訳文や文体、また内容からも、中国で撰述されたと見られている。
『仏典解題事典』第三版 春秋社 108頁
とあるように無量義経は偽経ですから、後回しでもいいと思います。
まずは、その書の勘所となるところを把握し、その後、全体を把握するのがよいでしょう。大事なところを押さえた上で、それから、『妙法蓮華経並開結』でいえば無量義経から読むのも筋の通った読み方と思われます。
『妙法蓮華経並開結』新版の内容は、旧版とほとんど変わりませんが、本が大きくなったことと、それに伴い文字が大きくなったことが一番の違いでしょうね。
内容についても、多少、書き下し文に変更があるようです。旧版では、
衆生を度せんが為の故に 方便もて涅槃を現ず
創価学会教学部編. 妙法蓮華経並開結 (p.804). 創価学会. Kindle 版.
とあったところなど、
衆生を度せんが為の故に 方便もて涅槃を現ずれども
『妙法蓮華経並開結』新版 489頁
と変更されています。読みやすさを考慮した変更ですね。
また、旧版では、
放逸にして五欲に著し 悪道の中に堕ちなん
我は常に衆生の 道を行じ道を行ぜざるを知って
創価学会教学部編. 妙法蓮華経並開結 (p.807). 創価学会. Kindle 版.
とあるところは、
放逸にして五欲に著し 悪道の中に堕つればなり
我は常に衆生の 道を行ずるや道を行ぜざるやを知って
『妙法蓮華経並開結』新版 493頁
となっています。その他、自我偈の箇所にもいくつか書き下しが変更されているところがあります。すべて読みやすく変更されており、今後は、新版を読んでいけばよいでしょうね。なお、書籍のページ数については、変更はないですね。
創価学会は、御書においても新版を発行し、『妙法蓮華経並開結』についても新版を発行し、読みやすい本を出しています。この点、高く評価すべきと思います。我々としては、十二分に『日蓮大聖人御書全集』新版と『妙法蓮華経並開結』新版を活用すべきですね。良きところは活用し、そうでないところは、それなりにいなしながら、身をかわしながら、上手に生きていくことが肝要です。
いずれにしても、『妙法蓮華経並開結』新版を読んでいきたいと思います。もちろん全部読むことも大事なのですが、やはり、「如来寿量品」を何度も読み込むという読み方が重要に思えます。一信仰者として、成仏することが目的であることから、成仏の可能性を示唆している「如来寿量品」は、法華経の中で一番重要であり、この品だけは、どのようなことがあろうとも我が血肉にすべきと思うのですね。
一番重要なところを何度も読み、その読むという行為そのものが信仰実践に至るほどでなければならないと考えています。書を血肉化、骨髄化する次元にまで昇華させてこそ信仰といえるでしょう。
この点、『妙法蓮華経並開結』新版の発行は、本が大きくなり、字が大きくなったというところぐらいが旧版との違いといえるのですが、この本が大きくなり、字が大きくなったということは、意外と重要なことと思われます。いくら書を血肉化、骨髄化するといっても、読まなければどうしようもなく、まずは、読んでみようと思わせることが大切なのですね。字が小さいということは、取りも直さず、読みにくいということであり、一度、読みにくいなと思うと、人は書を開かないものです。自らの仏を開くといっても、まずは、書を開かなくては、肝心の仏も開かれません。
やはり、人は、新しいものが出ると、読んでみようかなと思うものです。そして、字が大きければ、読みやすいわけですから、なんとなく読み始め、そして、いつのまにか自らの仏も開かれていく、というのが理想的な流れでしょう。