チャンピオンズリーグ(CL)の決勝トーナメント1回戦の組み合わせ抽選が17日に行われ、フランス勢は、マルセイユがマンチェスター・ユナイテッド(イングランド、以下マンU)と、リヨンがレアル・マドリー(スペイン)と対戦という、非常に厳しいくじを引き当てた。
共に2位でグループを通過したマルセイユとリヨンだけに、強豪との対戦は予見されていたが、当たったのはその中でもとりわけ厳しい相手。それでもマルセイユ会長のダシエ氏は、選手や監督が「バルセロナは避けたい」と公言していたことを暗に指し、「もっと悪い抽選もあり得た」と話した。マルセイユのディディエ・デシャン監督は「マンUは、大会開始時点で優勝を目標にしているチームの一角だ。非常に経験豊富で、ビッグ・マッチに慣れており、頻繁にベスト4以上に食い込んでいる。こんなチーム相手にラウンド突破できたらまさに偉業だ」と言葉を選んでコメント。その上で、「しかし、たとえ(勝つ可能性が)非常に小さかろうが、チャンスがある限り、われわれは全力で戦う」と決意を見せた。
昨年までグループラウンドで終わっていただけに、選手は新しいステージでのビッグクラブとの対決に興奮も見せる。マルセイユのGKマンダンダは「ビッグな名門チームだ。われわれはこのような試合をプレーする喜びのためにサッカー選手をやっている。だからこそ、僕はマンUと対戦できることをうれしく思っているんだ」と意欲を強調。「(マンUは)優勝する戦力を持ったチームだから、僕らが勝ち上がれたら大殊勲だ。彼らにとって、決勝トーナメントの一回戦など、単なるワンステップにすぎないんだからね」と言い添えた。
また、マンUのアレックス・ファーガソン監督は、余裕を見せつつも「ホームでのマルセイユは手に余る相手だ。(マルセイユのホームスタジアムでの)素晴らしい雰囲気と、熱いサポートは保証されている。彼らは不毛の時期の後、ここ数年、流れを変え、良い気流に乗っている。厳しい試合になると思うよ。元わがチームの選手だったエインセもいる。彼に会えるのはうれしいね」と話した。
一方、いまや決勝トーナメント進出にも慣れ、できるだけ先まで勝ち進むことを目指していたリヨン陣営の反応は、より複雑だった。昨季もレアル・マドリーを引き当て、勝利を収めて周囲を驚かしたリヨンだが、オラス会長は、「非常に厳しい試合となるだろう。レアル・マドリーは昨季の敗北をかき消したいと思っているだろうからね。レアル・マドリーのようなチームを2年連続で破るというのは、一筋縄ではいかないことだ」と強い懸念を見せる。しかし同時に「レアル・マドリーは去年と同じではないし、冬の移籍市場で強化するかもしれない。しかしリヨンだって同じじゃない。われわれは昨年、準決勝を経験したし、より勝ち上がることを目指し、おおいに投資もした」と語り、戦う前に気持ちで負けてはいないところを示して見せた。
リヨンDFのクリスは「レアル・マドリーと対戦するときには、僕らはいいプレーをする傾向がある。これはポジティブな点だ」としながらも、「ジョゼ・モリーニョはビッグマッチへの取り組み方を心得ている、経験豊富な監督だ。昨季のレアル・マドリーは、われわれを見下していた。しかし今回はそういうことはないだろう」と、昨季にはいなかったモリーニョ監督の存在に、特別な警戒心を見せる。
また、レアル・マドリーの幹部の1人、エミリオ・ブトラゲーニョ氏も「リヨンとの対戦はうれしくないが、モリーニョが戦略面で違いを生んでくれるよう祈っている」と語り、名将の存在を追加的武器と考えているところをほのめかした。
最後に、リヨンのクロード・ピュエル監督は、過去のレアル・マドリーに対する勝利は眼中にない様子で、「そういう統計にはあまり興味はない。新しい監督、新しい選手をいただくチームとの、新しい状況で行われる試合だ。この対戦の本命はレアル・マドリーだよ、幸運なことにね。でも昨季もそうだった。われわれは再び偉業をやってのけなければならない」と話し、秘めた闘志を垣間見せた。