胸を張り、
背筋を伸ばし、
姿勢を正しましょう。
なぜなら、
からだの構えは、
事に当たる態度に影響を及ぼすからです。
これに関して、
『人生を照らす禅の言葉』(著者 横田南嶺 致知出版社)
の中に、こう書いてあります。
「禅語を読むには、
まず姿勢を正しくして読むことをお勧めします。
それから、
声に出して読むこともいいでしょう。
ただ、
頭で解釈しようとするだけでなく、
体で読むことが大事です。
それには、
まず第一に腰骨を立てることです。
私は初めて坐禅をなさる人たちには、
まず、
『腰骨を立てましょう』
と申し上げています。
円覚寺では毎月の法話も必ず
『まず腰骨を立てましょう』
の一声で始めています。
生涯を教育にささげた哲学者でもある、
森信三先生は、
『もししっかりした人間になろうと思ったら、
まず二六時中腰骨をシャンと立てることです。
心というものは目に見えないから、
まず見える体の上で押さえてかからねばならぬのです』
とお教えくださっています。
また
『常に腰骨をシャンと立てること、
これ性根の入った人間になる極秘伝なり』
『腰骨を立てることはエネルギーの不尽の源泉を貯えることである。
この一事を我が子にしつけ得たら、
親として我が子への最大の贈り物といってよい』
とも仰せです。
腰骨を立てることを端的に『立腰』とも申します。
立腰の要領は、
次の三つなのです。
第一、
まず尻をウンと後ろに引き、
第二に腰骨の中心を前へウンと突き出し、
第三に軽くあごを引いて下腹にやや力を収めるのです。
また腰骨を立てているとどんな良いことがあるかというと、
立腰功徳して、
一、やる気がおこる、
二、集中力が出る、
三、持続力がつく、
四、頭脳がさえる、
五、勉強が楽しくなるなど、
いいこと尽くめなのです。
腰骨をシャンと立てて、
下腹(丹田)に気力を込めて、
ゆっくりと息をします。
それでこころが落ち着いてきます。
こころが落ち着いてこそ、
初めてありのままの様子が見えてきます。
それが智慧です。
坐禅をするのは、
ただ無心になって何も感じないのではありません。
正しい智慧を生み出すのです。
私を勘定に入れないで冷静な判断ができることが智慧です。
よく考え事をしているときの姿勢を思い浮かべてみると如何でしょうか、
腰が曲がって背中を丸めて、
アゴに手を当てて『思案投げ首』になっているのではないでしょうか。
姿勢が悪くなるとバランスが悪くなりますので、
かえって余計な力が必要になって、
疲れやすくなってしまうのです。
そうなるとさらに集中力が低下してイライラしたりします。
たまに電車に乗ると、
お若い方がイスに浅く腰掛けて、
背中を丸めて携帯電話を操作するのに夢中になっているのをよく見かけます。
ああいう姿勢では、
かえってあちこち体が凝ってしまいます。
正しく坐って背筋を伸ばしている方が本当は楽なのです。
長時間坐ることができるのです。
古来
『坐禅は安楽の法門なり』
と言われるゆえんでもあります。
普段はどうしても頭を使うことが多いと思います。
考える事は大事なことでありますが、
考えすぎはよくありません。
頭に上った血を下げるには、
お腹に力を込めることが有効です。
古来東洋では、
下腹を元気の源として『丹田』と称しました。
白隠禅師は、
お若い頃にあまりに激しい修行のために心身を損なってしまい、
丹田に気力を込める呼吸で健康を取り戻されました。
その経験から、
坐禅をする時に丹田に気力を込めてゆっくり息を吐くことの大切さを説かれました。
坐禅というとただ手を組み足を組んで、
足の痛さに耐えるだけを思うかも知れませんが、
大事なことは腰骨を立てる、
丹田に力を込める、
長い息をすることの三つだと、
私は申し上げています。
腰骨を立ててゆっくり呼吸していると、
自ずと微笑むような、
仏像のような表情になってきます。
それは本来持って生まれた仏心が表れてきている証拠です。
穏やかなこころになってこそ、
現実をありのままに受け入れて耐えることもできますし、
もののいのちを大切にするようにもなりますし、
お世話になった恩返しに施しもできるようになってきます。
新入社員の方などには、
イライラしたり、
カッとなってはろくな判断はできない、
まず腰骨を立てて、
お腹に力を込めてゆっくり息を吐いてから、
考えましょうと説いています。
きっとよい智慧が浮かびます。
そしてニッコリ微笑むようになれば、
めいめい持って生まれた、
すばらしい仏心が慈悲のこころとしてはたらいてくるはずです。
禅語を読むにも、
まず腰骨を立てましょう。
そうして、
声に出して読んでみることをおすすめします。
何か体で感じるものがあるはずです。」(11頁〜15頁)
胸を張り、
背筋を伸ばし、
姿勢を正せば、
気持ちが前向きになり、
さらにストレスが減少します。
建設的・発展的・創造的に、
物事を考えられるようになります。
深呼吸をすれば、
さらに心身に好影響を与えます。
@ 腰骨を立てる
A 丹田に力を込める
B 長い息をする
を実践しましょう。
(推薦図書)
『人生を照らす禅の言葉』
(著者 横田南嶺 致知出版社)
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