民の身として国王と名乗ん者の如くなり如何に国王と云うとも言には障り無し己が舌の和かなるままに云うとも其の身は即土民の卑しく嫌われたる身なり
諸宗問答抄 380頁
自分のことをよく見せようとして、大したことがないにもかかわらず、国王とまでは言わないにしても、それなりの立場があるように吹聴する人がいます。
なぜ、このような嘘を言うのか、よく分かりませんが、本人は至って本気なのですね。
自分の境涯を少しずつでも上げていけばよいのですが、そのような地道な修練は嫌なようです。
俺はすごいんだ、俺はすごいんだ、と連呼するばかりです。
それで、本当にすごいのかといえば、全くすごくないのですね。
むしろ、みっともない人間なのですね。そして、私だけでなく、その他の人々にも嫌われています。
しかし、当の本人は、俺は素晴らしく、人々から慕われていると思っています。
なぜ、このような勘違いが生じるのか、よく分からないところですが、実際にこのような人間が存在します。
このような人を相手にしなくなって久しくなりますが、今回の御文を拝した時に、ふと思い出した次第です。
鎌倉時代にも同じような勘違いした人、痛い人がいたのですね。いつの時代にも、一定数、変な人間がいるということですね。