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宝の在処

テルさんの後を追う様に

防空壕を後にした

『どこに行くんだよ!!』

私の問いかけに

『城壁跡だっ!!』

足早に私の先を行くテルさんが答えた

城壁跡になにかがある

いったいさっきの宝の地図には何が書かれていたんだろう?

今はただ先を行くテルさんを追う事しか出来ない

城山の頂上にほど近い城壁跡に二人がついたのは

夕暮れ近くだった

立ち止りテルさんがつぶやく

『鬼の角城壁より沈みし場所より

三っ島の中心に納めし候事

書き留めるもの也』

そして周りを見渡し始めた

『あれか!!』

何かに導かれるようにテルさんは歩きだした

大きな岩の前に立ち止まり

岩の上を見上げて叫んだ

『間違えねぇこれだ!!』

その大岩は天に向かって尖っている

『こいつが鬼の正体よ』

興奮気味にテルさんが言った

夕日が岩の上部に当たり

敷石の大きいものが並ぶ所へと

まるで大岩の影が導かれるように

伸びてゆく

『三っの島があれだ』

いっかくにある敷石が調度三角の形に並び

その中心に大岩の影先が止まった・・・・・

『ここを掘るんだ!!』

テルさんがその場所を掘り出した

『ちっ、手じゃらちがあかねぇ』

『なんか掘るもんを探すんだ』

と私に言うと自分も近辺を探し始めた




心が疲れたら

執念

いままで亡き母親を思い出し

涙していたと思っていた男が

実は探し物を見つけ出したことを喜び歓喜していたのだと

分かった瞬間テルさんの人となりが見えたような気がした

やはり世捨て人のホームレスの成り果てる人というのは

身勝手な人なんだとつくずく思いながらテルさんを見た

『なんだ、なんか言いたそうだな』

『いや・・・・・』

私は言葉をにごした

『これでお宝が見つけられるんだぞ』

『そう・・・・』

もう宝なんてどうでもいいんだよ

心の中でそうつぶやいていた

『な〜んだあんまりうれしそうじゃないな?』

『いや・・・・』

まいいと言った感じで宝の地図を広げた

しばし考え込んでから

『そうか!!』

『分かったぞ!!』

そう言ってテルさんは、そそくさと出口に向かい歩き始めた

私はやれやれと言う感じで後を追った

心が疲れたら

あきれた

テルさんの過去を聞いてしんみりとしていた

『あった〜』

突然テルさんが大声を張り上げる

少しびっくりして私はテルさんを見た

『これだよ、これ』

そう言うと私にボロキレを差し出した

『何これ?』

『よく見てみろ』

私は言われるままにボロキレを凝視した

『?』

『なんか書いてある?』

『それを探していたんだよ』

ちょつと興奮気味にテルさんは言う

『宝だ!』

『お宝だよ!!』

その言葉に私は一瞬我を忘れた・・・・

『お宝って……』

先ほどの神妙さは、もう微塵もないテルさんに少し戸惑いつつも

『探し物ってお母さんの遺品じゃなかったの?』

テルさんは自信満々に

『当たり前だろ、最初からお宝を探しに来たんじゃないか』

その言葉の私はあきれてしまった・・・・・

心が疲れたら

形見

お母さんの形見を手にしたテルさんの肩が

小刻みに揺れていた・・・・・・

お母さんの事を思い出していたのだろう

暫くの沈黙の後

テルさんの口がひらいた

『これは、俺がまだ3つか4つの時にお袋が俺にくれたお守り袋』

『もう色も分からない位ボロボロだけど』

『見てすぐにわかったよ』

そう言うとテルさんの目から涙がこぼれた

『どうしてこんな所にお守りがあるんだい』

と、私が聞くと

『このあたりは戦時中空襲にあって一面焼け野原になったんだ』

『当時の俺は、まだ小さくて何が起きたかはわからなかったが』

『あの時お袋が俺をここに入れてくれて』

『その時にこのお守りを笑顔で手渡してくれた…』

そう言うと考え深げに顔をしかめた

『じゃあお母さんはその時に?』

『あぁ、まだ若けぇのによ』

『そう・・・・・・』

なんかしんみりとした話しになって私は言葉が出てこなくなっていた

心が疲れたら
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プロフィール

kee
人生一度だから楽しみたい
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