☆ Where all think alike, no one thinks very much.
☆ Without criticism and reliable and intelligent reporting, the government cannot govern.
Walther Lippmann
〔訳〕☆すべての人が同じ考え方をする所では、だれもあまり考えることをしない。
☆批評と信頼しうる賢い報告とがなければ、政府は政治をすることはできない。
岩田一男『英語・一日一言』祥伝社 191頁
ひとつの考え方に凝り固まっている集団において、個々の構成員は、深く考えていないですね。
所謂、教条的といいますか、ワンパターンの考え方を繰り返しているだけです。
確かに、考えるということは、脳に強烈な負担をかけることですので、脳のエネルギーの使用を節約するという意味で、結論をひとつ決めて置いて、ものを考えないというのは、経済的ではあります。
経済的であるのは、経済的にはよいかもしれませんが、こと脳に関すること、思考に関することにおいては、経済的であることに価値はありません。
簡単に言えば、経済的というよりは、単に怠惰なだけということであり、卑しいということに過ぎません。
しかし、教条主義的な人間は、考えることが嫌いですから、どこかの教祖様がいうことを答え、結論として、安心したいという欲求に囚われ、ワンパターンの思考回路で惰眠を貪るというわけです。
時代の変化、状況の変化に応じて、議論すべきこと、変革すべきことが出てきますので、その際、ものを考えながら話し合いをしていくことになるのですが、答えがひとつで押し通してきた人にとっては、ものを考える、話し合いをするということができませんから、興奮して喚き散らすだけになるのですね。
挙句の果てに、悪口、罵詈、雑言、中傷、誹謗を行うに至り、こちらとしては、困ってしまって、それでおしまいということになります。
よって、我々としては、そのような人々を相手にしなくなるのですが、あの人たちは今頃どうしているのでしょうか。
リップマンが言うように、すべての人が同じ考え方をすると、人はあまり考えることをしないという点は、気を付けておくべき点ですね。
端的に言うと、ものを考えない、思考しないといってもよく、思考停止の状態にあるといえるでしょう。
このような思考停止の団体は、批評を極端に嫌います。そして、信頼しうる情報をも嫌います。もちろん知性のある情報も嫌います。
よって、リップマンの言葉からするならば、早晩、このような思考停止団体は、統治機能を失い、没落していくことになるでしょう。
このように考えますと、思考停止に陥るということは、経済的にみえて実は悪いことだらけというわけです。
いかに大変であろうと、自らが考え、思考するということを止めてはいけません。
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