銀行員の人生というのは、まず一番の目標は支店長になること。支店長になった次は、取締役になること。それから、経営会議メンバーである常務から上になること。そして最後は頭取になることだ。
國重惇史『住友銀行秘史』講談社 30頁
サラリーマンにとって、出世が一番の目的ということですね。トップにならなければ、自分のしたい仕事ができないわけで、出世を目指すのは当然といえば当然です。
メガバンクとは「守り」の組織である。そして徹底した減点主義。1回でもバツがつくともうおしまいだ。
同書 168頁
これは、銀行員だけでなく、人生においても同じと考えてよいでしょうね。失敗しても、やり直しがきくという考えに傾きたい人が多いのは事実ですが、実際、失敗すれば、それまでです。失敗した人間に世の中は厳しいものです。手を差し伸べるどころか、蹴りを入れてきます。
減点主義という生易しいものではないのですね。抹殺といってもいいかも知れません。
とにかく、失敗してはいけないのですね。
もし、銀行で頭取になりたいのならどうすればよかったのか。
それは何もしないことだ。減点主義の組織なのだから。
同書 464頁
下手に何かをすると失敗する可能性がありますので、減点主義の会社では、何もしないに限ります。
ただ、何もしないでトップになった場合、何もしないトップなどあり得ないわけで、何をしたらいいのか分からず右往左往するトップが発生しますね。
これが大企業の病理を生み出すということでしょうか。
結局、本書『住友銀行秘史』を読んで感じるのは、くだらない人間の集まりだなということですね。
学歴もあり、それなりの企業に勤め、結局、うだうだしている。部外者からすると、何をしているのかな、という感じです。
本人たちは、必死であり、全エネルギーをそのうだうだに費やしています。そのエネルギーを違うところで発揮すると、日本が発展するほどなのですが、そうはならないのですね。
ある意味、もったいないというところですね。
立場はあるけれども、大したことをしていないというのが大企業の人々なのかもしれませんね。日本の病理の一端を垣間見た思いです。