小さい引越し会社の社長の日常

この商売を長年してると、色んな人の人生模様が見えてしまいます。私が今でも忘れない現場の話をしたいと思います。長い話なので興味の無い方は飛ばしてね　

まだ3年くらいしか経ってないのかな。。都内からうちの地元の横浜栄区までの引越しの見積もりの電話がありました。掛けてきたのは中年の男性で「娘の引越しをお願いしたいのですが。。近所の業者さんなので。。」というお電話でした。料金も折り合い私の会社で承りました。一人暮らしの娘さんが実家に戻るという内容ですね。
　　
引越し当日「今日はよろしくお願いします」と想像どおりの優しそうなお父様とお母様がご丁寧なご挨拶をしてくれました。荷物は予定より多くて何とかトラックに積めるかなって感じでした。お客様とにこやかに雑談をしながら作業してましたが、肝心の娘さんの姿が見えない。。きっと学校か仕事かなって思ってました。ご本人が立ち合えず親御さんがってパターンは多いのでさほど気にもしていませんでしたが、なぜかお母様の様子が少しだけおかしい。。顔が少しこわばってる。。お父様は、せかせかと動いて「女の子だから荷物が多くて。。」などいいながら手伝って頂きました。。

無事積み終わり最後の最後に自転車が。。無理やり何とか積み引越し先の自宅へと向かいました。ご両親もおって向かうとの事　「向こうには人がいるので先に着いたら荷物を降ろしておいて下さい。すごく部屋が狭いのですが。。」　到着すると男性が待ってました。やはりお客様である娘さんは居ませんでした　　では失礼しますと部屋の中へ。。マンションでしたが荷物が廊下のあちらこちらに置いてありました。。奥の居間へ入った時、そこで初めて私は理解しました。。そこには娘さんの遺影とお骨がありました。お葬式から何日もたってないのが分かりました。。私は黙々と荷物の搬入を終え、最後に私はお母様に「お客様ではありますが、ぜひご焼香をさせていただければ。。」とお願いをいたしましたら、すごく喜んで「良かったね〜　お兄さんがお線香あげてくれるって」
と遺影の娘さんに話掛けてました。それからスタッフ全員でご挨拶をして帰りました。

どんな思いでご両親が娘さんの遺品を段ボールに詰めてたかと思うと今でも胸が苦しくなるのです。お母様のお顔がこわばってた事、お父様が一生懸命に手伝ってくれた事　どんなにつらいのかと想像の範囲ですら胸が痛みました　長くなりましたが、今でも忘れられない現場の話でした。。。

今日はきれいなお花をアップします。ボンザマーガレットのピンクです