ひかえめな態度は、なんの益もないばかりでなく、むしろ有害であるということは、よく体験されることである。とくに嫉妬やそのほかの理由で、こちらに憎悪感をいだいている横柄な人物に対しては、〔こちらが下手に出るばあいは〕なおさらだ。
『マキァヴェッリ全集』第2巻 永井三明訳 筑摩書房 211頁
日本人は、謙虚を重んじます。
控えめな態度が好まれるのですね。
まあ、周りが善人だらけであれば、それでよいでしょう。問題はありません。
しかし、我々が生きている世界は、嫌な奴で溢れかえっています。
謙虚も結構なのですが、それだけでは心許ない。
然るべき人間洞察が必要です。そう、マキァヴェッリです。
横柄な人物、我々に憎悪感をいだいている人物に対しては、謙虚は使えないどころか、有害であるという。
なかなか強烈な分析です。
ただ、今までの人生を思い返した場合、丁寧に対応しても、相手が横柄であり、不愉快になったことが多々ありました。
その時、咄嗟に対応を変え、丁寧さをやめ、強く出たところ、横柄な相手が怯んだことがあります。
所詮、横柄な人間など大した人間ではなく、こちらが強く出ただけで崩れるのですね。
つまり、我々としては、力強く我が道を行けばよいだけなのですね。
多少の摩擦はやむを得ないでしょう。
変に、謙虚であれば上手く行くだろうなどという甘い考えは捨てておくことですね。上手くは行きません。
ただ、無用な摩擦は避けるべきですから、どうしようもない横柄な奴や、我々に強い嫌悪感を持っている人間の場合、相手にしないことに限りますね。
変に、強く出る必要もなく、謙虚にする必要もなく、ただただ、必要最小限の対応にとどめ、お引き取り頂くのがよいですね。
いずれにしても、マキァヴェッリの知見を我がものとして、あらゆる事態に対応できるようになっておきたいですね。
また、嫌なこと、不愉快なことがあっても、そういうこともあるだろうという深い洞察に基づき、それらを許容できるほどの余裕を持ちたいですね。