世間の浅き事には身命を失へども大事の仏法なんどには捨る事難し故に仏になる人もなかるべし
佐渡御書 956−957頁
仏教は、仏になること、成仏することを目指した宗教です。
しかし、日蓮によると、仏になる人、成仏する人は、ほとんどいないようです。
手厳しいですね。
そう簡単に仏になれるとは思いませんが、ほとんどいないという事実を述べてしまうとは、日蓮という人はおもしろい人ですね。本当のことを言ってしまっています。
新宗教団体になりますと、仏になれるとは言わなくとも、絶対に功徳があると強調します。しかし、功徳を得る人など、ほとんどいないという事実は隠します。
日蓮の方が良心的ですね。
考えてみれば、仏の境涯たるもの、一生をかけて完遂する事業でしょう。打ち出の小槌のような感覚で信仰する人には縁がないでしょうね。
そのような人は、新宗教団体にうまく騙されるのですね。自業自得というところでしょうか。
我々としては、日蓮の言葉を重く受け止め、仏の境涯に至る人は、ほとんどいないけれども、それにもかかわらず、我々は信仰をし、仏の境涯を目指すという気概が必要ですね。