イタリア・セリエA第12節の8試合が14日に行われ、インテル・ミラノがACミランに0―1で敗れた。今季初出場したDFマルコ・マテラッツィ(37)が開始4分に相手FWズラタン・イブラヒモビッチ(29)を倒してPKで失点。これが決勝点となり、首位ミランとの勝ち点差は6に拡大。今季から就任したラファエル・ベニテス監督(50)が試練を迎えた。
ホームチームとして迎えた伝統のダービーで、インテルのベニテス監督が痛恨の黒星デビューだ。4位と波に乗れない状況で「すべてを変え得る試合」と期待していたが、試合後は「PKですべてが変わった」と嘆いた。
誤算だった。開始直後に相手の速攻からFWイブラヒモビッチに最終ラインの裏を取られる。DFルッシオがカバーに回ったが、慌てて戻ったマーカーのDFマテラッツィが後方から倒してPK判定。持ち味の守備が乱れて簡単に先制された。
ジダンからの頭突き事件を含めた“活躍”でイタリアの06年W杯優勝に貢献したお騒がせ男も37歳。今季は先発はおろかリーグ戦の出場自体が初めてだった。サミュエルとマイコンの両主力DFが負傷を抱えていたとはいえ、リスクを伴う采配。「ダービーには情熱を持った選手が必要」と期待した指揮官だったが、持ち前の闘争心は最悪の形で暴発した。
マテラッツィ起用を招いた故障者の続出はチームづくりに影響を与えている。サミュエルとマイコンに加え、GKジュリオ・セザールとMFカンビアッソもこの日は故障明けで控え。他にもMFスナイダーが貧血で前節を欠場するなど主力がなかなかそろわない。
昨季3冠達成のモウリーニョ前監督からバトンを受け「カウンター中心ではなく、試合を組み立ていい内容で勝ちたい」と攻撃サッカーへの転換を掲げたベニテス監督だが、戦術は浸透しない。この日も交代選手3人全員が負傷絡みで退き、後半15分から相手が退場で10人となりながら攻めあぐねた。08年3月から続いていたリーグ戦のホーム不敗は46試合で止まり、ダービー連勝も4でストップ。15日付のガゼッタ・デロ・スポルト紙は「無敵のインテルはもう存在しない」と断じた。
リーグ初の6連覇へ不安が漂い始めた中、指揮官は「選手も状況を変えてくれる補強を待っている」と1月の移籍市場へ期待感を隠さない。「ひどい試合。このままで前進は難しい」と選手がいる控室を素通りするほど怒ったモラッティ会長が補強費を用意することになるのか。3冠王者に早くも焦りが見え始めた。
≪イブラ千金PK「ハートで戦った」≫ACミランのFWイブラヒモビッチはPKを決めると両手を広げて喜んだ。09年まで在籍した古巣相手とあって激しいブーイングにさらされたが「集中してやるべきことをやった」と振り返った。後半15分にDFアバーテが2度目の警告で退場となると、全員が守備の意識を強めてスペースを埋めた。アッレグリ監督は「退場で集中力が増した」と話し、エースは「“チームとしてプレーしなければ”と言い合った。ハートで戦った」と結束を強調。7季ぶりの優勝へ好位置につけた。