借金生活２０００

今年もこの時期がやってきた。
年末が近づくとギャンブルをする人であれば有馬記念や競輪グランプリなどが頭をよぎるだろう。
競艇が好きな人であれば、もちろん賞金王決定戦の事が気になってしょうがないであろう。
実は私も一回だけ賞金王決定戦を当てた事がある。
今から２年前、私がちょうど西成を出ようかと思い始めた時の事でした。
西成の日雇いの仕事はクリスマス前から激減し、１月の８日、９日くらいまではほぼ全く無いに等しい。
それもあってか西成の宿も年末年始に関しては、先に10日分くらい払わなければいけないという変なルールが存在する。
私の住んでいたサンプラザという宿も、年末年始先払いだったので、とりあえず宿代を払ってしまい、残金は29000円である。
明日は賞金王決定戦に行くことは決めていたが、朝からは絶対にやめようと思っていた。
メインレースの前に買いたくなるようなレースを見つけて、負けて金が無くなることも無くは無いからである。
ギャンブルである以上熱くなった瞬間、気がついたら残り２、３千円などよくある話である。
しかし、賞金王決定戦の予想は難しい。その節のレースが少ないから、今一つ絶好調なのかたまたま前レース勝ったのかも見極めにくい。
私の買い方としては、６コースでない限り、その節絶好調な選手から買うことにしてる。
競輪、競馬みたいに強い者、技術のある者が競艇の場合勝つとは限らない。展開も相当重要であるが、それ以上にその節、モーター、ボートと完全に一体化し、抜群の整備で仕上げた絶好調男は普段の技術、勝率など関係無しに、その節では圧倒的強さを見せつける。
考えれば考えるほど荒れるのか、インが勝つのかわからなくなってきた。
ちなみに2014年は６コースから茅原が来て、超大荒れである。
とりあえず玉出に酒を買いに行くことにした。
チューハイ４本とスナック菓子３袋買い、ついでに魚のフライ３枚パックが128円だったので、大丈夫かなと思いつつ、冬なので買うことにした。
これで予想の準備は整った。最高の予想ができそうだ。
しかし、考えれば考えるほど迷う今年のレース。
その原因の一つが、去年６コースで勝った茅原がまた今年も６コースにいることである。
２年連続で１着はさすがに無いだろうが、２着、３着はあり得なくもない。
４コースの池田も気になるところである。昔ほどの実力はあるとは思ってないが、カドからの池田の差しは無視することはできない。
５コースの篠崎元も来ないだろうと思い、外して買ったら、うわ、来たよ。という記憶が何回かある。
しかし、やはり今年はインが勝つであろうと思う。
１号艇の山崎智也は2015年圧倒的な強さをみせていた。特に勝負どころのレースでは、勝った記憶しかない。野球より競艇の方がもし、人気があったなら神ってるという言葉は山崎智也の物だったであろう。それくらい神がかっていた。
頭は智也だろうと思いつつも２コース石野と３コース毒島も強烈である。
結局、今年は面白みも何もない、1‐2‐3。1‐3‐2。という固い予想になってしまった。
気付けば翌日の４時３０分になっていた。
やれやれ、全く競艇はどれだけ俺の事を熱くさせるんだと思いつつ、とりあえず寝ることにした。
目が覚めると１２時を回っていた。
とりあえず、まんぷくにカツカレーを買いに行き、体を立ち上げ心を落ち着かせた。
ふと、今から住之江競艇場に行って入れるのかという疑問が浮かんだ。こないだ、おっさんが整理券がどうのこうのと言ってたのも気になるし。
実際に賞金王決定戦を生で見たことはないのだが、テレビで見るといつも超満員である。
果たして第１ターンマークは見えるのだろうか？もし、見えないのであれば面白くもなんともないだろう。
迷ったが結局尼崎に行くことにした。
生では見れないが、超満員で見えなければ意味が無い。
尼崎も人でごった返していた。
さすが賞金王決定戦、普段見ないような顔ばっかである。
若く健全な顔がいっぱい見受けられる。今日だけは競艇場も健全な賭場であろう。
普段の定位置をキープできなかったおっさん達はうろうろと徘徊している。
さすが賞金王決定戦である。熱気が普段とまるで違う、チューハイを３本空けたら、サッカースタジアムと勘違いする人が出そうなほどの熱気である。
とりあえず締切直前に買えなくなるかもという心配から早めに舟券を買うことにした。
熱気に後押しされ一口１万円勝ってしまった。２口で二万円、負ければ寝正月である。
買う前にオッズを見て意外につくなと思い欲が出たせいもあったのだが。
とりあえずビールとおでんを買い、人のいないところに移動しようとしていたら、どよめきが起こった。
おっさん）茅原ボケ！
おっさん）石野入れさすなボケ！
おっさん）買うてもうたわ！茅原ボケ！
どうやら茅原がスタート展示でインに入ったようだが・・・
私も買ってしまったのである。競艇はこれがあるので侮れない。
もしかしたら、２年連続茅原の優勝の可能性さえ出てきた。
まさか、このメンバーでインに入るなんて思ってもみなかった。
もう買ってしまったものはしょうがない、本番ではコース通りにスタートすることもよくある話だ。
しかし、本番も茅原が２コースに入ってしまい、いざスタートである。
石野がスタート前から茅原に猛アタックしている。
たぶん山崎智也が勝ったなとは思ったが、石野も来なければ意味が無い。
第１ターンマークを回り山崎智也が先頭に立った。後ろはというと毒島も石野も残っている。
理想的な展開である。
次のターンマークを回り山崎智也の優勝はほぼ間違いない。
後続も石野と毒島がつけている。
これは決まったかもしれない。
胸が高鳴りはじめた。
次のターンマークを回り勝負はほぼ決した。
1‐3‐2か1‐2‐3であろう。
来た来た！ｷﾀ━(ﾟ∀ﾟ)━!
大声をあげたいのをグッと我慢し、久しぶりに羽振りのいい正月を頭にちらつかせながら、まだ決まってない油断するなと自分にいい聞かせる。
最終ターンマークを前にして前から１−３−２の順である。最終オッズは見てないが安くても15万にはなるだろう。
このまま決まってくれと思いつつ、ドキドキしながらレースを見守った。
そのまま勝負はきまり山崎智也の優勝となった。
やったぜ！やってやったぜ！
冷静を装いながら、買い間違えてないかちらっと舟券を見る。
間違いない。今年はいい正月が約束された瞬間である。
舟券を入れると小さな画面に20万いくらと表示された。そんなについたのかと一瞬びっくりした。
全く競艇はこれだからやめられない。
おし！
やったぜ！やってやったぜ！
帰りの空はそこまで天気はよくなかったが、どこまでも高く見えた。
何回も負けて競艇を恨んだこともあった。
でも今日は本当にありがとう。
なんかそんな気持ちでいっぱいになったのを今でもよく覚えている。
今年はどんなドラマが起こるのであろうか。
今から楽しみで仕方がない。

ある日聞き慣れない携帯音で目を覚ます。
まだ全然起きる時間ではないというのにやたらうるさいし、やたらと長い。
いったいなんだというのだ。着信音もアラームも変えた覚えもないし。少し気になり携帯を見てみると。
北朝鮮からミサイルが発射されました。と書いてある。
今までいろんな言葉を投げかけられたが、こんなショックな言葉は初めてである。
完全に動揺しながらも、とりあえずテレビをつけてみたら完全に画面が固まって、頑丈な建物か頑丈な地下に避難してくださいと書いてある。
しかも、北海道も危険な地域に入っている。
一体何が飛んでくるというのだ？
地下といえば地下鉄の駅があるが、ここから近くはない。頑丈な建物とは一体なんなのだ。
近くのパチンコ店しか思い浮かばなかったが、まだ営業している時間ではない。
完全にパニックになりなぜか外に出て、どうしていいかわからずただ空を見上げていた。
すると近くで携帯を見ていた人がミサイル通過したんだってと話すのが聞こえてきた。
私）ミサイル通過したんですか？
女の人）なんかそうらしいですね。びっくりしますよね。
私）もう大丈夫って事なんですかね？
女の人）たぶん・・・
私）ありがとうございます。
とりあえず家に戻ることにして、テレビを見てみると、画面は戻っていてミサイルの事についてバタバタと報道していた。
今のところ大丈夫なようである。
少し安心したが、膝が震えていた。本当にびっくりしたのである。
それからというもの北朝鮮の事が気になって仕方がなくなってしまった。
働いていても家に帰っても常に不安な気持ちがどこかにある。
生まれてからずっと平和な国で育った私はそのストレスに打ち勝つような強い心は持ち合わせていないのである。
９月になりまた北朝鮮がミサイルを打ってきた。もういいかげんにしてほしいのである。
夜寝るのも、朝起きるのも、なぜかなんとなく落ち着かない気分である。
大阪から北海道に引っ越した私には友達などほぼいないに等しかった。
こんな時飲みにでも行ってアホな話しでも出来れば、どれだけ助かるだろうか。
昔の友達に電話してみても、どうしたのという反応で飲みに行こうなどという気もなくなってしまった。まあその前にだいたい電話に出もしないのだが(笑)
そんな中やっと私の無駄話に付き合ってくれる人を見つける事ができた。
Rさん）おう、たー坊か久しぶりだな。子供風呂に入れたら行ってやるから、学園前で待っとけ。
Rさんは同じ高校で幼なじみだが、スポーツ万能で大学も出て、ずっと同じ会社で勤めあげている。私とは真逆だが、なぜか未だに仲がいいのは不思議な物である。
寂しがり屋な私はそそくさと学園前に向かうことにした。
居酒屋で友人と会い酒を飲んでいるうちに、すっかりといつもの日常を取り戻していた。
私達も周りの人も北朝鮮の話しなどしていない。いつもの平和な居酒屋である。
そんな時思い出したようにミサイルの話しをしてみた。
私）最近ミサイルが怖くてしょうがないんだよね。
Rさん）ああ、ミサイルね。俺らが気にしてもしょうがないでしょ。どうにか出来るなら考えるけど、俺らにはどうにも出来ないからさ。
まあ確かにその通りである。私達があたふたしてみても、結局それを阻止できるのは政治家だけである。
そもそも政治に無関心な私など、誰が日本を良くしてくれるのかさえわかっていない。
何も出来ないのであれば私の様な人間が、政治に感心を持ち、良い日本を強い日本を誰が一体してくれるのかをまず知るべきである。
でもそういった情報もあまりにわかりにくく、そして少ないのではないかと思う。
こんなに物騒になった今、私達も日本も何か変わらなければいけないのだと思う。
ただ、どうすれば日本が良くなるのかネットで調べてもさっぱりわからない。
池上彰が知っているのなら、ぜひ教えてほしいところである。
Rさん）今日は奢ってやるわ。明日から仕事頑張れや。
なぜか飲み代まで奢ってもらい、お酒のせいか不安やストレスもすっかり忘れていた。
夜空を見上げるときれいである。
しばらくミサイルなど飛んでこないだろう。
なんかそんな気がした。

パチンコ依存性の人はなぜ全くと言っていいほど勝てなくなったパチンコに未だ通い続け、生活できなくなるくらいの大金を使い果たすのか？全く困ったものである。
私は根っからの競艇派なのだが、どんなに自信があるレースでも有り金全て使ってやろうとは思わない。
家賃も払わなければいけないし、食費、ケータイ代など生活するには生きていくには必ずお金が必要だからである。
負けた時のリスクは考えなければいけない。
例えば競馬で強かったディープインパクトみたいな絶対的信頼感がある馬でも給料全て突っ込む強者はなかなかいないだろう。
しかし、絶対的不信感しかないパチンコには給料全て突っ込む強者が後を絶えない。すぐに勝負が決まるわけではなく、ずるずると飲まれていくという違いはあるが、全く恐ろしい物である。
なぜ使えるお金全て使ってしまうのか？
パチンコはいつ当たるかわからない。
当たっても少しの出玉で終わることもある。
負け額が大きくなれば自分の意思でやめることなどできない。
基本この事を理解しようとしないからなのであろう。
つまらない演出やノーマルリーチを何十回、何百回見させられようと、せっかく当てたのに400発くらいの出玉で終わろうとも、1500くらいハマり怒りの頂点に達しようとも、それでもまだ打つのだ。
パチンコ依存患者は決してパチンコをやめる事はできない。
そんな記憶よりも滅多に来ない強保留、激アツ演出、そして大爆発、大爆連。そんなイメージしか頭にないのである。
あなたパチンコ依存性ですよ、騙されてますよと言っても聞く耳も持たないだろう。
本人からしてみればただ遊んでるうちに大金を失ったくらいの感覚なのであろう。
楽しい時間？を過ごすかわりに絶望的な大金と信用を失い、絶望的なストレスを抱え込まなければならない。
パチンコ依存性に負けるリスクなど考える事はできない。
負けた時に初めてその絶望的なリスクを実感する。

パチンコで人生を破滅的貧乏生活まで追い込まれた人達の事は、驚くほど世の中には知れ渡っていない。そして、その貧乏生活をしている人達もパチンコが原因だとは決して言いたがらない。だいたい事業で失敗して、家庭の事情で、誰かに騙されてなど他のありもしない事を借金の理由にし、決してパチンコにのめり込んで借金をしたとは言わないのである。
それはパチンコで借金を作ることは、一般常識から考えて人としての超烙印だからであろう。
あまりにも世の中に知られていないが、その数は想像をはるかに上回るだろう。
同じ職場にもその途方もない苦労をし、未だその途中経過である人は数えきれない程いるだろう。ただ、心を押し殺し平然を装っているからわからないだけである。全くいつからこんな時代になったのであろうか、仕事場などお金の為だけに行きストレスを溜め込むだけの毎日である。
最近のパチンコ台など勝てる気配など全くない。大爆発の可能性ありみたいな事を煽るだけ煽るが、実際打ってみたら1万枚、5万発など一ヶ月に一回も目の当たりにする事はないだろう。果たして一年に一回くらいもあるのだろうかというレベルである。
10年前の台なら波に乗れば1万枚などあっさり出てしまうほどの本当の爆裂台であった。
今の台は爆裂台を装った、ただの小当たり台である。爆裂台装う小当たり台が主流になった今、負けたお金を取り返すなんて到底ムリである。
煽られて煽られて、騙されて騙されて、あっという間に10万、20万の大金など消え失せるだろう。
生活をするのに必要なお金を失った人達はそれを打開するべく手段を取らなければいけない。負けて全て失ったらもうそうするしかないのである。
どこかからお金を借りれる人はまだなんとかなるだろう。それ以外の人は何らかの契約をして、そのキャッシュバックでお金を得たり、何らかのローンで買い物ができる人はそれを売り払ったり。金を作る手段の無い人は月払いの仕事を辞めて、日払い生活に転落する人もいるだろう。
食費などわずかなお金の為にそんな事までしなければいけないのである。
さらにさらに生活を追い込む行為である。そこまで行き着くと、その借金生活は1年、2年と長く続くものになるだろう。
その過程で心身疲れ果て自己破産や自殺に行き着いた人も数えきれないだろう。
その苦労と苦痛は計り知れない。

普段パチンコしか休日の過ごし方を知らないパチンコ依存患者の人達は、パチンコ業界が無くなったら一体どうなってしまうのか？
最大の趣味を見失い、毎日無気力で退屈な日々を過ごすのか？パチンコに使ってた一ヶ月10万もの大金を他の事へ捨てるように使ってしまうのか？
きっとそうではない。
パチンコという存在が無くなれば、今まで異常な生活を送ってきたことにやっと気付く事ができるだろう。
何百万、何千万という大金を失い、人生を成功させるために使うべき時間を無駄づかいしてきたのである。
もし、10年前にパチンコが無くなっていたなら。
貯金など一切無く、将来への見通しも見えず、生活する金にさえ困り、あげくの果てに借金までして、その借金さえ払える見通しさえ立たない。
きっとそんな自分は今現在ここにいなかったのではないか？
パチンコに注ぎこんだ情熱と大金を他の事に使ったのではないか？
普通に生活していれば、ある程度の貯金もできたであろう。
それが500万なのか1000万なのかはわからないが、社会人として苦しい毎日を過ごしている人達にとって、目に見える結果、安心感、そして自信である。
何年間もパチンコに大金を使い続けてきた人達に貯金などあるはずもない。
あるのは借金と惨めな生活だけである。
現代社会において最強の娯楽であり、最強の依存性を持つパチンコは人々の心を完全に支配する。
パチンコ無くなってくれと心の底から願いながら、次の日にはパチンコ店に行ってしまうのだ。パチンコ依存性など自分の意思で治せるほど甘くはないのだ。
もし、10年前にパチンコが無くなっていたなら、私もあなたも別の人生を歩んでいたに違いない。

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パチンコをやめたら何をすればいい？そう思っている人は意外と多いのではないだろうか。
この進化し続ける現代社会ならパチンコに代わる物などいくらでもあるだろう。もっと優れててお金のかからない物だって探せばいくらでもあるはずだ。
依存症であるがゆえ、パチンコ以外の物に興味が持てないだけなのである。激しい告知音と激アツ演出で完全に体の中にパチンコを叩き込まれたのである。
車もパソコンもケータイもどんどん進化している。パチンコ台ももちろんである。液晶やゲーム性はもちろんだが肝心なのはそこではない。どうやったらわざわざ家からパチンコ店に金を使いに来させるか、人の心理を十分すぎるほど理解した研究者が依存性のより高い台を進化させ続けている。
そんなパチンコ台を何日も何ヵ月も何年も打った人がある日突然パチンコをやめるのは難しいだろう。これだけ異常なくらい回らなくなり当たらなくなり勝てなくなったにも関わらずそれでもパチンコ店に行ってしまうのだ。
パチンコをやめたら無気力な退屈な毎日が待っている。本当にそうなのか？
もし、５年前くらいに大幅な規制が入りパチンコが無くなっていたら、少なくとも3、400万円の金は使わずに済んだだろう。
もしかしたら、全く違う人生を歩んでいたのかもしれない。
仕事が一番の趣味となり没頭し、自分で会社を出すくらいの実力がついたのかもしれない。
パソコンやゲームに没頭し、それが高じてその道のスペシャリストになっていたのかもしれない。
時間をもて余し、しょうがなく始めた資格の勉強がいつの間にか実力をつけ出して本当に一生物の資格が取れたのかもしれない。
パチンコを辞め人間性が良くなり、素敵な出会いがあり人生の幸せの真っ最中だったのかもしれない。
一方何年もパチンコをやってきた私達はパチンコのスペシャリストである。得た物が何かあっただろうか？完全に堕落して失った物ばかりである。
なんかばからしくなって虚しくなってしまう始末である。

一ヶ月に83000円払ってください。もし、そんな事を言われたらなかなか払える人は少ないだろう。しかし、皆どうにかこうにかやりくりしてそんな大金を払い続けているのだ。
そう、何の事かというとパチンコ依存患者の事である。年間20兆円の売上を対象者1000万人で割ると一人あたり年間200万円。仮にパチンコ店が客に半分還元してたとしても、一人あたり一ヶ月83000円という計算になる。今ならもっとであろう。
パチンコ、パチスロ台と向き合い金を賭け強烈な勝ち、強烈な負けを経験した時から何をするにしても常に頭の中をつきまとう存在になる。
パチンコの演出は胃を震わせ強烈なインパクトを体に叩き込む。慶次なら赤保留がきてキセルがきて信頼度激高リーチへといったとこだろう。そして、激しい効果音と共に超大当りである。
こんな気分のいい瞬間はパチンコ以外で味わえる物ではない。まるでワールドカップでゴールを決めたスーパースターのような心境を味わえる。
別に10万円、20万円出る訳でもないのに、台の極限の演出で2、3万円出るかもわかんないような大当りを超大当りと思っているだけなのである。
結局は使える金全て使い果たし心は折れ無惨にパチンコ店を後にするのである。超大当りを引いたところで1000万円くらい勝ってもう働かなくていい訳ではないのである。
そして、疲れきった体と心でまた来月までタダ働きである。
一度焼き付いたパチンコの残像を振り払うのは大変である。
これは絶対当たるだろうという激アツ演出を外したり、せっかく当てた確変が単発で終了したり、爆連で積み上げた5、6万円あるであろう出玉を一気に飲まれたり。
寝ても覚めても頭にくる。仕事に集中できる訳もない。
くっそーパチンコめこんなひどい目にあわせやがって、パチンコが気になって気になって腹が立ってしょうがない。あと残りの一万円だけやってこないだの負けを取り返さないと気が済まない。などと頭の中にパチンコイメージシステムがインプットされてしまうともうアウトプットはできない。
辛い思いをして働いてはひたすらパチンコ店に金を入れ続けるパチンコ年間20兆円を支える一人となるのだ。
そんなパチンコ依存が完全に叩き込まれた体ではパチンコを忘れ去るのは難しいであろう。
ただ大金を毎月払い続けている事を忘れてはいけない。その重大な意味に気付きパチンコから半年、一年間離れることが出来たなら、きっとその時人生の新しいスタートラインが見えているはずである。

最近パチンコ屋の解体現場が確実に増えている。つい一週間前も奈良のパチンコ屋の解体だったばかりである。今日の現場はまだ台など設置されたままでパチンコ屋としての原形は留めてある。これは壊しがいがありそうである。
木の枠をバールで外してパチスロ台を引っこ抜き、外のスクラップ置き場へと持っていく。ハーデスとかバジリスクなどまだ他では使ってる機種もいっぱいある。話によれば全て廃棄との事なのだが中古屋とかに売れば結構いい値がつくのでは？などと不思議に思ったりした。
そんな中気になる台を発見した。サラリーマン番長である。全く出ないくせに金だけ突っ込ませる超極悪台である。昔番長ファンだった私はサラリーマン番長が新台で入った時ひどい目にあわされ期待を裏切られたのを忘れてはいなかった。
サラリーマン番長をスクラップ置き場に持っていき、転がってた秘宝伝に思いっきりぶつけてみた。
ゴチーン！
パチスロ台は意外にじょうぶである。ヒビは入ったが壊れはしなかった。なんだか物足りなくて近くにあった大ハンマーでもう一回叩いた。
ゴシャーン！
おお！やった！台は割れ中のリールも破壊した。ちょうどBAR弁当BARのところが真っ二つになっている。こうやって見ると只のプラスチックとシールである。よくこんな物にみんな大金を使ってきたものだ。
テンションが上がってきてもう３発おみまいすることにした。
ゴチーン！ゴシャーン！ゴチーン！
下のパネルとボタンの部分を破壊して、黒いプラスチックのボックスが出てきた。メダルを補給するための箱であろう。
完全にサラリーマン番長を破壊してやった。今まで何百万、何千万回収したが知らないがこれでもう稼働することはない一安心である。
Mさん）たー坊、何してんねん。
私）あっ、暑かったんでちょっと憂さ晴らしを。
Mさん）おまえそういうタイプの人間ちゃうやろ。誰かに何か言われたんか？
私）いやー違います。なんか壊してみたくなって。
Mさん）なら、ええけど。業者もリサイクルするかもしれんし、雑品で出すかもしれんしな、できるだけ壊すなよ。後から掃除するのも大変やろ。
私）そうなんですか、わかりました。
実はパチンコ屋への恨みを晴らしていたのだが、フフフそれは私の中だけの秘密にしておこう。
このパチンコ屋は全解体なのでさら地になったらまた見に来よう。こうやってパチンコ屋が１つずつ消えてくのであろう。
話は変わるが、つい最近パチンコ業界に新たな規制がかかる事となった。
その内容は４時間で５万円以上勝てる台は認められないとの事である。スロットではビッグボーナスの出玉が最大300枚まで。パチンコは大当たり最大1500発まで。
これまたかなり強烈な規制の内容である。パチスロではパチンコ店の主力ジャグラーも姿を消すことになるのだろうか？
まあ警察もここまで規制に次ぐ規制をかけるということは、一般市民からかなりの数の不満やクレームが上がっているのであろう。
まあ、それも仕方ない。最近のパチンコ店の営業スタイルには誰もが不満を持っているだろう。
私も何年か前まではもっと良心的な営業をしろだとか、もっと爆発する台を出せなどと思っていたが、今ではいっそのこと無くなってしまった方がいいと思っている。
パチンコ店は露骨な営業スタイルで完全に客の信頼を失ってしまったのである。
いつまでもそんなパチンコ店に通い続けるほど私達もバカではない。

いまだにパチンコ中心の生活を行っている人はまだまだ何百万人といるだろう。
コンビニ業界の総売上が10兆にも満たないのに、未だにパチンコ業界は20兆以上というとんでもない売上をキープし続けている。
ちなみに20兆と言ってもピンとくる人は少ないだろうが、全国約10000店舗あるパチンコ店を20兆で割ると、１店舗あたり年間20億の売上。20億を365日で割ると、１店舗あたり１日548万円の売上ということになる。
もちろん私達がつぎこんでつぎこんでつぎこみすぎたお金である。普通に働いてる人ではとてもじゃないが遊べるレベルではない。月収100万の人なら毎日通ってもいくらか金は残るだろうが。働いてないで少ない貯金を切り崩している人なら即破産レベルである。
一方コンビニ業界はというと全国約60000店舗あるので、それを10億で割ると１店舗あたり年間約１億6700万円。それを365日で割ると１店舗あたり１日約458000円。
それでもたいした物である、１日にそんなに売り上げているのかと関心したくなるぐらいである。ただ、パチンコ店と違うのは24時間営業という事と、ギャンブルをしない人、女性、子供などほぼ全ての人が対象となる事である。
一方パチンコ店は１日約12時間営業で約1000万人といわれる対象者から、１日548万円の売上を叩き出しているのである。
10000店あるので１店舗あたり対象となるのはわずか1000人である。まさか毎日全員通ってるわけではないし、仕事の人もいるし、用事がある人だっているだろう。
どうやったらそんな異常な額を売り上げるのだろうか？平気で５万、10万突っ込む人生を捨てパチンコだけに生きる人間がまだゴロゴロしてるという事である。
なぜ、せっかく大変な思いをして稼いだ大金を惜しみもなくパチンコ店につぎこむのか？
パチンコ店はそんな客を大事にしようともせず、さらにさらに激辛営業を行っているというのに。
昔はイベントや勝てる日というのが存在した。今ではグランドオープンだろうが、18時開店だろうが、期待して行ってもこんな程度かやっぱり来なければよかったで終わってしまう。
パチンコに人生の全てを捧げている人はもはやパチンコを愛していない。むしろ憎いくらいであろう。
毎日金を賭ける行為をしなければ気がすまないのか、パチンコ以外の物は興味すらわかないくらい依存してしまったのか？
それはもう本人にしかわからないが、毎月極貧な生活をしてまで、仕事に影響が出るほどストレスを溜め込んでまで、それでもパチンコがしたいんだという異常な執着心はいまだにパチンコ狂の心の中から消えることはないだろう。
あまりに気軽に入れる憩いの空間は、実はそうではなく気づけば生活が成り立たなくなるほど金を吸い込む悪の城であるということをいまだに理解してないだけなのかもしれない。