願わくば一切の道俗一時の世事を止めて永劫の善苗を種えよ
守護国家論 37頁
信仰をする上で、日常生活を大切にすることは当然のことですが、日常生活に流されないためにも、一時は、宗教的な時間を持つことが必要です。
日蓮は、「永劫の善苗を種えよ」と言います。
永遠に続く、善なる苗を植えるとは、具体的にどのようなことなのでしょうか。
端的に言うと、勤行、唱題というのがそれにあたるでしょう。
法華経の方便品、寿量品を読誦し、南無妙法蓮華経との題目を唱えるという基礎的な仏道修行を行うことです。
この勤行、唱題は、極めて宗教的な事柄であり、世事と対極にあるものといえます。
世事を一時止めて、勤行、唱題をすることにより、永遠に続く善なるものを自分の中に植えていくということです。
世事だけでなく、宗教的な行為を組み込むことにより、世事に潤いを与えるのですね。ここに勤行、唱題の意義が見出せます。
単なる習慣としての勤行、唱題には、さほど、意味があるとは思えませんが、日蓮が守護国家論で言う永劫の善苗を植えるための勤行、唱題であれば、大きな意味があります。