人間の智慧とは、
(一) 先の見通しがどれほど利くか
(二) 又どれほど他人の気持ちの察しがつくか
(三) その上何事についても、どれほどバランスを心得ているか
という事でしょう。
『森信三一日一語』寺田一清編 致知出版社 131頁
智慧は、知識とは違い、人間力そのものといってよいでしょう。
その智慧に3つあるということですね。
まず、先の見通しがどれほど利くか、ということですが、ほとんどの人間にとって、先のことを見通すことは不可能に近いといえましょう。それ故、自らの智慧を洗練させ、見通していく力を付ける必要があるということでしょう。
確かに、先を見通す人が勝者になり、豊かになっていくものです。端的に言えば、幸せになるということですね。大変ではあっても、先を見通す力を付けることは、絶対に必要ですね。
次に、他人の気持ちを察するということですが、これも、ほとんどの人間にとって不可能に近い。特に、他人に痛みの気持ちを察する能力に至っては、あることを認定することすら困難といえましょう。
とはいっても、他人の気持ちを察することができなければ、さまざまな不運に巻き込まれます。不必要な摩擦を生じることもあるでしょう。そのようなことは、避けるべきですから、やはり、自分のことだけでなく、他人の気持ちにも配慮する必要があります。
最後に、何事においてもバランスが大切ということですが、人は、つい、感情的になると一方的な方向に流れてしまい、その方向性もマイナスの方向性であることがほとんどです。
バランスを考えれば、偏る必要がないにも関わらず、バランスを失うために、変な方向に自らを持っていくのですね。
特に、怒りの感情が出てきた時が危ない時ですね。バランスがなくなるときといってもよいでしょう。
バランスを失わないためには、怒りの感情をなるべく起こさないよう、自らを律することですね。何かにつけ怒っている人は、バランスがないものです。
不必要な紛争を避けるためにも、バランスは重要ですね。