王位の身なれども思う事をば・たやすく申さぬぞ、孔子と申せし賢人は九思一言とてここのたびおもひて一度申す
崇峻天皇御書 1174頁
たとえ最高権力者の王であっても、いちいち思っていることを口にはせず、孔子ほどの賢人も思うことが九つあっても、実際に口に出すのはそのうちの一つだけということです。
余計なことは言わないということですね。
余計なことを言うと不必要なトラブルを招きます。
王や孔子ほどの人間であっても、言ってはいけないことがあるわけですから、我々凡夫などは、言ってはいけないことだらけといってよいでしょう。
ほとんど言うに値しない言葉ばかりであり、黙っておけばよいという次元でしょうね。
いずれにしても、言葉にするときは、必要なことだけを話すようにしなければなりません。
吟味に吟味を重ね、余計なことは言わず、重要なこと、大切なことを言うようにすることですね。
悪口などは言わず、流しておくことですね。
このことは取りも直さず、悪口の対象となる人のことを話題にしないということであり、そもそも、思考の段階において、不必要と認定し、脳内で削除しておくことですね。
一応、不必要と認定する段階で、悪口の対象となる人の好からぬ点を検討して、今後、その害悪が来た場合、対処できる準備は整えるものの、その準備が完了したのちは、削除でよいでしょう。
脳内に悪口の対象となる人が存在している限り、口に出してしまうという虞があります。
脳内において処理をしておくと「九思一言」が我々においても実現できます。
「九思一言」が実践できれば、余計なことが脳内になく、口にする必要もなくなりますので、自分自身も晴れやかな気持ちになれ、いいことだらけですね。
賢人たれば、僥倖が巡ってくるといえましょう。