あるいは己が頭をくだきて脳を食するもあり、あるいは一夜に五人の子を生んで夜の内に食するもあり。
『日蓮大聖人御書全集 新版』324頁(主師親御書)
餓鬼道とは、どのような状態であるかについて説明しているところです。餓鬼界の境涯は、飢え苦しむ境涯ですが、その程度は尋常でないようです。自分の頭をかち割って、脳みそを食べるなど狂気の沙汰ですが、この表現をみますと、自己否定、自傷行為を連想させます。
また、一晩に子供を5人産んだかと思うと、そのまま食べてしまうとの表現が続きますが、これも異常な状態ですね。まさに、他者否定、毒親を表現しているといえましょう。
世の中には、自傷行為や毒親の存在があり、どういうことなのだろうかと訝しく感じておりましたが、仏教的な視点でいうと餓鬼界から生じているようですね。三悪道、三罪のひとつである餓鬼界の恐ろしさが感じ取れます。
では、自傷行為や毒親の存在を排除するには、どうすればよいのか。
しかるに、善男子・善女人、この法華経を持ち、南無妙法蓮華経と唱え奉らば、この三罪を脱るべしと説き給えり。何事か、これにしかん。たのもしきかな、たのもしきかな。
同署325頁(主師親御書)
日蓮の回答は、法華経を所持し、南無妙法蓮華経との題目を唱えることとしています。三罪の中に含まれている自傷行為、毒親の存在を仏界の次元から吹き飛ばそうというわけですね。
低い境涯のままでは、何らの変革も期待できません。自己否定、他者否定では、変革は望めません。やはり、自己肯定、他者肯定という高い境涯からのアプローチが必要です。日蓮仏法においては、唱題が根本となりますので、「法華経」「御書」を拝しながら、唱題行にいそしむのが肝要ですね。