌
最初こそから切られているものの、そこからと切られているのは不自然です。
タンヤオや平和であれば↑の3〜7牌はほぼ必要牌です。
3〜7牌の切られ方に注目すると相手の手役やテンパイスピードがある程度測れます。
つまり内川さんはタンヤオや平和のようなメンツ手ではないのがわかります。
メンツ手ではない=その反対、対子手だと判断できます。
対子手=七対子か対々和のどちらかに絞れます。
対々和は2ハンで、役牌か赤、ドラ、混一色などがないと安い手のまま。
このリーチはほぼ七対子、ドラタンキ待ちか赤タンキ待ちと見ていいでしょう。
リーチの内川さんが18000点持ちラス目だからというのも理由です。
魚谷さんはをツモ切りして流局。
魚谷さん、内川さん、松本さん3人テンパイです。
チードラ魚谷手牌
内川手牌
チーチー松本手牌
リーチに無スジの牌でも押せるのは、ちゃんと相手手役がわかっていないとできない事です。
内川さんリーチの時点ではマンズはだけ、字牌もしか切られずマンズ混一色を考える方もいらっしゃるかもしれません。
魚谷 侑未は1985年11月2日生まれ、新潟県柏崎市出身。
2008年、麻雀を覚えて約1年でプロ試験に合格。
2009年、プロデビュー。
2011年、第六期女流桜花を初出場で優勝。
2012年、第七期女流桜花優勝。
2012年、女流モンド杯初制覇。
2013年、モンド王座杯初優勝。
2016年、モンド王座杯連覇。
2018年、A2リーグ昇格。
2018年、女流プロ麻雀日本シリーズ優勝。
2018年、Mリーグドラフト会議でセガサミーフェニックスから1位指名される。
2018年、日本オープン初優勝で男女混合タイトル初優勝。
2018年、王位戦優勝。
2020年、Mリーグ1シーズン役満2回など大活躍、MVPと最高打点賞の二冠に輝く。
2021年、入籍を発表。
2021年、女流モンド杯、モンド王座杯制覇。
2021年、新設タイトル第一回鸞和戦で優勝。
魚谷プロは女流プロの中では獲得したタイトル数も多く、それまで新人女流プロが口にする目標が二階堂亜樹プロばかりだったものが、魚谷プロに憧れて受験したという人が増えています。
趣味はアニメ鑑賞、ゲーム、乗馬。
最近は東城りおプロと一緒に開設した「りおみんちゃんねる」でも話題に。
雀風は最近、鳴く事が減っているが、名前に「魚」が含まれている事、鳴きを多用する打ち筋から「最速マーメイド」とも呼ばれる。
第六期第七期女流桜花優勝で二度も涙を流したり、プロ入り当初は嬉しいに関係なくよく泣いていたため、鳴きの多い雀風とかけて、泣き虫マーメイドと呼ばれていた。
2022年、近代麻雀で「泣き虫マーメイド」連載開始。
得意手役は「鳴き仕掛けでも満貫になりやすい」という理由から混一色。
SNSで時々衝突するのが見受けられますが、この辺りにもご本人の負けず嫌いっぷりが現れています。
他にも寿人さん相手に強気発言されている動画もあります。https://youtu.be/Tmvxg3PccPM
Mリーグ2018−2019のスコアは−249.1ポイント、2019−2020は+451.4ポイント、2020−2021は−179.3ポイント、2021−2022は−128.7ポイント。
これは魚谷さんと似たタイプの園田賢プロにも言える事ですが、鳴きを多用する=その度に手牌が短くなりリーチには対応しづらくなるデメリットが常につきまといます。
鳴いた状態からオリる牌を探すのは難しく、アガるにしても当たり牌を1枚も引かずにアガれる事の方が少ないものです。
これは私の個人的意見ですが、魚谷プロは他人より難易度の高い事に挑戦されている印象があります。
今回のまとめ
・最近は鳴きが減りつつあるが鳴きを多用する「最速マーメイド」
・優勝時などよく泣くことから近代麻雀で「泣き虫マーメイド」連載開始
・時折見せる、負けず嫌いっぷりも持ち味
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