一眼はつねに、個としての自己の将来の展望を怠らぬと同時に、他の一眼は、刻々に変化しゆく世界史の動向を見失わぬことです。
こうした異質的両極を、つねにわが身上に切り結ばせつつ、日々を生きぬくことが大切でしょう。
『森信三一日一語』寺田一清編 致知出版社 132頁
社会派を気取る人間は、ここでいうところの世界史の動向には敏感ですが、自分のことになると全く眼中にないものです。よって、自らの将来についてフラフラしているという特徴があります。
しかし、これでは、いけないでしょうね。
確かに、世界史の動向、世の中の変転を観察することは重要ですが、それにもまして重要なのは、自分の先のことでしょう。
「個としての自己の将来の展望を怠らぬ」ことは、必須であり、先を見通しながら、自らの将来の展望を描くべきですね。
人生には、さまざまなパターンが考えられるわけで、それこそ、軍事作戦並にさまざまなシミュレーションをしておくことですね。
実際、シミュレーション通りにはなりませんが、シミュレーションをしていた人の方がうまく対処できるものです。
自分のことをしっかりできない人に、社会のことができる人はいません。
まずは、自分の将来について、備えるべきは備え、為すべきことは為しておくことですね。
その上で、世の中のことを洞察することが肝要でしょう。いくら自分のことを考えるといっても、世の中の動向に影響を受けるわけですから、自分のことと世の中の動向とは、切り離せないということですね。