問うて曰わく、百界千如と一念三千と差別いかん。
答えて曰わく、百界千如は有情界に限り、一念三千は情・非情に亘る。
『日蓮大聖人御書全集』新版 124頁(観心本尊抄)
「百界千如」は、十界にそれぞれ十界があることから十界互具で百界となり、それに十如是をかけて千如となりますので、当然、三世間は含まれていません。「一念三千」に至って、三世間が加わります。この三世間には、「五陰世間」、「衆生世間」、「国土世間」がありますが、ポイントとなるのは、非情に相当する「国土世間」ですね。この「国土世間」が含まれているところに「一念三千」の意義があります。
では、この「一念三千」意義とは何なのか。端的に言うと、環境が大事であるということになりましょう。我々は、有情の存在であり、自らの信仰心でもって、人生を切り開くことができると考えがちです。確かに我々自身が精進すること、努力することは大切であり、重要なのですが、実のところ、その精進にしても努力にしても環境に制約されています。環境が悪いと精進、努力すらできないのですね。環境を無視して信仰はできず、自らの人生が開かれることもありません。
つまり、「一念三千」の法門は、環境が整わない限り、十全たる信仰にならないことを示しているのです。自分が努力すれば、精進すれば、それでよいといった「百界千如」レベルでは、話にならないわけです。「一念三千」に至ってはじめて信仰がスタートするといえましょう。
とにかく、環境が大事であるという点、環境を整えるという点を忘れず、信仰、生活をしていくべきですね。
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